堀江大介:一般社団法人 日本プロ経営者協会(JPCA)は、日本に多くのプロ経営者が生まれ、活躍するためのエコシステムを創出し、活力あふれる日本をつくることを目指して設立されました。
日本では、年功序列やジョブローテーションの構造上、「経営者になるまでの筋道」や「経営の機会」に若い世代がアクセスしづらいのが現実です。
一方で、超高齢化に伴う事業承継問題は深刻化しており、優良な中小企業ほど、意欲と実行力を備えた”経営人材”を求めています。
JPCAでは、こうしたギャップを埋めるべく、プロ経営者の働き方やキャリアの具体像を、実例とともに発信しています。
今回の連続企画ウェビナー「プロ経営者のリアル」では、2026年6月2日(火)に「プロ経営者のすべて ~ROI 6倍、100社超投資経験のPEファンド代表が語る プロ経営者のなり方・成功法・収入~」を開催しました。
弊協会会長であり、マラトンキャピタルパートナーズ代表取締役の小野俊法より、ファンド目線で、プロ経営者に関して皆様が気になるであろうテーマに関してお話をさせて頂きます。
では、小野さんよろしくお願いします。
小野 俊法氏:それでは今回、プロ経営者の全てということで、私もプロ経営者に関連する案件をこれまで25社ぐらいやってきている立場から話させていただきます。それぐらいやってくると、いろんなものが見えてきた感覚が出てきておりますので、そういったものを皆さんに共有させていただいて、皆さんのプロ経営者人生だったり、経営エグゼクティブ層に上がるフェーズにいらっしゃる皆様の、生活が豊かになったり仕事力が上がるような話につながればいいなと思って、この話をさせていただくことにいたしました。
今回、プロ経営者と書いてあるんですけども、プロ経営者協会の中では、ロッテの玉塚さんみたいな大企業のプロ経営者でなくて、中小企業の事業承継になるフェーズの経営者さんに関する話がメインというふうに思っていただければなと思います。
今日はこういう4部作で話をしていきたいと思います。


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登壇者のご紹介

小野 俊法氏:まず、私の話ですね、(協会のウェビナーなので)私のことをご存じの方もいらっしゃるとは思うんですけども、あんまり詳しくない人もいらっしゃると思いますので、ちょっと私の話は聞く価値がありますよっていうことを感じていただく為に、私の経験等どういう人間かをお話しさせていただきたいと思います。
まず、私はマラトンキャピタルパートナーズという会社を立ち上げ、経営しております。
今45歳ですが、二十代前半で自分で海外で会社を作ってExitしているというところが他のファンドの社長の中では比較的珍しいタイプの人間でございます。
これが、他の金融機関やコンサルティング会社出身の方が経営する多くのファンドさんよりもリターンが高い理由になっています。基本は経営なので、他のファンドさんと似ている所も多いのですが、根本的な部分でリターンを高める為の異なるアプローチを取っていたりしますので、高い成果につながる理由になっていたりすると、他のファンドさんがやっている事を見ながら思っています。
今だとAUM、総運用額で460億円ぐらいのファンドを運用しています。創業以来6-7年で460億円で110社程度に投資する予定ですが、この年数でこの数は日本で歴代最多になると思います。今後は3号か4号では1000億円のファンドになると思いますが、1000億円のファンドであれば150社前後の案件に取り組む事になると思います。私の過去の経験の中で、過去プロ経営者を活用する案件に25社ぐらい関与したことがあります。
ファンドの経営の基本としては他業界の素晴らしい会社、経営者から学びますが、同業他社の事を知ろうとすることはあっても、真似はしません。同業他社がこうしている、それよりも大きく上回る為には何をすべきか、それを常に考えています。
むしろユニクロとかキーエンスとかドン・キホーテ等の異業種から学んだり、イーロンマスクから学んで参考にする事も多いです。
あとは投資家様、企業様、従業員様、全てのステークホルダーに作ります。当社では全体最適と言っていますが、部分最適で目の前の投資家様だけのこと見て経営をすると、逆にリターンが上がらず、投資家様のためにならなくなってしまいますので、皆さんを幸せにすることで投資家様も幸せになって、社会にもプラスになるということができています。経営者はそういう者だと思っています。
そういうことをやっていくので、うちの社員はVPという立場で、外資系証券会社のIBD(投資銀行部門)のMD(マネージング・ディレクター)の頂点に迫るような、もしくはそれ以上の報酬が得られるような状況が作れているかなと思っております。当然、キチンと価値を生む人材であることが前提ですが。
一方で、多くのファンドさんは銀行の借入の度合いを上げてリターンを高めたがりますが、僕らはそういった企業に負担になる水準のローンは調達せずに、企業価値を毀損する様なコストカットはせず、別の部分で価値を作る様に心がけています。
それでも現在は企業価値を作って他のファンドさんよりも高いリターンを作ることで、投資家様に業界では最高レベルのリターンを提供できているファンドであります。
そうしながら、資料には上位5%って書いてますけども、今のところは投資家様の声から想像するに、上位数%以内ぐらいでリターンが得られているような投資ができてるんじゃないかなと思ってます。
登壇者のトラックレコードのご紹介

