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『プロ経営者のリアル』を開催しました。

~落下傘経営者の頭の中~

 

こちらは2022221日に視聴希望者限定で行われたイベントのアーカイブ記事です。 

外部から招聘される経営者の立場がどういったもので、どういった葛藤の中企業を成功に導くのか。 

日本プロ経営者協会では、今回のイベントを皮切りに、社外出身の経営者がどういった葛藤に悩み、どう成功に導いていくのか、のセミナーをシリーズ化してお送りいたします。このシリーズでは自身が創業者ではない会社の代表になる場合は創業社長や、大企業のサラリーマン経営者になるのとは全く異なる状況に置かれます。慣れ親しんだ代表やサラリーマンとして証明された昇進の頂点に到達した社長が離れた後に、いかに会社を成長させていくのか、その手法をシリーズ化した『プロ経営者のリアル』というタイトルのシリーズです。 

第一回目は、ファンドの投資先で経営者として経営改善を行い、成功に導いた青木様にセミナー講師をお引き受け頂きました。タイトルは~落下傘経営者の頭の中~です。 

――――――――――以下セミナー内容――――――――――― 

ファンドに声をかけられて投資先に飛び込んだ、それを『落下傘』という表現をしている。この内容が答えや手本ではなく状況に応じて適切な方法は変わるので一つの参考にしてほしいと思う。 

自己紹介をすると、58歳、ソロモンブラザーズという投資銀行でキャリアスタート。センチュリー証券を経てウォール・パートナーズというコンサルに入りベンチャーの支援会社に入りIPO支援等をした。40歳になりCFOとしてフットワークエクスプレスに入社、5年位明光商会にて経営者としてファンドに採用された。 

以下2社のファンド傘下会社の経営者として再生プロセスに入った。 

明光商会は売上が90億、従業員350名のシュレッダー業界のリーディングカンパニーである。 

色々と変遷してファンドに移った。 

その他フットワークエクスプレスという古いBtoB運送の大手の物流会社であった。倒産を経てファンドにより再生された会社であった。 

フットワークは2003年から2009年明光商会は20214年から2019年に関わる事になった。 

両者の特徴は 

①古い伝統がある会社で

②カリスマオーナーがトップダウンの経営を行い現場に創意工夫の余地がない

③売上至上主義でQCDが不徹底

④経営管理体制が不徹底   

フットワークも明光商会も一定以上のリターンを計上することができた。融資利負債等も殆ど返済することができた。フットワークではトップダウン型で行ったが、反省等を経てボトムアップに近い経営手法にて経営を行う様になった。二社へ参画したことで色々な事が俯瞰的にわかるさまになってきた。 

二部に分けている。具体例を一部で話、二部の方で“落下傘経営者の頭の中“について話す。 

【一部】 

~具体的にやったこと~ 

●ステージ1 

会計の早期化 

先ず取り組んだのは会計の早期化を行った。スピードメーターを見ずに運転ができないのと同じでできるだけリアルタイムに健康診断ができる形に変更していった、当時は〆後1か月以上かかっていたが、3か月で10日にしてもらった。これは、見える化でもあるが、ストレスをかけてローカルルールがあぶり出てくる、俗人化等が見えてくることでプッシャーを与え会社の管理上の問題があぶり出されてくるという効果が見られた。 

キャッシュフロー改善(BS)による現金の確保 

ファンド上のKPIの基礎になる現場のKPIを作った。2番目は、キャッシュフローが悪かった為、現金を作る為の活動を行った。その部分では先ずBSの方に着手した。在庫の問題や売掛問題に取り組んだ。在庫の部分は予想売上と在庫の関係を明確にしていった、在庫のリードタイム等に関してヒアリングをすると、人によって理解が異なっていた為、都度発注者等の現場サイドにリードタイムを確認する等愚直に確認していくという作業をお行った。体制の見直しにより在庫を半分程度に減らす事ができた。売掛サイトの見直しも顧客との交渉で下げていった。ノンコアの事業(不動産等)はキャッシュかを実行した。 

キャッシュフロー改善(PL)による現金の創出 

次にPL改善としてはファンドの依頼も強くあった。BSの改善と共に、債権のサイトを改善すると同時に利益の条件やインセンティブ等を一つずつ交渉していくこととなった。物流費や販促費用の交渉等も行っていった結果として利益額が高まっていった。結果、売上至上主義ではなく、利益至上主義に変更していった。代理店販売と直販の両輪でやっていたが、直販の場合等は最初から2-3割程度売る事が常態化していた。過去の商習慣から値引きが当たり前となっていたがインセンティブ等を変更していった。赤字取引は禁止とし、低採算の商品も撤退した。全体の売上は下がらず、利益率が高いものが売れていくことで更に利益が増える効果があった。そちらに営業人材も集中させていった。結果として一年目から利益が上がってきた。 

