「後継者がいないので、会社の将来が心配」
「引退したいが、会社を閉じるしかないのか」
上記のような不安を抱える経営者の方でも、状況に合った選択肢を選ぶことで会社の将来を守ることができます。
なぜなら、後継者不在は大きな課題である一方で、企業が取り得る方向性として親族内承継・従業員承継・M&A(第三者承継)・廃業 の4つの選択肢が確立されており、自社の状況に応じて最適な手段を選べるからです。
| 手段 | 概要 |
|---|---|
| 親族内承継 | 子どもや兄弟など親族に引き継ぐ |
| 従業員承継 | 役員や従業員に引き継ぐ |
| M&A(第三者承継) | 親族外の第三者に売却 |
| 廃業 | 会社を清算して事業を終了 |
実際、中小企業庁の推計では、2025年までに引退時期を迎える経営者約245万人のうち、127万人が後継者未定とされており、後継者不足は多くの企業に共通する深刻な問題です。
本記事では、後継者がいない経営者が直面する課題や具体的な解決手段、そして事業承継を成功させるポイントについて詳しく解説します。
これから事業承継を検討されている方は、ぜひ参考にして早めの準備を始めてください。
参考:中小企業庁「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」
監修者

代表理事
小野 俊法
経歴
慶應義塾大学 経済学部 卒業
一兆円以上を運用する不動産ファンド運用会社にて1人で約400億円程度の運用を担い独立、海外にてファンドマネジメント・セキュリティプリンティング会社を設立(後に2社売却)。
その後M&Aアドバイザリー業務経験を経てバイアウトファンドであるACAに入社。
その後スピンアウトした会社含めファンドでの中小企業投資及び個人の中小企業投資延べ16年程度を経てマラトンキャピタルパートナーズ㈱を設立、中小企業の事業承継に係る投資を行っている。
投資の現場経験やM&Aアドバイザー経営者との関わりの中で、プロ経営者を輩出する仕組みの必要性を感じ、日本プロ経営者協会設立に至る。
後継者がいない!近年の中小企業の現状

2020年以降、後継者不在率は改善傾向にあるものの、日本企業における後継者不足は依然として深刻な状況にあります。
2024年時点での帝国データバンクの調査によると、全国52.1%の企業において後継者が「いない」または「未定」とされており、つまり2社に1社以上が後継者不在という厳しい現実があるのです。
経営者の高齢化が加速しており、2024年の社長平均年齢は60.7歳で34年連続で過去最高を更新しています。
さらに、50歳以上の社長が81.7%を占める一方で、30代以下の社長はわずか3%に満たない状況となっています。
経営者の年齢が上昇する一方で、後継者候補となる若年層の企業数が圧倒的に不足しており、事業承継が進みにくくなっているのです。
参考:全国「後継者不在率」動向調査(2024年)|株式会社 帝国データバンク[TDB]
参考:全国「社長年齢」分析調査(2024年)|株式会社 帝国データバンク[TDB]
1,800名以上のプロ経営者候補から最適な
後継者を選べる
オーナー様主導で後継者を見極められる
仕組み
後継者を見つけた後に資本の承継が
可能
国内最多100件以上の事業承継実績あり
後継者がいない経営者が取るべき4つの選択肢

後継者がいない経営者が取るべき4つの選択肢は、以下です。
| 手段 | 概要 |
|---|---|
| 親族内承継 | 子どもや兄弟など親族に引き継ぐ |
| 従業員承継 | 役員や従業員に引き継ぐ |
| M&A(第三者承継) | 親族外の第三者に売却 |
| 廃業 | 会社を清算して事業を終了 |
それぞれの手段には異なるメリット・デメリットがあるため、会社の状況や経営者の希望に応じて最適な選択肢を検討する必要があります。
以下では、各手段の詳細について解説していきます。
親族内承継
親族内承継とは、経営者の子どもや兄弟など親族に事業を引き継ぐ方法です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット | 従業員・取引先の理解が得やすい 後継者教育の時間確保 相続税・贈与税の優遇制度活用 |
| デメリット | 適性ある後継者が不在の可能性 親族間トラブルのリスク 相続税負担 |
| 対策 | 事業承継税制の活用 株式評価額の抑制 生前贈与の実施 |