小野 俊法氏:マラトンの話をさせていただきますと、私自身は自分の個人の案件30件と(マラトンキャピタルの投資件数)50件で合計80件ぐらいの経験値があって、リターン平均としても前職でレバレッジをかけずに行った投資でROIが3.1倍、マラトンに関してはネットレバレッジレシオというのが2倍ぐらいでROIは現在までの10社のEXITで6倍弱です。
普通だとネットレバレッジレシオが4倍とかがPEファンドの業界では普通で、弊社よりレバレッジが高いんですけども、うちの場合はその半分ぐらいにレバレッジの制限をかけながら、他のファンドでは考えられないような高いリターンが得られている形でございます。
じゃあ高いリターンというと金融マンの方はハイリスクなのでしょうね、と思うと思いますが、実はローリスクで、1号ファンドで37社位に投資していますが、全ての案件でリターンをあげられる可能性もそれなりにあります。通常のファンドは10件に1件程度が元本棄損するといわれますので仮に全てで元本棄損しない結果が得られた場合は非常にリスクが低いという事ができると思います。
普通だったらファンドサイズが小さくて100億円未満ならROIが2倍も出しやすいですが、ファンドサイズが100億円を超えると、これまでのPEファンドさんではリターンが2倍も超えなくなる傾向がある一方、当社はレバレッジは業界最低水準ながら最初の10案件のEXITでは5.9倍近くのROIを得ています。
うちの場合は、設立・運用する全てのファンドでROIが業界上位10%のゾーンから下に行くことはないようにしていきましょうということを社内でも明言していますが、実際にこれまでやってきたことを総合すると可能な水準だと考えています。
ファンドから見たプロ経営者のキャリア・向いている人

小野 俊法氏:次にプロ経営者になれる人、ファンドの目線から採用したい人をお伝えしたいと思います。
まず採用したいナンバーワンは当然ですけど、中小企業のCEO経験者でございます。
これCEO経験者でも上場会社の子会社とかでも、サラリーマン社長でもなく、当然プロ経営者を経験した人が一番採りたい人になります。
じゃあどういう人がそうじゃないかっていうと、大企業だけだったり、大企業の部長とか役員だけだと、中小企業の少ないリソースでの想像ができない方もいらっしゃる。「大企業だったらライバルができない何十億円の投資をして、、、こんなことできたけど」って言われても困るので、大企業の部長とかコンサルだけっていう人は少し厳しい場合が多かったりします。実際に立場的に他のファンドの投資先で失敗した案件の裏の話を聞くことが多いですが、プロ経営者にはこのタイプはかなり多いです。戦略のロジックは正しいけど、それを実行できるリーダーシップ、リソースが無い中でも実行する逆算力、等がない事で、失敗した事例には枚挙にいとまがないです。やはりその点中小企業のリソースで最大のアウトプットを出した経験がある人は強いです。
一方で、多くのプロ経営者候補者さんは、プロ経営者のCEOの経験がないので、なりたいのにプロ経営者のCEO経験が無いと採用できませんと言われても困ると思うんで、こういう人だったらなりやすい現実路線、という趣旨でお伝えすると、大企業、中小企業でもいいので、そこのトップクラスの実績をまず作っていただいて、そうすると、中小企業の幹部的なところに採用いただけることは多いかと思いますので、そこで何年かして、中小企業の幹部としての経験を経ながらCEOに近づくような道を歩んでいただけるといいのかなと思っております。
昨今だとサーチファンドがCEOへの近道ということで、社会的に経営未経験の若者に経営者のチャレンジの場を用意していただいていると思います。リスクを取って経営者の経験をさせて経営者の育成をする、というのは社会的に価値はあると考えています。一方で、うちのレベルだと、経営未経験のサーチャーさんがサーチャーの傍ら経営者ポジションに応募いただく事がありますが、正直なところ、ウチでは経営者として採用される可能性はほぼないです。サーチファンドでサーチャーさんとして経営経験を積んでいただいた後であれば、仮に1件目のサーチャーとしての新米経営者で失敗したとしても、経営者経験があり、ある意味プロ経営者になったと言えなくはない状況ですので、そういう人であれば我々の案件でも積極的に採用させていただく可能性があります。
よくあるのはベンチャーの幹部経験とか起業ってどうですか?って言われるんですけども、ないよりは全然いいんですけども、私自身プロ経営者協会の話もしていますけど、創業経営者の経験しかなくて、プロ経営者の経験がないんですね。
そういう立場からすると、やっぱり創業経営者の方が株主への説明責任もあまりなく、何か個人的な勘というか、個人的な頭の中のコンピューターで計算して、これでいけるなと思ったらそれでやっちゃうので、プロ経営者とは、経営者としての競技が違うと考えます。タイプにもよりますが、創業経営者として成功した方であればある程度プロ経営者としての成功の再現性はあるとは感じます。
創業経営者は、社員も「まあ、この人創業者だし、株主だし、基本的にはもう言うこと聞くしかないよね」ってなると思うんですけど、そうじゃなくて、プロ経営者ってのは違う社長が経営してきた会社を引き継いで、外から入ってきていきなり経営者になるんで、「あのオッサン誰?」みたいなところから始まるので、より難易度が高いと思っています。
なので起業、ベンチャーもないよりはあった方がいいんですけど、そこでじゃあスーパースターだからといってプロ経営者で同じように活躍できるかっていうと、そこにアジャストできない人は失敗していて、大失敗した人も結構私も見てきております。
なので、まとめますと、大企業などでトップクラスの実績を作った上で、中小企業の幹部となり、そこからプロ経営者(CEO)に近づいていく、というのが現実路線なのかなと思っています。
結果を作る人達の特徴

