MENU

プロ経営者のリアル ~プロ経営者からオーナー経営者へ~

※こちらは2022年6月7日に視聴希望者限定で行われたイベントのアーカイブ記事です。

日本プロ経営者協会(JPCA)は、日本に数多くのプロ経営者を輩出するエコシステムを構築し、わが国を牽引するリーダーの輩出と事業承継問題の解決を目指し設立されました。

まだ日本にはプロ経営者が浸透しておらず、プロ経営者の働き方、プロ経営者になるためにどういったステップを進めばよいのか、求職ポジションにどれだけ出会えるのかという具体的な情報提供をしています。

また、具体的なプロ経営者案件として、事業承継の社長から直接オーダーいただいたものやファンドの投資先の社長としてプロ経営者のポジションをご紹介させていただいております。

当イベントでは、プロ経営者からオーナー社長になられた徳田様にお越しいただき、どのような経緯があってオーナー社長となったのかをお伺いしました。

目次

冒頭挨拶

堀江

徳田様、ではよろしくお願いいたします。

徳田氏:よろしくお願いします。はい。皆さんこんばんは。

本日は貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。あの生意気に「プロ経営者のリアル、プロ経営者からオーナー経営者」と書いてあるのですが、なかなか私もプロ経営者であるという胸を張れるほどの素晴らしい経営者ではないのですが。

一方、特殊な経験をしたというようなこともございまして、今回この登壇の機会をいただき、喜んでお受けしたということです。ご縁はですね、先ほどマラトンキャピタルの小野さんからありましたが、まさにプロ経営者からオーナー経営者になるときに、ご相談したお一人が小野さんであったと。

小野さんもまだその当時はお若かったんですが、親身に聞いてくださったということで、10年来のつながりがあってお付き合いさせていただいているということですね。僕は常々、社内でもフランチャイジーにも言っているんですが、人脈は金脈だというお話をさせていただいていまして、一度でもお世話になった方、一度でもお礼になった方とつながっておくことの意味があるのかなと思ったりですね。実際にこの僕はファンドから送り込まれた経営者ですが、今株式の100%を持っている完全オーナーになっています。そのまあ、ある意味奇跡のような出来事というのも人とのつながりかなというふうに思いますので、大切にしながら今回はOKさせていただいております。

私どもの簡単な会社の概要説明とどんな事業をしているのか、と私の自己紹介。どんなことをしてきたのか。そしてどういう経緯でプロ経営者からオーナー経営者になったのかというお話をさせていただきたいと思います。

会社概要

株式会社ダイアナという会社で皆さんも前を通っていただいた方がいらっしゃるかもしれませんが、山手通りと井の頭通りの交差点にあるガラス張りのビルが私どもの本社ビルになっています。創業1986年ということですから36年経っています。創業者が2006年にプライベートエクイティファンドに売却をしたという経緯がございます。

それまでにも、2回ほどIPOに挑戦しようとされたようです。私は全然存じ上げない方なんですが、IPOするにはいろいろうるさいことも言われるということで、結果売却になったということです。資本金は節税策ということもありますので、今1億円にしてあるんですが、準備金も含めて16.54 億というのが資本でございます。社員はパートさんを含めまして、プロポーションづくりのダイアナ以外にも、関連事業で幾つかのフランチャイズパッケージを展開しようと思いまして、新しいビジネスを立ち上げております。そのような方々も含めまして、約260名という形で。売り上げの方ももうちょっと頑張りたいなと思うんですけれども、現在約140 億ということになっています。

事業の特徴としましては、私たちはフランチャイズの本部でございます。全国に展開する約730のサロンは、ほぼほぼフランチャイズ加盟店という形になっていまして、私も一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会の理事を拝命しておりますので老舗フランチャイズビジネスの1社であります。業界誌の情報では、美容系のフランチャイズビジネスで、弊社が一番店舗数が多い様です。あとは子会社とか海外法人も含めまして10社ほど。一般社団法人も持ってやらせていただいております。こんな概要でございます。全国に約730のサロンを展開させていただいておりまして、全国北は北海道から南は沖縄まで、そして海外は中国ですね。あとベトナム、インドネシアも今少しずつですが、出ており全国に展開しています。