親族内承継が有効な理由は、相続や贈与によって経営権と所有権を一体的に引き継げる点にあります。
また、事業承継税制を活用すれば、自社株式にかかる相続税や贈与税の納税猶予・免除が受けられる可能性があります。
従業員や金融機関からの信頼も得やすく、企業理念や文化をスムーズに継承できるメリットもあります。
ただし、親族に経営の適性や意欲がある後継者がいるとは限りません。
また、法定相続人が複数いる場合、株式や資産の分散により親族間でトラブルが発生するリスクがあります。
したがって、親族内承継は、早期に計画を立て、専門家と相談しながら進めることが重要です。
従業員承継
従業員承継は、親族以外の役員や従業員に会社を引き継ぐ方法です。
親族内に適任者がいない場合でも、長年会社に貢献してきた役員や従業員の中から、経営者としての資質を持つ人材を選べます。
また、業務を熟知した社内人材への承継により、企業文化や理念を維持しながら円滑に事業を引き継げます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット | 業務を熟知した社内人材への承継により、企業文化や理念を維持しながら円滑に事業を引き継げる 従業員や取引先、金融機関からの理解も得やすい 承継後の経営もスムーズに進めやすい |
| デメリット | 株式買取に多額の資金が必要 後継者の人選が困難な場合がある 個人保証の引継ぎについて調整が必要 |
| 対策 | 役員報酬の増額や分割払いの検討 金融機関からの融資活用 後継者候補の育成と信頼構築 |
従業員や取引先、金融機関からの理解も得やすく、承継後の経営もスムーズに進めやすいというメリットがあります。
従業員承継の主な方法
| 方法 | 内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| 株式譲渡 | 対価を支払い株式を買い取る | 最も一般的だが資金調達が課題 |
| 株式贈与・遺贈 | 無償で株式を譲渡する | 後継者の資金負担は軽減されるが贈与税が発生 |
| 経営権のみ譲渡 | 株式は現経営者が保持 | 後継者の裁量が制限される可能性 |
株式買取には多額の資金が必要となるため、役員報酬の増額や分割払い、金融機関からの融資などの対策を講じる必要があります。
また、個人保証の引継ぎについても金融機関との調整が必要となります。
後継者の人選も重要で、経営者としての資質だけでなく、他の従業員からの信頼や人望も考慮すべきです。
このように、従業員承継は、計画的に進めることで後継者不在の課題を解決できる有効な手段といえます。
M&A(第三者承継)
M&Aとは企業の合併や買収を指し、親族以外の第三者に事業と資本を引き継ぐ手段であり、中小企業でも頻繁に活用されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット | 後継者問題の解決により広範囲から適任者を探せる 従業員の雇用継続と取引先との関係を守れる 株式売却代金と退職金を得られる 会社債務の保証から解放される可能性がある |
| デメリット | 希望条件での譲渡に時間を要する 買収企業の経営方針で企業文化が変わる可能性 譲渡価格の決定が複雑 |
| 対策 | 十分な準備期間の確保(数ヶ月~1年) 財務整理と譲渡条件の整理 専門家(M&A仲介業者、税理士など)への相談 |
従業員の雇用を維持でき、取引先との関係も守れるため、事業の価値を最大限に活かした承継が実現できます。
さらに、株式の売却代金を得られるため、廃業時の資産処分より高額な創業者利益が期待できます。
また、会社債務の個人保証は、買収スキームと金融機関の同意次第で解除される可能性があります。
ただし、希望条件での譲渡には十分な準備期間(数ヶ月〜1年)が必要です。
財務整理や譲渡条件の整理を行い、専門家に相談しながら進めることで、理想的な形での事業承継が実現できます。
第三者承継が成功した事例
医薬品の臨床開発を支援する株式会社ファルマでは、創業者・山田正広氏が引退を前に後継者不在という課題に直面しました。
山田氏が選んだのは、外部のプロ経営者へ事業を引き継ぐ「第三者承継」という選択です。
日本プロ経営者協会を通じて複数候補と面談し、理念への共感と人柄を重視して中村優介氏を後継者に決定しました。