小野 俊法氏:結果を作れる人達ですけれども、4つの共通点があるのかなと思っています。
社員はもちろん、会社そのものへの「敬意」の解像度が高い、要は今までのオーナーが作ったものをいきなり否定しないとか、いきなりこれダメだからガラガラポンしますよみたいなことはしないと。
まずは非効率なところがあったとしても、まずは理解するっていうのを最初にしていただきたいなっていうところでございます。
次に、「リーダーシップよりもフォロワーシップ」ってありますけども、リーダーになる前に、まずは信頼を勝ち取ってくださいと。
勝ち取らない人に、いきなりリーダーにはなれないので、まずは社員に寄り添い、困ったことを解決して「あの人解決してくれるな」ってまずは信頼感を築いてほしいと。
同時に現場に下りて泥臭さを持ってフォロワーシップを獲得する。つまり従業員、まずあなたがフォローした上で「この人って最初は何かいきなり来て何だ?と思ったけど、意外と頼れるな、従業員の方も見てくれているな」という空気感を作ってもらうのがいいかなと思います。
3つ目は「自己目的化しない」自分のためだけにやるのでなくて、預かった会社の30年先を作ることに純粋に興奮できる人が成功できると思ってます。
短期最適、個別(自分)最適じゃなくて全体最適。
それが最終的にはその会社が成功することができる
プロ経営者になって、自分の成功につながるかなと思っています。先ずは、自分の成功の前に、経営している会社の成功、そのためには社員達の成功を引き出すんですよ、と当たり前すぎる事なんですが、何故かできない人も多いです。
ただ今年の利益だけじゃなくて、将来を語れて、これをすることで今年が良くなるだけじゃなくて、将来が良くなるんですよっていうのが、やはりセットとして思っていただけるようなことが語れる人じゃないと、なかなか従業員がフルにコミットしてくれないんじゃないかなと思います。
最後に、株主が自分じゃないのがプロ経営者の立場でございますけれども、多くの場合は株主側の社長ではなく、基本的には社長ではない担当者が窓口になったりすることが多いですが、基本的には担当者だから使いっぱしりだろうと思わずに、(そうさせる担当者が悪い部分もあるんですけども)担当者はいいパートナーと思いながら、その人を上手に使いながら、株主と上手に付き合っていくっていうのをやっていくといいんじゃないかなと思います。
Bad News First、悪いことはちゃんと言うと、言うだけじゃなくて「どうするの?」ってのを聞かれる前に、こういう風に考えて、こういうふうにやろうと思っています。
いついつからやりますっていうのをちゃんとセットで話して、ちゃんとやるっていうところが非常に大事です。
以上の4つをすることが成功への近道です。
大企業エリート街道だけの人が失敗してしまう理由

小野 俊法氏:逆に、プロ経営者をできそうでできない人っていうのが、大企業のエリート街道だけの人です。彼らが失敗しやすい理由があるんですけども、プライドが高いのでまず上から意見を押し付けてしまう。
「俺がこれ考えたんで、これをやって」みたいな感じでガラガラポンをいきなりし始めるとかですね、その人がまさに会社を壊してしまって、会社が再生フェーズに入って、私ファンドマネージャーもやってますけども、ファンドが入った会社でプロ経営者がボロボロにした会社が何かなだれ込んでくるというのをたまに見てますが多くの場合失敗の理由はこれです。
なぜそういうことになったかっていうと、大体の場合、大企業出身もしくはコンサル会社出身の人等がその会社でサラリーマン社員としてはキレキレでロジカルだったのでプライドが高く、中小企業を下に見ていたりします。そういう人が机上の空論を振りかざして、誰もついてきてないものを押し付けて、潰してしまうという事です。
俺が社長なんだから、俺の言うことを聞くもんだろ、みたいな形でやってしまう人は、さっきの話と同じように会社を壊してしまうということですね。
大体この人たちってそういう感じなんですけど、自己目的化する。
中長期のことは知ったこっちゃないみたいなところが、自分のキャリアと利益だけに興味を持つみたいな人が比較的そういう風になりがちかなと思ったりしています。
人って目の前の目標の先の長期的なゴールに何があるかを知って、そのゴールに向かって目の前の目標をクリアしていく動物だと思います。今日の晩飯を取る為に苦しくリスクがある狩りに出る訳ですから、数字だけを示しても人間は動かないというわけです。ダメな人は数字を押し付けてもその先のビジョンがないので、まさに社員の方々が心の底からその人をフォローしてくれないみたいなことも出てくるのかなと思います。
そういう方々っていうのは往々にして株主の担当者を使いっぱしりのように考えちゃってるので、株主の担当者との信頼関係もなくて、悪い状況の話はしても、なかなかどうするかを考えず、仮に考えて言ったとしてもやらないです。
その辺って担当者の技量でもあったりするんですけども、そういうふうにしてしまって、で、当然良い結果が出ないっていう人は多いです。
一般サラリーマン社長と『プロ経営者』の違い

小野 俊法氏:次に、大企業サラリーマンの社長とプロ経営者の違いを触れさせてもらいます。
大企業の社長は、自分の任期内を無難にやるっていう、無難というのは(売上や利益が)微増していくってことですね、意思決定としては、前の社長がやったやつを、前例を踏襲する場合が比較的多いのかなっていうイメージです。一方でプロ経営者の場合は多くの場合ファンドが伴うことになったりしますんで、任期がある程度限られているっていうところが多く、その期限で企業価値の最大化が目標となってきます。
プロ経営者の場合は非連続な成長が一つのミッションにはなったりする中で、それを達成すべく改善、変える必要が出てくるっていうところでしょうか。
後継者の育成はサラリーマン社長の場合は部下の層が豊富なので、属人的、俺の部下のお前は次はこの位置だからっていう感じでやっていくケースも多いと思いますが、プロ経営者の方は、自分が居なくても経営が継続する仕組みを構築する事、と私の方では思っています。
プロ経営者はずっとその会社に居座るっていうのがいいとは私は思ってなくて、むしろ下から上がれる仕組みにして、上げられるような能力のある人を見定めて、その人を育成し、それが代々続いていくようなものにしていくのが、プロ経営者の最終的な役割なんじゃないかなと私は思っております。
創業社長と『プロ経営者』の違い

小野 俊法氏:創業社長をやってもプロ経営者になれない人もいますってお伝えしましたけども、自分の意思で創業社長は全部決められてしまいますので、成功の結果がついている限りは誰も反対しないし、自分が責任を取る覚悟ですから、別に細かいこと相談しなくてもバンバン決められるっていうのは良い点でもありますし、だからこそ、逆に創業者がいなくなると問題にもなったりするという感じですね。
プロ経営者とオーナー社長ってのは違う競技みたいなもので、例えばオーナー社長のスーパースターみたいな人がプロ経営者で失敗する事例っていうのは多数見てきております。
プロ経営者就任後の成功への王道

小野 俊法氏:皆さんも一番聞きたいところかもしれませんけれども、プロ経営者就任後の成長への王道みたいなところを触れさせていただきたいと思います。
全体の話としては守破離という言葉を使うと一番収まりがいいと思うんで、その言葉を使って全体の話をして、あとは具体の話の流れとなってます。
プロ経営者就任後の成功への王道 ~守破離~

