利益相反とは?わかりやすい事例5つと承認手続きを解説

利益相反とは?わかりやすい事例5つと承認手続きを解説

「利益相反とは?」

「利益相反取引をするとどんなリスクがある?」

利益相反とは、ある人や組織が自分の利益を優先することで、守るべき相手の利益を損なうおそれがある状態です。

会社法では、会社と取締役の利害が対立する利益相反取引について、原則として事前の承認手続きが求められます。

なぜなら、利益相反を適切に管理しなければ、不公正な取引やお客さまへの不利益につながり、会社の信用を損なう可能性があるためです。

利益相反は、企業経営だけでなく、金融・投資商品の運用、医療・研究など、さまざまな場面で発生します。

たとえば、取締役が自分の関係会社に有利な条件で契約を結ぶケースや、金融機関がお客さまより自社の利益を優先して商品を提案するケースなどが挙げられます。

本記事では、利益相反の意味をわかりやすく説明したうえで、具体的な事例5つと、会社法上必要となる承認手続きを解説します。

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目次

利益相反とは?基本知識をわかりやすく解説

利益相反とは、一方の利益が他方の不利益につながる、利害が対立する状況を指します。

とくに会社では、取締役が自分や第三者の利益を優先し、会社の利益を害するおそれのある取引が問題となります。

そのため会社法では、こうした利益相反取引を行う際に、取締役会や株主総会の承認を義務づけて管理しています。

また利益相反は会社の取引に限らず、金融・医療・法律・教育など、公正さが求められるあらゆる分野で重要なテーマとされています。

以下では、利益相反の正しい意味や、会社法で厳しく規制される理由を解説していきます。

利益相反の正しい意味と会社法で厳しく規制される理由

なぜ利益相反が問題になるかというと、取締役が会社の利益を犠牲にして、自分や第三者の利益を優先するおそれがあるからです。

たとえば、取締役が自分の土地を会社に売る場合、価格を不当に高く設定すれば、その差額分だけ会社が損をして本人が得をします。

このように立場を悪用できる余地があるため、会社法356条・365条は、こうした利益相反取引を行う際に取締役会や株主総会の承認を必要としています。

つまり利益相反とは、取引を頭ごなしに禁止するのではなく、会社の利益が不当に害されないよう、承認という監督のもとで管理する仕組みなのです。

参考:会社法第356条 – Wikibooks

会社法と商法の違い・関係性とは?

会社法と商法は別々の法律ですが、もともとは一つの法律から枝分かれした関係にあります。

というのも、会社法が2006年に施行されるまでは、会社に関するルールは主に商法の一部として定められていたからです。

その後、企業活動の多様化にともない、会社に関する規定が独立して「会社法」となりました。

項目商法会社法
適用対象個人事業主を含む商人全般株式会社などの会社のみ
主な内容商取引の基本ルール会社の設立・運営・清算
位置づけ一般法特別法(※商法と重なる場合は優先)

会社に関する利益相反は主に会社法が対象となりますが、両者は「会社法>商法>民法」の順に適用される関係にあると理解しておくとよいでしょう。

なぜ中小企業で「利益相反」のトラブルが起きやすいのか?

利益相反のトラブルは、大企業よりもむしろ中小企業で起きやすい傾向があります。

その理由は、中小企業では所有と経営が一体化しており、社長個人と会社の境目があいまいになりやすいからです。

オーナー社長が会社の資金を個人の事業に回したり、自分の関連会社と取引したりする場面が、日常的に生じます。

たとえば、社長が自分の持つ不動産を会社の事務所として貸す、社長個人の借金を会社が肩代わりする、といったケースが典型例です。

こうした取引は身近すぎるあまり、承認手続きが必要だと気づかないまま実行されがちで、後になって株主や取引先から問題を指摘される可能性があります。

だからこそ中小企業ほど、利益相反への理解と社内の管理体制づくりが欠かせないといえるでしょう。

利益相反取引が引き起こす3つのリスク

利益相反取引を放置すると、会社と役員の双方に深刻なリスクが生じます。

なぜなら、会社の財産が不当に流出するだけでなく、取引の効力や役員個人の責任にまで影響が及ぶからです。

利益相反取引が引き起こす3つのリスク
  • 会社財産の流出:不当な条件で取引が行われ、会社が損害を被る可能性があります。
  • 取引の無効:必要な承認を得ずに行った取引は、会社側から無効を主張されるおそれがあります。
  • 損害賠償責任・信用失墜:会社に損害を与えた取締役は賠償責任を負い、解任や社会的信用の低下につながります。