それぞれBranchとかBase と書いてあるのは、支社ですね。一般的なフランチャイズ本部では、それぞれ全国の店舗をサポートすることをスーパーバイザー、スーパーバイジングというんですけど、我が社の場合はコンサルタントって呼んでフランチャイジーの経営サポートをさせていただく人財を全国に配置しています。

あと、これもファンドから自主独立経営になりまして、オーナー経営者になったから、いろいろな子会社を作れたり、色んな社会貢献ができるということで、今これだけたくさんのブランドを展開しています。ダイアナですとか、アパレルとか、美容室、フットキュア、フットケアですね。フットキュアと当社は呼んでおります。あとは飲食。

さらに、社会貢献活動のような形でみらいこどもテーブルとか、あとごくわずか本当少資本ではございますが、CVCも展開していたりとか、あとはMICEイベントですね。イベントの企画運営会社、そして婚活、仲人仲介、それとM&A仲介とか人財紹介のビジネスも展開させていただいているということです。ダイアナというこの全国の事業基盤を活用いたしまして、いろいろな形で事業展開していこうと。美と健康という分野、そして、フランチャイズビジネスとして、美しくなりたい、健康になりたい、起業して成功したいという志をお持ちの皆さんのお役に立てるようなことをさせていただいています。

プロフィール

私の経歴なんですが、社外の公職としては、今申し上げましたように、弊社はフランチャイズ本部ですので、一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会の理事を拝命しています。あとは東京ニュービジネス協議会の副会長もさせていただいております。今日ご視聴の方々でも入っていただいている方がいらっしゃるかもしれませんが、ニュービジネス協議会は経産省がつくった唯一の経済団体で、東京だけではなく全国に広がる組織です。私は東京の副会長をさせていただいております。私の経歴というのはですね、今日ご視聴いただいている皆さん方のような優秀な大学を出ておらず、言葉でわかりますように大阪生まれ大阪育ちです。大学を出まして一番最初に勤めたのが、衣料品を中心とした現金卸が中核となる流通グループです。

僕が入社した時にはグループで1450億ぐらいありました。そのうちの1350 億は現金卸というような状況でございました。もともと僕は起業して事業をしたかったんですが、商売の勉強のために入った、という感じです。僕はそもそもがお金儲けのために、経営者になろう、お金儲けのために社長になりたいと思ったわけじゃなくて、アルバイトしてた時に商売って面白いなと思いまして、その面白い商売をたくさんの仲間とやっていきたいな。その時に与えられたことだけやるんじゃなくて、自分たちで考えた商売ができればなと思って起業しようと思っていました。なので、商売の勉強が一番できそうだから、こちらに入社させていただきました。

2年ぐらいで辞めて起業しようと思ってたんですが、当時の上司にですね。「徳田、商売でたった1億円のお金を動かそうと思っても個人やと大変やぞ」と。でもそこの会社は1000 億グループだったので「ここの会社でもし社長になれば1000 億円規模。1000 億動かせるんだよ」と言われまして。僕は本当にバカなので、ああそうか。ここの会社で社長になったらいいんじゃないかと本気で思いました。そもそも、その時にはもう創業60年ぐらい経ってまして、グループで従業員3000名と基幹事業会社だけでも1000名以上いらっしゃるような会社ですし、そもそも同族企業でした。

そこで社長になるということはちょっとあり得ないんですが、僕はついているんですね、めちゃめちゃ頑張っていたら、なんと37歳の時に基幹事業会社の社長に就任。ただ、僕が入社した時の現金問屋1350億円あった事業がなんと、15年後には驚くべきことに489億円まで落ちていました。489億円の社長に37歳で抜擢いただいた。そしてグループ全体はまだ約1000億円ありましたので、そこの専務にも抜擢いただきました。ここでの経験というのが非上場、プライベートカンパニーなんですが、やっぱりバブルの頃まではどっと大きくなっていて、その後、流通グループを形成して、いろいろここにも書いてあります。貿易会社があったりとか、通販の会社だったり、カー用品、バイク用品の会社があったり、レディースアパレルがあったりとか、物流センターも色々散らばってたりというようなことで戦線拡大を相当していました。