小野 俊法氏:それじゃまず「守破離って何?」という話。日本の茶道から来ている言葉です。プロ経営者に当てはめますと、外から会社に入るのでまずは土足で上がり込まず、会社の伝統、文化を知り、困った事を解決し、小さな事から信頼を獲得しましょう。その次に自分の色を出したり、自分の得意技を会社に持ち込んで改善、改革をしましょう。最後は自分が離れても成長が止まらない仕組・組織を作りましょうということです。
それで次の経営者に渡して、次の経営者も守って破って離れっていうのをやっていけば、延々と事業承継が繋がっていくということで、これがある意味、事業承継の最終的なモデルなんじゃないかなと私はずっとこの業界に関わってきて思ったりしていました。
まず守るというところですけども、企業が長年培っていった見えないルール、何か非効率に見えるんだけども、実はこういうことを考えて全体最適のためにこういう風に考えて、ルールがあったりするので、そういったものをちゃんと勉強しながら、理解しながら言語化して、部分で判断せず全体を俯瞰して丸ごと理解していくってことです。
破の部分ですけども、全体を理解した上で、この点は変えた方が爆発的に伸びる、という事を入れていきます。今だと、AIで業務プロセスを省いていくとかも有りますし、より納得感のある評価制度にして、納得感がある評価システムをビルドインしていくとかは経営の核心でもあるので入れていったりします。多くの中小企業は部分最適の塊で、一見合理的に見えて、全体としては合理的じゃない事が沢山あり、改善、改革の余地は沢山ある場合が多いのでやってもらえればと思います。ただし、かならず”守”の後にやらないと、正しい事をやろうとしても簡単に崩壊につながります。
ここで進化させないとそのまま伝統・安定という名の停滞を続ける会社になってしまうので、それを超えて飛躍できるように停滞の原因を破る必要があるという事です。何度も言いますが、そのときに最も大事なのは、社内の納得感だと思います。きちんと全体最適で長期的には破る事が会社の為、ひいては社員の皆さんの為になる、という発信とセットにしないとダメです。
最後の離ですが、最終的には自分が作ったものを仕組み化・組織に残して、後継者に譲り最終的に自分いなくても成長が止まらなくなる会社にしていく。そういうフェーズに入ります。オーナーから初めての事業承継が難易度高いですが、1回成功してしまえば次の人にも引継ぎがしやすい会社になっています。
私、プロ経営者の目標とすべき会社はキーエンスだと思います。とても尊敬しています。
なぜかというと滝崎さんは必ずしもカリスマでないですし、滝崎さんが去った今でも成長が止まらなくなってるんで、ああいう会社を作るのがまさに理想だなと思ってます。
プロ経営者就任後の成功への王道 ~守~

小野 俊法氏:それでは、守破離について一つに関してより詳しく話していきたいと思います。
“守”の部分ですけども、一言で言うと、対象会社をまず学んで、株主、社員、取引先等とのステークホルダーと信頼関係を築いてください、ということです。
社員から学ぶ方法は、皆さんと頻繁に話して、なんでこの人達ってこういう思考、こういう関係、こういう話、こういう反応するのかっていうのを一人一人に聞いた上で理解してくださいと。
人間関係とか社内の制度を勉強してくださいと。
できるだけ暗黙知も言語化して残せるようにしてっていうところと、勉強して自分の血肉にしていくっていうところです。この段階でのキモは部分的にはおかしい様に見えて、全体を俯瞰してみると必要な事もあるので否定しないということです。
あとは株主さんが自分ではない場合がプロ経営者なので、その株主の担当との信頼関係を作るのも皆さんあんまりしない人もいるんですけども、重要なのかなと私は思っています。
そうしないと、やろうとした時に難癖つけられたりするんで。
ステップ2は、この人は頼れる、この人は味方だという関係値を社員と作るっていう形でございます。
まず何か社員が困っている、少しでもこうやった方がいい、大した問題じゃないけど困ってたみたいなところをさっさと解決してっていうのが、信頼関係を作っていく上で重要なのかなと思ったりします。
そういうことによって、この人に付いていけば自分の人生良くなるし、会社も成長を目指すといっても根性で成長するのではなく、効率的に、楽になるなというようなことを整えていくという形です。
大幅に変える前にまず小さく変えて、この人いいことやってくれる人なんだ、という信頼を醸成してくださいということですね。
あとは共通言語を作って、みんなの方向性を同じにする事も大事です。
例えばうち(マラトンキャピタル)だったら先ほどお伝えしたとおり、全体最適、長期最適、急がば回れ。
昔からある言葉。頻繁に週に何回か使ったりするんですけども、そういったものを使うことによって何か決断を迷った時に、全体最適にはこっちじゃない?とか、短期的にはこっちなんだけど、長期最適的にはこっちだからこっちにしようとか、社員の皆さんが同じ方向を見て同じ判断ができるように、そのミッション、理念を毎回具体的な事象が起きた時にうちの理念こうだからこれにしようとか、その理念が常にぶれないようにやっていくと。
そうすることで、個別のイシューがあった時に、うちの社員とかも「全体最適かな」って皆さんが言うような状況になっていますけども、そういう風に同じ社内の人たちと同じ言葉で、同じ判断基準で判断できるような仕組みにしていく。
場合によってはKPIとかをきちんとその全体最適、ここで決めたものに沿った動きを評価する様なKPIを入れてやっていく。
これがKPIを設定し間違えると結構実は破壊的なことになったりするので、ここを間違えないようにしたいところです。ちょっと抽象的で分かりづらいと思うんですけど、例えばファンドの経営者からするとですね、よくあるのがこの案件俺が持ってきたんで俺に利益の10%くださいみたいなのを主張したとか、そういうルールがあるファンドもあるんですね。
そうすると何が起こるかっていうと、持ってきた人が偉いってなっちゃうんで、じゃあ持ってくるルートを俺が抑えるみたいな感じで、その入り口となる太いパイプになるような会社を俺が押さえに行くとかそういうことになる。
部分最適的には、皆さんに良い案件を持ってきてほしい、だから良い案件持ってくるこの人にいっぱい賞与あげようっていうのが正しいように見えるんですけども、それをやってしまうと良いパイプラインが先に入社した人に抑えられてしまって、後から入った人が優秀だとしてもチャンスがなくなって、既得権の塊みたいになっちゃって後から入った人のやる気を削ぎ、長期的な組織の成長の妨げになります。そういうインセンティブが出ない様なKPIにしていくしかない。
この様に、全体の長期的な成長につながるようなKPIに設定するっていうのは、KPIを作るときの一番大きな注意事項じゃないかなと思います。
プロ経営者就任後の成功への王道 ~破~