中村氏は就任後、業務効率化や社内コミュニケーション改善を推進し、従業員との信頼関係を築きながら事業を成長軌道へ導きました。
山田氏も「良い形で会社を引き継げた」と語っています。
この事例は、第三者承継でも理念を守りながら最適な後継者を選べることを示す好例といえるでしょう。
日本プロ経営者協会には
1,800人以上の経営者候補が所属。
「どんな人に引き継がれるかわからない」という不安は不要です。
業種や企業文化に理解のある候補者と
何度も面談を重ね、
納得のいく後継者を選ぶことができます。
是非お話をお聞かせください
廃業する
後継者がいない経営者にとって、廃業は最後の選択肢です。
廃業とは、文字通り会社の経営を辞めることであり、資産を清算して事業を完全に終了させることを指します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| メリット | 精神的・経済的負担からの解放 赤字経営のストレスや事業主の責任から解放される 雇用問題やキャッシュフロー、税金対策などの悩みから解放される |
| デメリット | 資産評価が低下し、材料・商品・機械設備はほとんど半値からゼロ評価になる 含み益のある資産には法人税、株主には所得税がかかり二重課税となる可能性 従業員の雇用と取引先との関係が失われる 負債が残る場合は保証債務として廃業後も返済が続く |
| 対策 | 資産売却時の価格交渉を工夫する 残債の返済計画を策定する 従業員への事前通知と転職支援の検討 専門家(税理士、弁護士など)への相談 |
廃業を選ぶ最大の理由は、精神的・経済的負担からの解放です。
赤字経営のストレスや事業主の責任から解放され、雇用問題やキャッシュフロー、税金対策などの悩みから解放されます。
また、廃業はいつでも実行できる手段であるため、後継者探しに時間をかけられない状況では現実的な選択となります。
しかし、清算配当する際に株主には所得税等がかかり、多くの金額を手にすることは望めません。
また、資産の売却時には廃業を急ぐことで足元を見られやすく、通常よりも低い価格での売却を余儀なくされることもあります。
したがって、廃業を選択する場合は、十分な計画と準備期間を確保し、専門家に相談しながら進めることが重要です。
後継者がいない課題を解決するためのポイント

後継者がいない課題を解決するためのポイントは以下の通りです。
- 早めに準備を始める
- 企業価値を高める
- 後継者マッチングサイトや専門家を活用する
企業価値を高めることで後継者候補にとって魅力的な承継先となり、親族・社内・第三者など複数の選択肢が広がります。
それでは上記のポイントについて解説していきます。
早めに準備を始める
事業承継には一般的に5年から10年の期間が必要とされており、後継者の選定・育成・株式移転など多くの手続きを計画的に進める必要があります。
準備期間がない場合、廃業しか選択肢がなくなってしまいます。
準備が遅れると、代々続けてきた家業を終わらせる難しい決断を迫られることになります。
早めに準備を始めるメリット
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 後継者選定に時間をかけられる | 親族・社内・M&A・IPOなど複数の選択肢からじっくり選べます |
| 後継者の育成期間を確保できる | 承継後の経営がスムーズになり、業績悪化を防げます |
| M&Aで有利な交渉ができる | 時間的余裕があると相場より高く売却でき、失敗時の代替案も実行できます |
後継者不足の課題解決には、できるだけ早期から準備を始めることが不可欠です。
時間的余裕があることで、複数の承継方法を試す機会が生まれ、経営者にとっても後継者にとっても最良の選択ができます。
企業価値を高める
後継者がいない課題を解決するには、まず企業価値を高めることが最優先です。
企業価値を高めるメリット
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 後継者が承継しやすくなる | 親族や従業員が事業の将来性や魅力を感じ、引き継ぐ意欲が高まる |
| 第三者の承継先が見つかりやすくなる | M&Aにおいて買い手候補が増え、より良い条件での交渉が可能 |
| オーナーの利潤が増える | 企業価値に比例して売却価格が上がり、経営者が得られる利益が大きくなる |