オペレーション見直しによる品質・効率性の追求 

利益率を目指すには歩留まりの改善を図らなければいけなかった。品質のベースになるのは作業の安全性を高める事だった為、効率を上げる場合も急がずに品質を上げる方法を導入(メーカー人材を導入)。不良率が10%位ある場合もあったのだが、辞めるまでには殆ど不良品が無い様な状況になっていった。直関比率を上げる事も意識して改善した。社内向けの作業を極力なくしていくという作業を進めていった。 

●ステージ2 

組織改革によるムリ・モレ・ダブりの排除 

バリューチェーンベースで各部門でどうバリューが出ているのかを確認しながら作業がダブらないようにしていく。部門別・事業別のKPIが確認できる様になり、ジョブディスクリプションを明確にし、役割の明確化を行い、俗人管理を排除。 

人事制度改革による信頼性の確保 

人事コンサルを使いながら戦略にあった人事管理システム(人事評価システム)を導入。管理職にならなくても報酬が上がる等級制を社員全員に導入し。残業を減らし、俗人的な作業を無くした事で残業を0にする事に成功した。 

労働環境改善 

俗人的な作業をやっている人が残業を大きくしてしまうという問題があったので残業時間をゼロにするとともに翌年のボーナス原資につける様にし、それの為に多くの事を行った。 

意識改革による社会性と組織生産性 

毎年一対一で派遣やパートの人材も含め面談をした。これは把握のほかに意識改革の意味もある。 

●ステージ3 

ビジネスモデル改革による生産性向上 

売り切りモデルからサブスク・リカレントモデル。その為にソリューションを行っていった。個人営業から組織営業を行う様にしていった。下の平均を上げる為の施策を行っていった。アポ取りからクロージングを組織で対応していく様にしていった。インサイドセールスの導入等も実行。 

【第二部

~落下傘経営者の頭の中~ 

会社とのかかわり 

会社の素人の立場であるが、素人だからやれることや見える事が増えてくる。社内の常識が世の中のh常識になる。ユーザーの気持ちで考えられる事が可能になるのが強み。また、いつか去る人という白い目で見られる。ただ、ゴールが明確であり、期限も有る為精一杯変化を起こす事が可能である。終身雇用の社員にはできない事を起こす事が可能。答えは現場に全て有る為、現場とのコミニュケーションが大事。ポイントは、現場のリスペクトである。 

顧客とのかかわり 

顧客の視点で常に意識する。一にも二にもQCD、会社としては新しいもの、新鮮なものを進める。顧客には選択と集中を行う。 

取引先とのかかわり 

Give&Takeでありパートナーシップ、下請けは要らない。取引先もイノベーション。分散を意識 

従業員とのかかわり 

健康(スッキリ)、チームで解決を促す。きちんと感謝や謝罪を実行する。自立と個性を大事に。腹を決めさせる。 

株主とのかかわり 

コミットメント(見栄を張るってもしょうがない)、本質を見極め理解を求める、ギリギリまであきらめない、言い訳はみっともない 

ファンドとの付き合い方 

期間は明確にし、オーナーシップと報酬は3社間の委任契約を締結する。ファンドからは経営委任契約を締結するが、経営者の報酬は会社から受け取る為、誰の為に働いているのかのバランスが難しくなる事がある。イグジットの場合が顕著、会社の責任者でもあり、次の株主に関しても意見を求められる(例外有り)。説明責任があるが、大局的な報告をすることが重要である。細かすぎる報告はいらない。ファンドは相談相手ではない事は間違わない事、自分のブレインはファンドではない。 

チーム組成 

ファンドの人や幹部には利害関係が異なる優先順位をファンドメンバーと共有すべき、立場の違いがある。監視型ではなく、解決型で行うべき。せいぜい3名のチーム(4人を超えるとスピードダウン) 

100日プランで気を付けたこと 

100日では無理。株主、経営陣だけのものではなく現場につながるモニタリングシステムを構築する。3カ年計画でも1年目が重要。社内のキーマンを見つけて走り出す。 

EXITで感じたこと 

オーナーが変わるとリセット。収益力を買うファンドは分かりやすいが、事業会社はシナジーを買う。強みと弱みは表裏一体なので難しい。 

キーマンクローズは事業会社には無いので、もし良ければ事業会社でもきちんとしたインセンティブ設計が必要と思われる。 

 

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