相当拡大していた。それがバブル崩壊とともにしんどくなってきた。その間に僕は経営企画とか、子会社に出向なんかしながら、ここで結構再生というか、グループ会社ではあるんですけど、そこで再生の経験、整理の経験、再編の経験というのをたくさん積ませていただいて、こちらの会社だけでも6、7社そういう形で経営改革をさせていただいた。これが一つプロ経営者を目指そうかなって思った一つのきっかけ。自信ができたきっかけというかそんな感じです。38歳でグループの専務になりまして、その4年後ですね。42歳でグループの社長になりなさいという風にその同族企業の一族の方で決まってたんですけれど。とあることがありまして。私が何かしたわけじゃなくて、一族の間でパワーバランスが変わりまして、お孫さんが会社を継ぎたいというようなことになりまして、私は出るしかなくなりました。

自分の力で自分が社長として頑張っていきたいなというふうに思って、ここで頑張ってきたわけですが、絶対に社長になれないわけですね。お孫さんが帰ってきて。僕より2つぐらい年上の方だったんですけれども、その方が帰ってきて社長をするということですから、絶対に社長になれないわけですね。社長になれないし、グループの皆さん、僕が次のグループの社長になるってのはみんな知ってたので邪魔になるということもございまして、ちょっとあっち行ってくれるかっていうことで。東京の総合商社に出向に出されました。新規事業をするために僕はその頃、数名の社員さんに出向してもらって、東京の総合商社と一緒にジョイントベンチャーをつくっていたんですね。

大手総合商社さんが大手流通業を傘下にした時ですね。そこも今はあのAから始まる流通グループの傘下に入りましたけれども、そこのオレンジ色の看板があったところですね。オレンジ色の看板だった会社の売り場を取りに行こうと。衣料品の問屋ですから、生活衣料の売り場は全部取っていこうというようなジョイントベンチャーをやろうと思って、それを大きな仕事だからと、それまで今までは部下が1000人いたんですが、翌日から東京に一人出てきまして部下一人。グループの専務のままだったんですけど一人になりました。

2年間30億円の赤字会社の再生

そのなかなかうまくいかなかったジョイントベンチャーも、徳田君自ら行ってくれというようなことで、何とか頑張って、ベンチャーをやられている方、スタートアップをやられている方もいらっしゃるか分かりませんが、立ち上げる時って格好いいものじゃないですよね。ドブ板営業じゃないですけど、もう夜討ち朝駆けで担当部長にへばりつく。売場をもらうためにプレゼンする、へばりつくというのをして、何店舗かを任せていただいて、その新規事業を成功させて、もういいだろう、外部から見て明らかな成果を出していない、と退職することにしました。プライベートカンパニーで幾ら偉くても結局それって世の中から認められる肩書きにはならないんですよね。それでも声をかけてくださる方がいたので、2007年、40歳のときに上場企業に呼ばれまして2年間で30 億ぐらい赤字を出している会社でしたので、3年赤字を出すと上場企業ですのでやっぱり社長を続けられないので、後継社長候補としてアサインしていただいて呼んでいただきました。

呼んでいただいて4月に入社したんですが、2007年の4月ですね。海外の協力工場とかいろいろ回ってた。週末の土曜日に帰ってきたんですけど、土曜日に帰ってきたら経営企画の担当役員から電話がかかってきまして、「徳田さん。明日ちょっと会社に来てもらえませんか」と。それが9月のことです。呼ばれたところですね。創業者であって会長になっておられた方と経営企画の役員が座ってまして、実は月曜日にニュースが出ると。過年度の粉飾決算だと。大変なことになったと。