小野 俊法氏:次が“破”です。やはりいろんな非効率な習慣、会議の数だったり、これずっとやってきたから、今更やめちゃうと損失確定になっちゃうから続けようかみたいな仕事だったりあると思います。
一方で、短期的にはコストが先行しているけど、長期的な成長には意味があり、芽が出てきてるよねっていう事もあり、かなり慎重に判断しなきゃいけません。
その会社の置かれているフェーズによって、ちょっと切らなきゃいけないところは切らなきゃいけない部分がある一方で、無駄を省くにしても、いきなりやるのではなくて、ある程度信頼感を得た上でやってくださいということですかね。
やっぱ大きく飛躍するための成長の扉への鍵が、沢山あるのが中小企業なので、その鍵を一つでも多く、発見してもらいたいですね。
あと、やはりプロ経営者になられる方は、その会社にはないものを持ってですね、その会社に応用できるものを持って会社に入っていかれると思いますので、その持ったものを“破”のところで導入していただければなと思います。
一般的に“守”の後のフェーズで“破”をすべきところを、“守”であるフェーズでやり始める方が多くぶっ壊して崩壊させてしまうので、“守”の後でやってくださいという事が言いたい事です。
再生企業で今からあと2ヶ月後にキャッシュアウトしますみたいな会社はもう“破”から入るしかないんですし、そういった状況ではその会社の社員も状況を把握できているので、“破”から入る合理性も有りますが、うまくいっている会社の事業承継のプロ経営者に関しては会社自体はうまくいっているわけですから、まず“守”から入って、その後に自分の強みだったりをどんどん入れてくださいっていうことです。
その時に、その会社の勝ち方、モデルを設計して、KPIに基づく評価制度を導入したりすると良いです。
結構評価制度が中小企業、なかなかいい評価制度が導入されてない会社が98%ぐらいあると感じますので、それを導入していくと良い組織、仕組になるんじゃないかなと思っています。評価制度、KPI、全体最適、全てリンクしていて、それが全て一貫性がある事が強い組織、大企業になれる中小企業になれると思います。ずっと中小企業にあり続ける会社にはないものだと思います。
私自身は、もともとはPEファンドの人にありがちなコンサル、投資銀行でもなくて、不動産ファンドと起業を経験した後で、その時のノウハウを今のマネジメントに使っています。それがPEファンド業界の中では珍しく企業価値向上やリターンにおいて、業界では頭抜けるような結果を作れているのではないかなと思っています。
最終的には自分が離れるフェーズが出てきますので、“破”の段階で次世代のプロパー社員を引き上げるっていうのは是非やっていただきたいなと思っています。
最終的にはプロパー社員・役員が社長になるっていう方が、プロ経営者として入った会社の未来を担う方々の期待値が上がるし、望ましいと思っています。
プロ経営者就任後の成功への王道 ~離~

小野 俊法氏:最後に“離”ですけども、最終的には経営システム、自分がやっていたものをどんどんデータと仕組みに基づいて組織に落としていってくださいと。
経営者が誰であっても企業が高いパフォーマンスをできるような、まさにOSを作ってくださいってことですね。
基本的には非連続な成長への挑戦ということで、既存事業を強化しながらも、もう次の事業を作っていくと。
そういう事業を作っていくとですね、やはり社員の方々からすると、この会社にいるとどんどん会社が大きくなって新しいポジションが出てくるんで、自分もどんどん上に上がれるので、皆さんが頑張ってコミットしてくれるみたいなものもあるので、極力一人のリーダーが引っ張るのでなくて、組織的にこういったものが生まれるような企業文化だったりも作っていくという形ですね。
最終的には自分がいなくても組織が回るようにして次なるリーダーにバトンを渡して一から始まったサイクルを完結させ、自分が身を引くという形にします。
プロ経営者に求められるハードスキル

小野 俊法氏:ハードスキルとソフトスキルの話をちょっとだけさせていただきたいと思います。
基本的にプロ経営者さんはですね、株主さんと投資先の社員双方を見なければいけず、双方の間に立つ翻訳者であってください、という話です。株主さんは目の前の利益とか、ファンドであれば最終的なリターンを見てますけども、プロ経営者が経営する会社の社員は、心を使って、現場社員の仕事をしている訳です。株主の求める利益を上げる為には社員さんのやる気を引き出してあげなければいけない、という事になります。
社員の方々は頑張ってますんで上からこう利益を上げろっていうノルマを押し付けるのではなく、現場が動ける様に翻訳して、具体的にどういうことをやって、無駄な事を省き、同じ時間で効率的にKPIを達成していこう、という現実的に可能な形に翻訳して社員に結果をあげてもらう翻訳家なんだろうなと思ってます。
言い方とかも、単に株主から「営業利益10%上げてください」というミッションを与えられたとして「10%上げるぞ」っていうのではなくて「10%上げるためには、売上で現実的にこういう方法で〇%作って、仕入れの金額はこうして〇%下げて、販管費ではAIやツール等を導入して無理なく効率的に仕事を回す事で労働時間を上げる事無くアウトプットを上げていく、という形で、各役割の人に役割を振って、無理なくやれる方法を考える」そういった仕組みを作るというのが、プロ経営者さんのハード面での役割かなと思ってます。
一方で、いろんな技術の開発、従業員を拡充して教育してキャパシティを厚くし、将来的な利益が上がる素地を作ることによって、その会社がすぐに利益が上がらなくても価値が上がっていくってこともありますので、そういったものをきちんと情報を整理して、それをきちんと見える化することによってマルチプルを向上するってのもできます。そういう構造をファンドと話しながら共に作り、ファンドの要望を現場が対応可能な形に落とし込み、かつ現場の声をファンドに翻訳して数値に変えていく事をしてほしいです。後者の話は、現場は「技術力や顧客基盤がうちは素晴らしいんです」っていう現場の声だけでは数字にならないので、何%競合他社比で優れているので長期的な企業価値にはこういう影響があると計算できる、というのをきちんと数字にして翻訳して見せて欲しい所です。
これがハードスキル的なところでございます。
プロ経営者に求められるソフトスキル