これら3つのリスクは連鎖して発生することが多く、一つの見過ごしが経営全体を揺るがす事態になりかねません。

だからこそ、事前の承認と透明性の確保が重要になるのです。

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利益相反に該当するわかりやすい事例5つ

利益相反に該当するわかりやすい事例5つ

ここからは、実際にどのような取引が利益相反に該当するのかを、代表的な5つの事例で見ていきます。

自社の状況に当てはまるものがないか、確認しながら読み進めてください。

1.会社と役員個人で不動産や物品の売買・賃貸を行う

会社と役員個人が直接、不動産や物品を売買・賃貸するケースは、利益相反取引の最も典型的な事例です。

これは、取締役自身が取引の当事者となって会社と契約する「直接取引」に該当するからです(会社法356条1項2号)。

たとえば、次のような取引が当てはまります。

  • 取締役が所有する土地を会社に売却する
  • 会社の備品を役員が買い取る
  • 役員の自宅を会社の社宅として貸す

価格を役員に有利な条件で決めれば会社が損をするため、こうした取引には取締役会などの承認が必要です。

身内同士の取引だからと安易に進めず、まずは利益相反に該当しないかを判断することが大切になります。

2.会社から役員へ資金の貸付や債務保証をする

会社が役員に資金を貸し付けたり、役員個人の借金を保証したりする行為も、利益相反に該当します。

会社から役員への貸付は直接取引にあたり、役員の債務を会社が保証する場合は「間接取引」に該当するためです(会社法356条1項3号)。

間接取引とは、会社と役員以外の第三者との取引でありながら、実質的に会社と役員の利益が相反するものを指します。

たとえば、役員が銀行から借りたお金について、会社がその返済を肩代わりする保証契約を結ぶケースが典型例です。

こうした資金のやり取りは会社の財産を危険にさらすため、承認手続きを経ることが求められます。

一方で、役員が会社に無利息・無担保で資金を貸し付ける場合は、会社に不利益がないため、承認は不要とされています。

3.役員が経営する「別の関連会社」と取引を行う

役員が代表を務める別の会社と自社が取引する場合も、利益相反にあたる可能性が高くなります。

これは、取締役が「第三者(別会社)のために」自社と取引する形になり、直接取引に含まれるからです。

たとえば、A社の取締役がB社の社長も兼ねていて、A社がB社から商品を仕入れる、あるいはA社の仕事をB社に発注するといった状況が該当します。

このとき、発注価格を不当につり上げてB社に利益を移せば、A社の株主の利益が損なわれてしまいます。

実際、自社の案件を役員個人が関わる他社へ誘導し、個人的な利益を得ていたことが発覚したトラブル事例も報告されています。

グループ内の取引だからと油断せず、当該取引が利益相反にあたるかを慎重に確認する必要があるでしょう。

4.役員が自社と競合する事業を立ち上げる(競業取引)

役員が会社と競合する事業を自分で始める行為は、「競業取引」として制限の対象になります。

なぜなら、会社のノウハウや顧客情報を知る立場の役員が同じ市場で商売をすれば、会社の顧客や利益を奪うおそれがあるからです(会社法356条1項1号)。

たとえば、コンサルティング会社の取締役が、同じ顧客層をターゲットにした別のコンサル会社を立ち上げるケースが該当します。

なお、同種の事業を営む他社の取締役に就任すること自体は取引にあたりませんが、その他社を代表して競業行為を行えば規制の対象です。

競業取引を行うには重要な事実を開示して承認を得る必要があり、承認なく利益を得た場合は、その利益額が会社の損害と推定されます。

自社の事業と重なる活動を始める前に、必ず承認手続きを踏むことが求められます。

5.M&Aで同じ仲介業者が売り手・買い手の双方につく(両手取引)