だから社長とCFOはもう既に更迭した。ところで徳田君、ちょっと早いけど社長になってくれないかと言われたんですが、4月に入って9月で粉飾してる会社の代表取締役は嫌じゃないですか。嫌なのでお断わりしてその上、僕は専務で全部やりますと。だから創業会長にやっぱり創業者がいらっしゃるわけですから、会長なので社長に降りていただいて社長をしてくださいねということで、がむしゃらに2年間本当に頑張りました。

この時ですね。経営者の仕事をし出して、初めてお金に苦労することになりました。今日セミナーに銀行の方がいらっしゃるかどうかわかりませんが、銀行さんって本当に晴れた時に傘貸して雨の時には傘むしり取るってよく言われますけど、まさにそうです。

アパレル業なので足の長い商売してますから手形を出してたりとか、総合商社さんに入ってもらったりして、商社を使っているし、銀行さんにはLCをお願いしたりという資金繰りをしていました。それらが全て止まってしまう、資金繰りが火の車状態になり、本当大変な思いをしたんですが、何とかかんとか細かいことを言うとこれだけしゃべっても1時間ぐらいあるんですけど、何とか2年間で黒字化をしまして、株式市場でも管理ポストに入っていたものを通常ポストに戻すことができました。

プロ経営者になろうと思ったきっかけ

僕はこの会社に行った時は上場企業だからっていうことで選びました。もちろんアパレルは得意だし、僕は趣味がサーフィンでサーファーアパレルだったので、ああこれは天命だなと思って行ったんですけど、最初の会社が同族企業だったので、同族企業で僕が外されたときに、執行役員は僕よりも先輩の方ばかりだったんですけど、会長にですね「徳ちゃん外してどうするんですか」と詰め寄った役員が何人かいたそうです。うれしい話ですけど、その時にそのお孫さんが、息子さんですね。創業者のお孫さんなので。その時の会長の息子さんなんですけど、その息子がやってだめやったらそれでええんやと。そうなんです。家業なんですよ。1000 億を超えていようが何しようが。だから同族っていうのは嫌だなと。

一族経営は嫌だなと思って上場企業に入ったんですが、結局創業者がいて筆頭株主だったので、2年間で黒字化すると、何となく自分の会社を僕が結局COOで専務でやっているので「どうも違うんだよね」みたいな話になって「徳ちゃん何か違うんだよね」みたいな感じも見られだしたので、やめようと。

辞める時、転職する時にここからです、プロ経営者になろうと思ったのは。それまでは最初の会社で6、7社の経営改革をさせていただき、上場企業の経営改革でも2社させていただいたんですけれども、再生ってやられた方もたくさんいらっしゃると思うんですけれども、めちゃくちゃ大変なんですよね。大体しんどい会社の社員って目が死んでいます。死んだ魚の目をしている。その人たちに火をつけるって本気で話をしないといけないから、それは相当疲れる。相当疲れてそれでもその気になってくれたら業績が改善するのでうれしいじゃないですか。一緒にやっていこうよと。

でも、資本の理論というか、「株主が一番偉いんで、じゃお前いらんねん」って言われたらもういらないわけですよ。だから上場企業行ったんですけど、その上場企業もちょっと違うんだよねってなるとそうなのでもう絶対にやめようと。上場とか何とか言っても、そのオーナー家が残ってたら絶対嫌だと。そうしたら、もう要はお金儲けのために社長をするんじゃなくて、自己実現というかビジネスを実現するためにと思ってたんですけど、ここで思ったのは次の会社はファンド傘下に行こうと思いました。ファンド傘下であれば好き嫌いじゃなくてリターンさえ出せば認められるし、そしたらいずれ目標を変えようと、いずれ年収1億円で買ってもらえるようなプロ経営者になったらかっこいいんじゃないかなと。まあなれるかどうかは別として、そういう風に思いました。そう思ったんでプライベートエクイティファンド傘下の会社であった今の会社、株式会社ダイアナに入りました。