後継者候補にとって、引き継ぐ会社の価値が低ければ魅力を感じません。
特に借入金が多く債務超過の状態では、引き継ぐことで自分が借金を返済する必要が生じるため、無償でも承継を拒否されるケースが出てきます。
M&Aにおいても、企業価値が低ければ買い手にとって魅力的な案件とならず、希望する価格で売却できない可能性があります。
社内体制を整え、安定した事業運営と良好な業績を実現することで、引き継ぐ側から見た魅力が増し、承継の選択肢が広がります。
このように、後継者不在の課題を解決するためには、企業価値を高めることが最も重要です。
短期間で企業価値を高めることはできないため、早めに取り組みを始め、長期的な視点で経営改善を進める必要があります。
後継者マッチングサイトや専門家を活用する
後継者マッチングサイトや専門家を活用することは、後継者不在の課題を解決する有効な手段です。
マッチングサイトや専門家を活用する最大の理由は、全国から後継者候補を探せる点にあります。
親族や社内に適任者がいない場合でも、地域の制限なく幅広い選択肢の中から、事業を引き継ぐ意思と能力を持つ人材を見つけることが可能です。
また、M&Aや事業承継の専門家からアドバイスを受けられるため、初めての事業承継でも安心して進められます。
| 種類 | 特徴 | 費用 |
|---|---|---|
| 事業承継・引継ぎ支援センター | 各都道府県に設置された公的相談窓口で、専門家による無料相談が可能 | 無料 |
| 日本政策金融公庫 | 小規模事業者向けで専門担当者がサポート | 相談無料 |
| M&Aマッチングサイト | 全国から候補者を探せ、短期間でのマッチングが可能 | サイトにより異なる(売り手無料のケースも) |
| 経営コンサルティング会社 | 事業承継計画の策定から承継後の経営までトータルサポート | 会社により異なる |
| 税理士・弁護士などの士業 | 税務・法務面の専門的なアドバイスが受けられる | 相談内容により異なる |
マッチングサイトでは条件に合った後継者を検索できる機能があり、効率的に候補者を絞り込めます。
また、専門家のサポートを受けることで、企業価値評価や条件交渉、契約書作成などの複雑な手続きもスムーズに進められます。
後継者を募集する手順

後継者を募集する際は、以下の手順で進めることが一般的です。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1.専門機関への相談 | 事業承継・引継ぎ支援センターやM&A仲介会社などに相談する |
| 2.自社の現状把握 | 財務状況や経営課題、経営資源などを整理する |
| 3.募集情報の登録 | マッチングサイトや後継者人材バンクに企業情報を登録する |
| 4.候補者との面談 | 複数の候補者と面談を重ね、適任者を見極める |
| 5.条件交渉・契約 | 譲渡条件や引継ぎ内容について具体的に交渉する |
以下では、後継者を募集する手順について解説していきます。
1.専門機関への相談
後継者募集の相談先として、以下の機関を活用できます。
- 事業承継・引継ぎ支援センター
- 日本政策金融公庫
- M&Aマッチングサイト
- 経営コンサルティング会社
- 税理士・弁護士などの士業
初回相談では、事業の現状や課題、希望する承継方法などを専門家に相談できます。
その後、必要に応じて中小企業診断士などの専門家が詳細診断を行い、事業承継計画の策定やマッチング支援を実施します。
スムーズな相談を進めるために、決算書や商業登記簿謄本、株主名簿などの基本的な資料を準備しておくことをおすすめします。
また、自社の財務状況や経営課題を整理しておくと、より具体的なアドバイスを受けられます。
2.自社の現状把握
後継者を募集する際には、自社の現状を正確に把握することが重要です。
財務状況や経営課題を明確にすることで、適切な後継者選定や円滑な事業承継につながります。
自社の現状把握では、以下の3つの視点から実態を整理することが重要です。
| 確認項目 | 詳細 | 必要な書類・資料 |
|---|---|---|
| 財務の現状把握 | 実態貸借対照表 実態損益計算書 資金繰り状況 個人との貸借関係 | 決算書3期分 法人税申告書 キャッシュフロー計算書 |
| 法務の現状把握 | 株式の保有状況 契約関係 許認可 コンプライアンス状況 | 商業登記簿謄本 株主名簿 契約書類 許認可証 |