小野 俊法氏:ハードスキルだけでもある程度の普通の結果が残せる場合もあるのですが、実はソフトスキルが加わると、ハードスキルにレバレッジがかかるような、より高速な成長だったり、爆発的なスピードでの成長を実現することができると考えています。
何かを変革しなければいけない場合、ソフトスキルがあり、信頼のベースがある場合には、この人が変革する事で、こういう風にした方がみんなのためになると納得できるからやってみよう、という方向に組織全体が動くということですね。そういうベースが無いと、何をするにも疑心暗鬼、乗り気もしないし信じてもらえないので、変更しようにも抵抗が強く、変革する難易度上がりますが、信頼がある場合にはスムーズに変革していきます。
一方で、株主と社員の間に挟まって、非常に孤独で辛い思いをするプロ経営者さんも多いと思います。そういった状況でもやり抜く為のレジリエンスみたいなものを持っている経営者は当然強いです。
ここはそういった覚悟を持ってなきゃいけないですし、この孤独なところをマネジメントして冷静にちゃんと判断できるっていうのが大事なのかなと思っています。
プレッシャーにより狂いそうな時もあるんですけども、狂っても何の解決にもならないんで、私だと厳しい状況に追い込まれても悩む方にエネルギーを使わずに、神田明神にお参りして冷静な判断力に戻して頭で解決していくということをやったりしています。
あとは株主との関係ですけども、やはり担当者を重要視してくださいって感じですね。
社長じゃなくて担当者を重要視して、監視役じゃなくてリソースとして使い倒すと。
悪いニュースをちゃんと共有して一緒に解決すると。
担当者によってその経験値や能力があったりする人間もいますので一緒に解決してもらいたいなと思っています。
プロ経営者のバリューアップ・ロードマップ

小野 俊法氏:最後に守破離をまとめたいと思います。“守”で会社を学んだ上で信頼感を重視し、ついてこさせるようにすると。
その後ミッション、ビジョン、バリューみたいなものを作り、共通言語にして、この共通言語を会社の方向性のベースとしてやっていくといいんじゃないかなと思います。
“破”では、外部知見、プロ経営者なので、何か強い自分の強みがあるかと思いますので、この段においてようやく自分の強みで改善だったり、なんだかんだ言って変えた方がいいというところがあれば直していくと。
ここでできれば次のリーダーの候補を2人とかでもいいので選抜していくというのがいいと思っております。
最後の“離”においては、最終的に、自分が離れる準備をしながら仕組み化、システム化を進めていったり、また場合によっては次の成長に向けて現場に任せる部分からは離れながらも新規事業をチャレンジしていくと。
最終的には自律的な経営チームを確立して、社員による自律化をテストしながら回していくというように、最終的に自分から卒業させていくっていう形でございます。
プロ経営者は合理化の手段ではなく承継者ですと。
会社を承継するだけではなく、次のステップに引き上げ、できれば自分がいたことによって、ちょっとレベル感変わったよって会社に作れるのがやはりプロ経営者の醍醐味だと思いますので、そういう段階に引き上げていただいて、最終的には自分がいなくても回る仕組みを作って残していただくっていうのがいいと思ってます。
プロ経営者の究極的な役割

小野 俊法氏:最後にですね、プロ経営者の収入っていう話をしたいと思います。
なかなかプロ経営者自身がこの話ってできないので、あえてプロ経営者本人ではないから言えるプロ経営者の収入・資産ということを見ていただこうかなと思います。
で、その前にですね、この後お金の話になるのですが、お金じゃない部分の方が重要なのでその話もさせて頂きます。
「私の仕事は、この会社を私色に染めて、私に依存させることではありません。
守破離で、皆さんの守で誇りを守って、破で皆さんの可能性を広げて、離で皆さんが自分で引き継ぐ力を手に入れていただきたいと思います。」
みたいな一言を社員の皆さんに伝えてやっていくのがいいんじゃないかなと思っております。
「最終的に自分が入ったおかげで社員の皆さんが自分たちで会社を引き継げる、引き継ぐだけじゃなくて、成長できるような会社になる事ができましたと言われることが私のこれからの目標です」みたいな感じで言っていただくといいんじゃないかなと思いながら、ちょっと下世話なお金の話に入りたいと思います。
プロ経営者の収入・資産形成

小野 俊法氏:これが、全部ではないんですけど、私が手元に持っている情報をちょっとデフォルメしたりしているものを開示します。会社を入れ替えたり細かい金額をちょっと変えたりもしていますが、私が知っている会社のデータです。営業利益でいうと投資時点では全て10億円未満でした。1社以外は5億未満でした。
このぐらいの売上数億~数十億の売上規模の会社さん、ベース報酬が多くは2千万円弱になりがちです。一方でストックオプションによる、キャピタルゲインとしては数億円以上を目指せる場合があります。まさに中小企業を起業する起業家の成功者のような水準の収入です。
ストックオプションに百万円未満程度のコストをかけたりしますが、ほぼ経済的なリスクを冒さずにこういうゲイン、リターンが得られるってのがプロ経営者のいいとこかなと。
ノーリスクミドルリターンって割とよく言われるんですけども、自身の出資を何千万とすることなく、こういった場合によっては2桁億に行く場合もあるようなチャンスがある職業です。
経済的な面ではそんなところがプロ経営者の魅力という風になっております。
成功したプロ経営者はファンド等から優良案件が再度舞い込む