ダイアナへ入社

2009年に入りまして、すぐさま社長になっていますので、そこからいろいろございまして2014年にですね。MBOをしています。そこからいろいろ新しい事業をしているんですが、この右側に書いてあるいろいろな商売を、中国にしてもそうですし、あとこのリゼラアンドコーというのは買収したフットケアのサロン。それをフランチャイズパッケージにして今展開していて、今まあまあ人気になっています。あと、DブリリアントパートナーズはMICEや仲人事業、DサクセッションパートナーズというのはM&Aの仲介や人財紹介をやらせていただいているんですが、最終決断はできないです。ファンド傘下はまだやりやすいですよ。ファンド傘下はファンドが選んできた社長、ファンドさんもそう簡単には変えられないので、相当ガチンコで自分の意見を通すことができます。そのかわりリターンをばんばん言われるから厳しいですけどね。叩かれまくるから、しかも叩きまくる人たちは、もうハーバードとかMITとかマッキンゼー出身とか、もうテレビでしか見たことのないようなキラキラした経歴の人たちに叩かれまくるので大変なんですけど。

でもリターンを出すということと、一回おいた社長ってそう簡単に変えられないので勝負できる。それはいいとこかなというふうに思うんですが、2006年に私どもの会社はプライベートエクイティファンドが買収していますので、そろそろイグジットしたいわけですね。

イグジットというような状況になってくるところで、買いたいという人達にプレゼンテーションするのは僕なんです。でもこの方々が我が社を買うと我が社のいい文化、我が社の独特のお金儲けのために商売しているというよりも、やっぱり携わるお客様が幸せであるとか、お客様のQOLの向上とかフランチャイジーが楽しく豊かでいられるとか、本当にQOLの向上を目指しているような会社ですので、資本の論理で違うことになると、それが実現できないんじゃないかというふうに思いまして、これは何とかいろいろあるんですけれども、私自身がオーナーになれないかなとも思いましたし、社員やフランチャイジーからもオーナーになってくれとも言われました。でも、実際になれると思いませんでした。今、冒頭に一番最初に出した写真の富ヶ谷にあるこの井の頭通りと山手通りの交差点に、これ自社ビルなんですね。

140 億、自己資本比率50%みたいな会社なので、それは幾らプロ経営者っていっても到底買い取れませんよね。もらえる給料なんて知れてますので。そんなもんで何とかなるわけじゃないので、到底買えない。到底買えないんですけど、僕の気持ちを変えた一つの出来事がありました。

2010年、震災の前なんですけど。あるファンドさんから提案がありました。私自身の自己資金はいくらでもいい、出せる金額で。議決権100%やると。それであとはローンでファンドさんが資金を出すと。ちゃんとリターンさえ出してくれたらそれでいいと、その夢のようなファンドがやってきたんですけど、僕はもともとサラリーマンのせがれです。家内もいるし子供もいる。なので、莫大な借金を背負うけどオーナーになると。オーナーになる覚悟って結構大変じゃないですか。今申し上げたように資産100億円近いわけですから。そんな会社持ったら家族の人生変わっちゃうというぐらいの気持ちも持ったんですけども。でもこの事業を守っていくためにせっかくそんなチャンスがあるんだから受けてみようと思いました。

受けてみようと思って歩み出したんですけど、実は2011年に震災がやってきてその話は実はおじゃんになりました。それによってMBOができたわけじゃないんですね。

MBOにより経営権取得

実は、おじゃんになってから、もうそれからも売却の話はいっぱいあって。プレゼンテーションをいっぱいさせられるんですけど、買いに来た人全員がキーマンクローズをかけるわけです。徳田つきで買うという話なんで。全部で10社ぐらい来ましたが、全てキーマンクローズなんですね。ということはあれは待てよと。このボールは俺が持っているなと。僕が行かないって言ったらこの人たちは買わないんだってなったら株主であるPEファンドに交渉できるかもと思いました。