| 事業の現状把握 | 市場環境 顧客基盤 商品・サービス 競合状況 SWOT分析 | 経営計画書 組織図 顧客リスト |
財務状況の把握では、特に過去3〜5年分の決算書や財務諸表を確認することが大切です。
貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書の財務3表を分析することで、会社の収益構造や資産・負債の状況を正確に理解できます。
準備すべき主な書類としては、決算書3期分、法人税申告書、商業登記簿謄本、株主名簿、契約書類、許認可証などが挙げられます。
上記の書類を事前に揃えておくことで、専門家への相談や後継者との交渉がスムーズに進みます。
3.募集情報の登録
後継者募集の情報を登録できる主な窓口と、その登録手順は以下の通りです。
基本情報として、地域・組織形態・業種・事業内容・業歴・売上高・経常利益・従業員数・役員数・許認可などを入力します。
ただし、個社が特定されるリスクを避けるため、売上高や従業員数はレンジ表記(例:売上高1億円~3億円)で記載するのが一般的です。
また、希望条件では、譲渡理由・希望する譲渡形態(株式譲渡・事業譲渡など)・希望譲渡金額・譲渡先への希望・希望時期などを明確に記載します。
譲渡理由は「後継者不在のため」など50文字程度で簡潔にまとめるとよいでしょう。
4.候補者との面談
面談では、経営理念や事業への想い、人柄などを直接確認し、相互理解を深めることが重要です。
後継者候補との面談は、一般的に以下のような流れで進めます。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1.名刺交換 | 開始時間の少し前に集合し、参加者全員で名刺交換を行う |
| 2.自己紹介・会社紹介 | 双方が自社や自身について紹介する |
| 3.質疑応答 | 事業内容や経営方針、今後のビジョンなどについて対話する |
| 4.工場・店舗見学 | 実際の事業現場を見学してもらう |
経営者としての資質については、実務に関する知識と経験、経営能力、経営を受け継ぐ覚悟、リーダーシップ・決断力などを見極めましょう。
特に、困難な状況での経験や会社を優先する姿勢があるかどうかは、後継者として重要な要素です。
初回面談で双方が前向きに進めたいという意向があれば、意向表明や基本合意締結に向けて複数回の面談を重ねるのが一般的です。
後継者育成には5〜10年かかるといわれているため、余裕を持って複数の候補者と面談を重ね、慎重に見極めることが大切です。
5.条件交渉・契約
後継者候補が決まったら、条件交渉と契約締結に進みます。
この段階は、事業承継の条件を具体的に決定し、法的拘束力のある契約として取りまとめる重要なプロセスです。
条件交渉から契約締結までは、以下のような段階を経て進めます。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1.意向表明書の受領 | 後継者候補から譲受意向や希望価格、スケジュールなどが記載された書面を受け取る |
| 2.基本合意書の締結 | 大まかな条件(譲渡価格、スキーム、スケジュール等)について合意する |
| 3.デューデリジェンス | 後継者候補による財務・法務・税務などの詳細調査 |
| 4.最終契約書の締結 | 全ての条件を確定し、株式譲渡契約書または事業譲渡契約書を締結する |
条件交渉と契約締結は、事業承継における法的な確定手続きです。
まず意向表明書により後継者候補の意向を確認し、基本合意書で大まかな条件を合意します。
譲渡価格は企業価値評価に基づき交渉で決定され、中小企業では時価純資産法や簡易算出法(時価純資産+実質営業利益×3〜5年)が用いられます。
その後、デューデリジェンスを経て最終契約書を締結し、譲渡対象や価格、表明保証などを確定します。
表明保証は重要な条項であり、虚偽があれば損害賠償責任が生じるため、専門家のアドバイスを受けながら慎重にチェックすることが大切です。
非上場企業では譲渡制限に注意し、株主総会承認と株主名簿の書換え申請が必要となります。
このように、条件交渉と契約締結は、事業承継を法的に確定させる重要なプロセスです。

後継者不在に関するよくある質問
後継者不在に関するよくある質問に回答します。
- 後継者がいない理由は何ですか?