小野 俊法氏:プロ経営者の場合、一件目の会社さんはちょっと小さめのところでスタートして、ここで成功するとちょっと大きい案件の方に入ることができて、さらにここで成功するとまた大きいとこに行くって感じになりがちなケースが多いので、まずプロ経営者の業界に入る、鶏口となるも牛後となるなかれ、の通り、まずは大企業の歯車よりも小規模企業の上位になれっていうのが一番の重要な点です。
一件目を何とかヒットを打つと。
我々のプロ経営者協会の場合、特にマラトンキャピタルの案件の場合では10%ぐらいはストックオプションが出ますんで1件で数千万円~2億程度が期待出来て、場合によってはストックオプションだけではなくて出資したりすると、2億じゃなくて4億とかになることもありますんでそういった形でどんどんステップアップしていただきたいなと思っています。
これがある意味、プロ経営者の成功モデルのストーリーになっているんじゃないかと思っています。
Q&A
堀江小野さん、どうもありがとうございました。
ここからQ&Aに入っていきたいと思います。
最初に事前にいただいている質問が3つありますので、そちらの回答をしていただきます。
私の方から質問をさせていただきます。
1つ目のご質問です。メンバーの皆様の豊富な投資経験(計100社超)と高ROIを実現されるにあたって、ソーシングの難易度が非常に高いと思いますが、どのようなソーシング方法を採用されているのでしょうか?
小野 俊法氏:まずプロ経営者の話ではありますので、ソーシングっていうのは本題からちょっとずれるんですけども、一応ご回答させていただきますと、ソーシングは当然大事なんですけども、実はですね、まさに全体最適に近い話なんですけども、ソーシングを大事にするならば、ソーシングだけにフォーカスせず、その後のフェーズも大事にしていきましょうっていうところでございます。
その会社さんをきちんと一人前にすべくプロ経営者となり、ファンドの力を使ってきちんと自分たちしかできないものを使ってその会社を成長させたり一人前にさせたりし続けていると、レピュテーションが良くなって、ソーシングの難易度が下がってきて、この会社めちゃくちゃいい会社だから、例えばよくあるのがサーチファンドとかだと当然トップクラスの経営者はいない(本当のトップクラスの経営者は企業側からやってくれ、となるのでサーチする人は居ない)し、サーチファンドの運営母体の人も投資経験が少ないのでなかなか自分たちの実力(魅力)で案件が取れないので値段で勝負するしかないみたいなことをサーチファンドに沢山投資している国内外の投資家さんに言われたりするんですけど、まさに強い自分にしかない強みってのを持てば、うちの会社を経営してくれないか、とオーナー側から頼まれる人になります。サーチしている段階で自分に魅力無いと言っている様なもんで、値段で勝負するしかないってなってくるんですけども。
それでできるだけ自分にしかない強み、欲しがられる強み、を作ってください。
それをソーシングの時にきちんとアピールというか訴求していくと。
そうすることで例えば仮に値段で一番じゃない札を出したとしても、それでもあなたにやって欲しいですと言われるようになってきます。
手前味噌ですが、私も何度か利益が5億円程度出ていて、上場に向かってもおかしくない会社の社長にうちの会社を経営してくれ、できるなら高くなくて個人で買ってくれと言われたりしたことがあります。結果、益々成功して益々良い案件が舞い込んでいく好循環に入ります。



2つ目のご質問です。ロールアップする際、シナジー創出などの面で、どのような基準(観点)で投資先企業を選定・評価されているのか教えて下さい。
小野 俊法氏:基本的には理論上の机上の空論のシナジー効果が創出できる場合でも、それがお互いに近づいて互いにプラスがあるから一緒にやろう、又は親会社が強烈なリーダーシップで引っ張らない限り、シナジー効果が実現する事は無いです。既存業務ではないことをやる形になる場合も多いので、お互いに実現しよう、と動かないとシナジー効果が実現する事は殆どないです。やり方が下手な人がリーダーシップで引っ張ろうとすると大量離職が発生したりもするので中小企業ではリスクが高いです。
踏み出すためには、やはりトップ同士の相性っていうのがいいかなっていうのが一番重要な点なんじゃないかなと思ってます。



3つ目のご質問です。PMIをできるだけスムーズに行うために、契約前に確認・準備しておくポイントをお聞きしたいです。
小野 俊法氏:どういう意思決定機関がその会社にあって、誰が何を、どう決めてるかっていうのをまず把握する。
それを把握することで、仮にオーナー経営者が引退するならば、じゃあそこをどうやって巻き取って行こうかということなどを決めることができます。逆にオーナーさんがいらっしゃらない方がスムーズな場合もあるんですけども、一方で一部の人に業務がブラックボックス化していたりするので、そこをできるだけ見える化していく必要もあったりする。
やっぱりオーナーさん以外でもそういう人(ブラックボックスを作りたがる人)がいたりするので、そこをちゃんと透明性を持ってやっていくようにしなきゃいけないんで、それを無理に嫌々ながらやらせるのではなく、きちんと全体の事、皆さんの将来を改善する為にやっていると説明する事が重要です。で、それをやる人が評価される体系にするとかもとても重要です。