PEファンドの担当の方に「僕に売ってくれ」という話を会食をしている時にお話をしたんですけど、最初はけんもほろろでした。当然、そんな金を持っているわけないじゃないかという風に思われるのは当たり前ですよね。うん十億、本当にうん十億を目の前にすぐさま積んだら一応代表に聞いてみますけどね、という感じでした。めちゃめちゃ屈辱的でしたね。ただ、確かにつめるわけないし。でも、話もしてくれないんですけど、僕はその時思ったんですね。あ、でもチャンスはあるな、と。あの写真に写ったビル、自社ビルなんですよ。これが不動産なら融資を引き出せるかも、ってね。例えば、10億円の現金を調達してきたら、10億円は借りられるじゃないですか。でなおかつこの不動産があるので、例えば40 億やそこらは何とかなる。タネ銭と。タネ銭いう金額じゃないですけど、10億円手配すれば何とかなるんじゃないかなと思って、10億円を貸してくれる人を探そうという風に思いました。

その時にお会いした中の一人がマラトンの小野さんでもあるんですけど。15億円貸してくれませんかと言って。議決権を渡したくないんですけど、僕は自分の会社買いたいんですけど、と言ったらこいつバカじゃないかなと思うけど。小野さんもそうだったんでしょうが、まさかの親身に相談に乗ってくれたんです。うちは出せないけど、あの人のところへ行ったらどうか、この人のところへ行ったらどうか、っていろんな人を紹介してもらって、いろんな人に会いに行ったんです。でもなかなかそれは難しいなと。ああでも待てよと。1人1 億で10人で10億だったらありえるかもなって思ったり、色々動いたんですけど、そんな折にですね。

そんな折に、うちはメインとサブと両方ともメガバンクで。銀行取引をされている方はおわかりだと思うんですけど、法人部の部長とか支店長。今はメガは全部法人部って部長になっちゃいますけど、当時まだ支店長という銀行もありましたよね。私見ですが、部長とか支店長ってアクセルタイプとブレーキタイプが順番にやってくるように思うんですよ。

ある時、新任のサブの法人部長がご来社されて、「社長のところの会社だったらいくらでもM&A資金貸しますよ。」というお話になったんですね。2012年、13年ぐらいってM&Aブームだったのを覚えておられる方もいらっしゃるかもしれませんがM&A資金を貸したかった様です。当時、銀行さんが。幾らでも貸しますよと言われたんで、「幾らでも貸しますよって言われても、ちょっと待ってください。うちの株主はファンドさんですよ。ファンドさんに言われた方が良いんじゃないですか」と。そんな話をしている中で、私は「いや何なら僕は自分の会社買いたいんだけど」って言ったんですよ。

そしたらまさかの「分かりましたよ」って言って。「え、分かりました」ってこの人動くんだ!って思ったらわーって動いてくれたんですけど、エクイティーが全然ないので貸せないというようなところもあるので、いろんな人も連れてきたりいろいろしたんですけれども、そういうふうにサブが動き出したのであれ、これ動き出すなと思って。でPEファンドにちゃんとお話をしてこういう風に思ってると。で、もしかしたら資金調達できるかもしれない。だから許可を、売ってくれの許可じゃなくて動くということだけは認めてほしい、じゃないと利益相反になるんで、僕もファンドと契約があるのでとお話をしたら2週間だったか3週間だったか忘れましたけど、その期間動いていいと言われまして。サブに言ってるからメインにも言わなきゃいけないということで、メインにもお話を。もともと我が社は創業者がファンドに売却していますので、ファンドさんというのは皆さん、御存じのように自分たちのお金だけで買うわけじゃないじゃないですか。めちゃくちゃレバーをきかす訳ですよね。めちゃめちゃレバーをきかせて、このだから株式会社ダイアナという会社がもう100億円以上のお金を返している実績があるわけです。そうすると、メインにとっては離したくないからなのかウォーっと動いてくれました。