- 後継者のいない会社を買う時の注意点はなんですか?
- 後継者がいない場合に廃業を決断する判断基準はなんですか?
- 後継者がいない仕事はどのような業種が多いですか?
- なぜ職人は後継者がいないことが多いのですか?
- 後継者がいない農家の事業承継はどう進めればよいですか?
事業承継や後継者問題でお悩みの経営者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
後継者がいない理由は何ですか?
後継者がいない理由には、少子高齢化や事業の将来性への不安、親族内承継の減少などが挙げられます。
| 理由 | 詳細 |
|---|---|
| 少子高齢化の進行 | 若年層の人口減少により、後継者候補となる人材そのものが不足している |
| 親族内承継の減少 | 子どもや親族が家業を継がず、自分のキャリアを優先する傾向が強まっている |
| 事業の将来性への不安 | 経済環境の変化や競争激化により、事業の先行きが不透明 |
| 事業承継の準備不足 | 承継に向けた計画や準備が進まず、適切なタイミングで後継者に引き継げないケースが多い |
| 経営負担の増大 | デジタル化への対応や複雑化する経営環境が、後継者にとって重い負担 |
このように、後継者不足の背景には人口動態の変化や価値観の多様化、経営環境の複雑化といった複合的な要因があります。
上記の理由を理解することが、事業承継問題の解決に向けた第一歩になります。
後継者のいない会社を買う時の注意点はなんですか?
後継者のいない会社を買うときの注意点は、事前にリスクや課題を十分に把握することです。
後継者不在の企業は経営課題だけでなく、従業員の不安や契約関係、財務状況の把握など、通常のM&Aと比べても多くの確認事項が発生するからです。
例えば、従業員は突然の経営交代に戸惑い、離職リスクにつながることがあります。
また、取引先との契約が後継者名義のままになっていたり、過去の財務や債務に問題が潜んでいる場合もあるため、専門家によるデューデリジェンスや相談は欠かせません。
後継者がいない場合に廃業を決断する判断基準はなんですか?
後継者不在で悩む経営者にとって、廃業を決断する判断基準は、以下です。
| 判断基準 | 詳細 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 財務状況 | 負債が多すぎる、または収益性が低い状態が続いている | 債務超過の有無、資産と負債のバランスを確認 |
| 後継者候補 | 親族・従業員・第三者含めて適任者が見つからない | M&Aも含めて検討したが承継先がない |
| 市場環境 | 業界全体が縮小傾向にある、競合優位性がない | 将来的な成長見込みと市場における自社の地位 |
| 経営者の状況 | 高齢化や健康不安により経営継続が困難 | 体力的・精神的負担の増大 |
廃業を決断する前には、まず事業承継の可能性を十分に検討することが推奨されます。
具体的には、財務状況を再評価し、M&Aによる第三者承継や事業承継・引継ぎ支援センターの活用など、あらゆる選択肢を検討した上で、それでも継続が困難と判断される場合に廃業を選ぶのが適切な流れです。
特に2025年現在、約50%の60歳以上の経営者が後継者不在の状況にあり、黒字廃業も増加傾向にあることから、早期の判断と計画的な廃業が重要となっています。
後継者がいない仕事はどのような業種が多いですか?