ここからは、ウェビナー中にいただいた質問になります。
PEファンドの3年、5年後はどう見られてますでしょうか。
小野 俊法氏:PEファンドの3年、5年後、ずっとそうなんですけれども優勝劣敗が進んでいくはずです。
今業界は拡大傾向にあり、日本のPEファンドへどんどんお金が流れてきて、拡大していくファンドが多いと思います。
そうなると投資しなければいけないので、魅力が無いファンドは買う際のバリュエーションを上げるしかなくなるので、リターンを上げるハードルが上がる(儲からない)ファンドが多くなります。そこでバリューアップができない人達、髙掴みするしか投資できない人達は淘汰されていくでしょうという感じです。
1号ファンドで、リターンを出すのに失敗する、組織崩壊する等で2号ファンドにいけないファンドは3-4割位ありますので、数年後には今出てきている1号ファンド運営者の3-4割はなくなります。
他のファンドは拡大していくでしょう。
EBITDA1億弱~10億程度の企業を対象にするスモールキャップファンド業界に関しては、これまでスモールキャップファンドはせいぜい100億、大きくても200億みたいな規模でしたが、既にマラトンキャピタルは350億円で、マラトンがここから700億~1000億円ファンドを作っていくと思いますが、そんなやり方があるんだと、業界のお手本を作っていきます。
既にマラトンは銀行借り入れ水準を低く保ちながら、ロス率(案件の投資が失敗する率)はミッド、ラージキャップスの10%強と比較してはるかに低い率に維持しながら、スモールキャップファンドの中でIRRリターンでNo1では、と投資家さんからは言われていますが、ミッドキャップやっている方でも、ミッドキャップのリターンをはるかに超えるようなリターンが出せてしまうんだっていうので、マラトンを研究して真似しようとする人たちがたくさん生まれてくるでしょうってのは予言しておきます。できると思って参入後失敗する人達が大量に発生する事も。



プロ経営者としての最初のスタートを勝ち取るために必要なこととは?
小野 俊法氏:先ほどお伝えした『守』の部分がまさに該当します。
まずは学んでくださいっていうところでしょうかね。
会社の歴史や、何故今のやり方に至ったのかを、創業者、社員から学んでいく中で、社内にある暗黙知、強み等を言語化していく、Exitしていくときにそれが武器になって、高いバリュエーションが出るExitになったりしますので、そういったものをやって欲しいっていう感じです。
あとは、この人が頼れると思われる為に小さくても良いからクイックヒット(小さな改善とか、要望を取り入れるとか)を売ってください。自分の強みを活かして”破”のフェーズに入るためにも、周囲から「この人は信頼できる、能力もあるから、この人の言うことに従おう」と思ってもらえるようになっていくので、まず信頼してもらうためにこの人はやってくれる人だという人間関係を作ってくださいと。
あとは、これからの大きな方針っていうのは、早めに決めた方がいいと思っています。
その際には会社の社員の方々の望みがかなう様なもの、例えば勢いがある若い会社であれば、今から向かっていく未来には皆さんの幸せ、よりチャレンジが報われる面白い世界がある、そこに一緒に向かっていこう、という様なメッセージを発信したいです。
全体、長期にこういう組織の目標があるからこそ今こういう事をやるんだよ、というメッセージを事ある毎に発信していきたいです。その際は、当社であれば全体最適、長期最適という言葉を頻繁に使いますが、価値の基準、理念みたいなものを決めて具体的な事象が発生した際にその理念が組織の隅々まで浸透している様な状況が作れたら、その理念が間違っていない限りは強いです。



プロ経営者として選ばれる、オファーを受けるために必要なことはなんですか。どういう経歴、経験を積んでいるのか。オファーを受けるために必要なパワーはありますか?
小野 俊法氏:そうですね。やっぱりプロ経営者の経験がある事が一番強いんですけれども。
当然ない人もいると思うので小野の場合、やはり鶏口となるも牛後となるなかれ、プロ経営者に近しい、小さい企業で良いからトップに近い経験があるのが一番重要です。
トップに近いっていうのを説明する為に、それと逆の一番遠いキャリアから話をすると、50歳になった時に大企業の部長になっている様なキャリアです。
大企業の部長はなるのは難しい割にはその先にプロ経営者というポジションは期待しづらいです。その次が大企業の子会社の社長ですが、無いよりは良いです。
その次に大企業が買収した会社の社長っていうのは、まさにプロ経営者にある意味近いのでそういうチャンスがあればむしろ手を上げてください。
大体大企業が投資した会社の社長になることって、必ずしもその大企業のエリートコースじゃないケースが多いと思ってますけども、そこに飛び込むと一気に可能性が広がるんじゃないかなと思うんです。ライザップさん、DMMさんの投資先の社長とかのポジションがあったら迷わずチャレンジしてください。
エリートコースじゃなくても小さい組織のトップに近いポジションへ就くチャンスがあったら、是非チャレンジしていただきたいなと思います。
もしコンサルという仕事ならばこう上流のパワーポイントを出す事がアウトプット、大企業にアドバイスするのが仕事の会社じゃなくて、ドロドロ現場の方に入っていくというコンサルの方が良いですね。
サーチファンドも、経営経験があまりない人にとっては良いプロ経営者の入り口になりますので。是非チャレンジしてプロ経営者になって欲しいです。最近は経営未経験者がサーチャーになるとなかなか厳しい実績になってしまうので経営経験があるサーチャーさんじゃないとサーチャーになれないセミプロ経営者サーチャーさんも見かけますが、サーチファンドさんには社会の役割としては経営経験が無い人にチャレンジの場を与えて欲しいなと、社会全体を考えて思っています。



プロ経営者の経験がないけれどプロ経営者になりたい方向けの補足なんですけど、子会社の社長になれたらベターですけど、なかなか数少ないんで、多くの人にチャレンジしづらいってこと考えると、FASでファンドの投資先にプロ経営者を送るようなポジションとか、FASでファンドの投資先の経営支援してるフロンティアマネジメントさんとかリヴァンプさんとか、ああいう会社でファンド投資の経営支援したり、CXOをやってましたって人はどう思いますか?
小野 俊法氏:全然無いよりいいと思いますね。



そこだったら結構採用人数多いんで、20代30代ぐらいまでの人だったらFASでファンドで投資先の経営支援からプロ経営者にってのはありかもしれないですね。
小野 俊法氏:今これからそういう人材のニーズはさらに高まっていくと思いますのでいいと思いますね。
以上