会社法上の取締役の話とは別に、M&Aの場面でも利益相反はよく問題になります。

その代表例が、一つの仲介業者が売り手と買い手の双方と契約し、両者から手数料を受け取る「両手取引」です。

売り手は少しでも高く売りたい、買い手は少しでも安く買いたいという構造上、双方に等しく有利な助言は理論的にできないためです。

仲介業者は成約させないと報酬を得られないため、リピートが期待できる買い手を優遇し、売り手が不利になる状況が起こりえます。

なお仲介業者は双方の間を媒介する立場であり、代理人ではないため、民法の双方代理そのものには通常あたらないとされています。

とはいえ利益相反のおそれがあることに変わりはなく、経済産業省の中小M&Aガイドラインでも、手数料の開示などの対応が求められています。

参考:中小M&Aガイドライン | 中小企業庁

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利益相反取引の承認手続き

利益相反取引を適法に行うには、あらかじめ取締役会や株主総会の承認を得ることが欠かせません。

承認を得る機関は会社の機関設計によって異なり、例外が認められるケースや、無承認の場合のリスクも押さえておく必要があります。

ここでは、承認手続きの具体的な流れから、議事録作成のポイントまで詳しく解説していきます。

取締役会設置会社の承認手続き

取締役会を設置している会社では、利益相反取引の承認は取締役会が行います。

これは、会社法365条により、承認機関を「株主総会」から「取締役会」に読み替える規定があるためです。

流れとしては、取引を行おうとする取締役が、取引の相手方・目的・金額などの重要な事実を開示し、取締役会の決議で承認を受けます。

決議の要件は、議決に加われる取締役の過半数が出席し、その過半数が賛成することです。

このとき、取引の当事者である取締役は「特別の利害関係」を持つため、その決議に参加できません(会社法369条2項)。

さらに取引後は、遅滞なくその重要な事実を取締役会へ報告する義務がある点も押さえておきましょう。

取締役会非設置会社の承認手続き

取締役会を設置していない会社では、承認機関は株主総会になります。

取締役会という監督機関がない分、会社の最高意思決定機関である株主総会が承認を担う仕組みだからです。

承認は普通決議によって行われ、議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数の賛成で成立します。

たとえば、社長が自分の不動産を会社に貸すといった取引について、株主総会で重要な事実を説明し、承認を得る流れになります。

中小企業の多くはこの非設置会社にあたるため、株主総会での承認が基本になると理解しておくとよいでしょう。

なお、取締役会設置会社と異なり、取引後の事後報告の義務は課されていない点も特徴の一つです。

事前の承認手続きが「不要」となる例外的なケースとは?

利益相反取引に見えても、承認手続きが不要となる例外的なケースがあります。

これは、形式的には利益が相反していても、会社に実質的な不利益が生じないと考えられる場合があるためです。

過去の裁判例などで承認不要とされた代表的なケースは、以下のとおりです。

  • 取締役が会社に無利息・無担保でお金を貸す場合(会社に不利益がないため)
  • 会社が負担のない贈与を受ける場合
  • 100%出資の親子会社間の取引(実質的な利害の対立がないため)
  • 株主全員の同意がある場合
  • 一人の取締役が全株式を持ち、実質的に個人経営といえる会社との取引