後継者がいない業種は建設業や自動車関連、医療業などの業種です。
理由は、専門技術や資格が必要で、若手が簡単に継ぎにくいためです。
帝国データバンクの2024年調査によると、業種別で後継者不在率が最も高いのは「自動車・自転車小売」(64.9%)で、次いで「医療業」(61.8%)、「建設業」(59.3%)が挙げられます。
これらの業界は人材不足や後継者候補の高齢化が進み、地域を支える中小事業者が存続の危機に立たされています。
一方で、製造業や金融・保険業では後継者確保が進み、比較的低い不在率となっています。
つまり、技術承継や専門人材育成が難しい分野ほど、後継者探しが深刻化しているのです。
なぜ職人は後継者がいないことが多いのですか?
職人は後継者がいないことが多い理由は、技術の習得に長い年月を要する点にあります。
熟練の技を身につけるには長期間の修行が必要で、若い世代にとっては時間的・経済的な負担が大きいのです。
また、収入が安定しにくく、将来性が見えづらいことも敬遠される要因となっています。
さらに、職人の多くが家族経営や個人事業で事業承継の仕組みが整っておらず、「技術はあっても継ぐ仕組みがない」状態に陥りやすいことも問題です。
こうした背景から、貴重な技術が次世代に十分に引き継がれない状況が続いています。
後継者がいない農家の事業承継はどう進めればよいですか?
後継者がいない農家が事業承継を進めるには、第三者に農業経営を引き継いでもらう「第三者承継」を活用する方法が効果的です。
第三者承継が有効な理由は、親族や従業員に後継者がいなくても広く後継者を探せる点にあります。
農地は公共財としての側面があり、単に廃業するわけにはいかないため、地域との調和を図りながら事業を引き継ぐ必要があるからです。
また、新規就農者にとっても、農地や技術を一度に引き継げるため初期投資が軽減され、1年目から安定した収入を得やすいというメリットがあります。
後継者問題・事業承継は日本プロ経営者協会にご相談ください
事業承継や後継者不足、経営統合などでお悩みの経営者様へ。
「日本プロ経営者協会」は、国内最大級のプロ経営者ネットワークと専門的な支援体制を活かし、あらゆる業種・企業規模で事業承継課題の解決をサポートしています。
事業内容や経営理念を理解した候補者と複数回の面談を重ね、納得のいく承継が実現可能です。
将来に不安を感じている方や、承継方法に迷う方も、まずは気軽に日本プロ経営者協会へご相談ください。

| 日本プロ経営者協会の概要 | |
|---|---|
| 名称 | 一般社団法人日本プロ経営者協会 |
| 設立日 | 2019年7月 |
| 活動内容 | プロ経営者によるセミナーの開催 企業への経営者の紹介 経営者に関する調査・研究 書籍の出版 |
| 代表理事 | 小野 俊法 堀江 大介 |
| 所在地 | 東京都千代田区丸の内1-6-2 新丸の内センタービルディング21階 |
| URL | https://www.proceo.jp/ |
まとめ
後継者不在は、企業の存続危機だけでなく従業員の雇用不安や、長年培った技術・ノウハウの消失など、多くの関係者へ重大な影響を与えます。
後継者を決めることは、経営者個人の問題だけではなく、会社全体・地域社会を守るためにも重要です。
主な選択肢としては「親族内承継」「従業員承継」「M&A」「廃業」の4つがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
どの選択肢も、早めの準備と会社価値向上が重要で、専門家やマッチングサービスの活用が効果的です。
後継者不足の課題を感じている経営者は、できるだけ早く事業承継の準備を始め、会社の財務状況や経営体制を見直し、複数の選択肢を比較検討しましょう。