ただし、例外にあたるかどうかの判断は難しく、自己判断で「承認不要」と決めつけるのは危険です。

迷った場合は、承認を得ておくか、専門家に確認することをおすすめします。

承認なしで取引を強行した際の無効リスクと損害賠償責任

必要な承認を得ずに利益相反取引を強行すると、取引の無効と損害賠償という重い結果を招きます。

会社の利益を守るため、会社法は無承認の取引について会社側からの無効主張と、取締役への責任追及を認めているからです。

会社は取引の無効を主張できますが、取引の安全を守るため、相手方が利益相反取引であることを知っていた(または重大な過失により知らなかった)場合に限られます。

また、取引をした取締役や、承認決議に賛成した取締役は、任務を怠ったものと推定され、会社に生じた損害の賠償責任を負います(会社法423条)。

とくに自己のために直接取引を行った取締役は、過失がなくても責任を免れない無過失責任とされ、非常に厳しい扱いを受けます(会社法428条)。

承認を省くことは、こうした無効と賠償のリスクを自ら抱え込む行為だと理解しておく必要があります。

参考:会社法第423条 – Wikibooks

議事録作成のポイントと必須書類

承認を受けた事実を後から証明するには、議事録の作成が不可欠です。

口頭で承認しただけでは、いざトラブルになったときに「承認を得ていた」ことを客観的に示せないためです。

議事録には、承認した会議の内容とともに、開示された重要事実を具体的に記録します。

記載すべきポイント
  • 取引の当事者と、利益相反に該当する旨(該当する条文)
  • 取引の対象・目的・金額などの重要な事実
  • 不動産などは、独立した鑑定士による評価額
  • 特別利害関係を持つ取締役が決議に加わっていないこと

あわせて、取締役会や株主総会の議事録、取引の契約書などを書類として保管しておきましょう。

こうした記録の整備が、透明性の確保と将来のリスク回避につながります。

利益相反を防ぐための対策

利益相反を防ぐための対策

利益相反は、あらかじめ備えることでトラブルを大きく減らせます。

ここでは、企業がすぐに取り組める対策を4つ紹介します。

利害関係を事前に開示する

利益相反対策の第一歩は、利害関係を関係者へ事前に開示することです。

なぜなら、隠された利害関係こそがトラブルの火種となり、後の不信や紛争を招くからです。

取引を行う前に、自分がその相手方とどのような関係にあるのかを、取締役会や株主に正直に伝える必要があります。

たとえば、取引先の会社に自分が出資している、その会社の役員を兼ねている、といった事実をあらかじめ申告します。

情報がオープンになれば、関係者は状況を正しく理解したうえで承認の判断を下せます。

開示は最もシンプルでありながら、信頼を確保するうえで効果の高い対策なのです。

社内ルール・利益相反管理(COI管理)を整備する

利益相反を組織的に防ぐには、社内ルールとしての管理体制(COI管理)を整備することが有効です。

個人の良心に任せるだけでは限界があり、仕組みとして防止する枠組みが必要だからです。

金融機関では、法令に基づいて利益相反を管理・統括する部署を設置し、対象取引を一元的に管理する体制が求められています。

具体的な管理の方法として、次のような手段が組み合わせて用いられています。

  • 利益相反のおそれがある部門を、他の部門から分離する
  • 取引の条件や方法を変更する、または取引を中止する
  • お客さまへ利益相反のおそれを開示し、同意を得る


こうしたルールや管理対象の基準を定めておくことで、従業員が判断に迷わず、公正な業務運営を保てます。

第三者によるチェックや承認を行う

当事者だけで判断せず、第三者によるチェックを入れることも大切な対策です。

利害関係のある本人が判断すると、どうしても自分に有利な結論に傾きやすいためです。

そこで、取引の当事者である取締役を決議から外し、他の取締役や株主の承認を得る仕組みが機能します。

金融機関では、外部有識者を構成員に含む利益相反管理委員会を設け、管理の状況を定期的に報告して実効性を検証する例もあります。

M&Aの場面でも、価格評価などの工程で公認会計士や弁護士といった独立した専門家の意見を求めることが推奨されています。

第三者の目を通すことで、判断の独立性と客観性を確保できるのです。

判断に迷った場合は専門家へ相談する

利益相反に該当するか判断に迷ったら、無理をせず専門家へ相談しましょう。

利益相反の判断は例外も多く複雑で、自己判断のまま進めると重大なリスクを見落とすおそれがあるからです。

弁護士や司法書士は、その取引が承認を要するのか、どの手続きが必要かを、個別の状況に応じて助言してくれます。

たとえば、取引の前に相談すれば、必要な承認や議事録の整備までまとめてサポートを受けられます。

顧問弁護士がいれば、平時から契約や取引をチェックしてもらうことで、問題を未然に防げます。

無料相談を実施している事務所も多いため、少しでも不安があれば早めに専門家を頼るのが賢明です。

利益相反が問題となるのは会社法上の取引だけではない

ここまで会社法を中心に見てきましたが、利益相反は他の分野でも重要なテーマです。

分野主な利益相反の例
金融機関手数料目当てで顧客に不利な商品を勧める
医療・研究資金提供元に有利な研究結果へ影響が及ぶ
弁護士・士業対立する双方の代理人になる
大学・教育企業から得る利益が研究の客観性を損なう

金融・医療・法律・教育といった、公正さが強く求められる場面での利益相反を順に紹介します。

金融機関・銀行・保険会社における利益相反

銀行や保険会社などの金融機関では、お客さまとの利益相反の管理が法令で義務づけられています。

金融グループが多様な業務を手がける今、お客さまの利益と金融機関自身の利益、あるいはお客さま同士の利益が対立する場面が日常的に生じるためです。

たとえば、投資信託を販売するとき、その運用会社などから手数料を受け取っていると、お客さまの利益より手数料の高い商品を勧める動機が働きかねません。

そこで金融機関は、利益相反管理方針を定め、管理統括部署を設置して対象取引を特定・管理しています。

金融庁の「顧客本位の業務運営に関する原則」も、利益相反の可能性を正確に把握し適切に管理するよう求めています。

運用の独立性と透明性を確保することが、お客さま本位の業務運営の土台になるのです。

医療・研究・治験における利益相反

医学の研究や治験の分野でも、利益相反(COI)の管理と開示が強く求められます。

製薬企業などから資金提供を受けて研究を行うと、公正であるべき研究結果の判断が、資金提供元に有利になるよう影響を受ける懸念があるからです。

研究者は、患者や被験者を守る責任と、資金提供者に対する立場との間で、利害が対立する状況に置かれます。

実際、過去には降圧薬の臨床試験でデータの操作やCOI開示違反が疑われた事案が起き、社会的な問題となりました。

そのため学会発表では、発表者全員が過去3年間の講演料や奨学寄附金などのCOI状態を開示するルールが設けられています。

治験審査委員会でも、研究者が依頼企業の株式を持つ場合などに、利益相反の審査が行われます。

参考:学術集会におけるCOI開示|日本臨床検査医学会

弁護士・士業における利益相反

弁護士をはじめとする士業の世界では、利益相反はとりわけ厳格に禁止されています。

依頼者との信頼関係と職務の公正が命であり、双方の味方をすることは制度の根幹を揺るがすからです。

弁護士法や弁護士職務基本規程は、対立する双方の代理人になることを禁じています。

たとえば、交通事故で被害者側の代理人を務めながら、同じ事故で加害者側の依頼を受けることはできません。

離婚事件でも、妻から相談を受けていた弁護士が、その夫から依頼を受けることは認められていません。

同じ事務所の他の弁護士が受任している事件でも制限が及ぶため、士業では受任前の利益相反チェックが欠かせないのです。

大学・教育機関における利益相反

大学などの教育・研究機関でも、利益相反のマネジメントが重視されています。

教職員が企業との産学連携から得る利益と、教育・研究という本来の責務が衝突するおそれがあるからです。

大学の分野では、企業から得る利益をめぐる「狭義の利益相反」と、兼業で企業に負う責務が本業と両立しない「責務相反」に整理されます。

たとえば、教員が自分の関わる企業から研究費や兼業報酬、未公開株式を得ていると、研究の客観性が疑われかねません。

そこで多くの大学は、利益相反ポリシーや規程を定め、委員会やアドバイザーを設けて自己申告を求める体制を整えています。

利益相反は避けられないものと捉え、社会の目線で適切に管理することが、大学と教職員の信用を守るのです。

参考:学利益相反マネジメントポリシー|国立大学法人北海道教育大学

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この記事を書いた人

小野俊法のアバター 小野俊法 日本プロ経営者協会 会長

慶應義塾大学経済学部卒業後、不動産ファンド運用会社にて約400億円規模の資産運用を担当。独立後、海外でファンドマネジメント事業などを立ち上げ、事業売却を経験。

その後、M&Aアドバイザリーおよびバイアウトファンドでの投資業務に従事し、中小企業投資・事業承継に延べ16年以上関与。これらの経験をもとにマラトンキャピタルパートナーズ㈱を設立し、事業承継支援に取り組んでいる。

投資の現場経験、M&Aアドバイザーや経営者との関わりをもとに、後継者問題や経営課題に関する情報発信・監修を行っている。

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