更に、動いて動いて動いて動いて動いて動きまくってくれて、何と2014年に僕は株式会社ダイアナという会社をフルローンで買いました。もうフルローンで買ったんですけど、フルローンっていっても、不動産は、全部担保は入ってますし、買ったって言っても株を全部、担保で差し出しました。でも、自主独立経営できたねという風に思って頑張ろうという風に借金完済したらいけるじゃないのということで動き出そうと思いましたし、また私がMBOをして自主独立経営にするということに対して、社員も応援してくれましたし、フランチャイジーの方々もすごく応援をしてくれて、本当に感謝なんですけど、やっぱり融資を受けるときってストライクってあるんですよね。

2月の中と2月のお尻かな。14年の。そこの例えば残高とかそこの業績の進捗とかストライクしなきゃいけないと、でストライクするっていうことのために、もう精一杯当時の営業本部長なんかは一生懸命頑張ってくれましたし、フランチャイジーの方も一生懸命頑張って支えてくれてました。

でも、フルローンで全部取られているんですね。でその後3年後に実は普通は5年なんですけれども、3年後に僕はリファイナンスをしているんですね。これも僕はツイているんですけど、次はメインの方の支店長がスーパーアクセルタイプの支店長がやってきました。スーパーアクセル支店長がやってきて。業績は安定していたので、そこの支店にとっては比較的大きな取引先だったんでしょう。やっぱり銀行さんもお金を貸してるだけじゃダメなので、何かこう売り込んだりとか何かやりたいわけですよね。やりたいんですけど、そもそもそのフルローンで会社を買っているので、もうバッキバキなんですね。バッキバキで、何ならそもそも私は死んだらあかんぐらいのこと書いてある。これじゃなんともならないということで、その支店長が動いてくれてリファイナンスを進めてくれたんです。リファイナンスするとアレンジメントフィーが発生してしまうんで。で、一気にわーっと動いてくれて、なんとそのタイミングでたった3年で全株式を取り返しました。その時、最初ファンドさんの担当者の方ともお付き合いはしていたので、ご飯を食べているときに、実はリファイナンスができたんですと言ったらホントに驚いてました。そもそも、MBOした際には、ファンドさんはコイツ、アホちゃうかと。フルローンで買った。えらい借金して買ったよと、やばいかもね、っていうぐらいの目で見てたみたいですね。うん。そうは言いませんでした。けれども、たった3年でリファイナンスしたので、本当に驚いていました。

更にその5年後、つい最近なんですけど、この3月にもう一回リファイナンスをしました。この3月というタイミングが良かったのかなとも思います。銀行さんも決算があるので、ある程度業績の見通しをたてておられたんじゃないでしょうか。各行、シンジケートを今まで組んでいた金融機関さんが、シンジケートだと傘下に入っていると自分たちが何か提案しにくいのでもう相対かと。シンジケートに入りたくない、担保も不要とのお話しまでいただいて、当社には、。富ヶ谷の本社ビルと滋賀県にあります商品本部という自社物件が2つありまして、1回目で株は担保から外れたんで、次は不動産を不動産を担保解除したいわけです。先程申し上げました僕はこのダイアナに来る前、2年間JASDAQ上場企業の立て直しをしてました。で、そこでやっぱりもう銀行さんにもいじめられ、商社にもいじめられ、お金の大変さをしみじみ実感していまして、そんな時に不動産は絶対的に強いのを身に染みています。毎日僕は今でも残高を見てますので会社の。経営者がしっかりと資金を見ていれば、潰すことはないって思っているんで、その思いがあるので、不動産をどうしても担保解除して欲しかったんです。こんな今回コロナみたいなことにもなったし、富士山が噴火するのかもわからないっていってるし。そうなった時に、僕がもし創業家であれば蓄財があるので、私財を入れるということができる。例えば、IPOしてキャピタルゲインがあったら入れることができるんですけど。僕は株を100%持っているんですけど、現金は持ってないわけですね。

じゃあ会社を支えるために、守るためにどうするかというと、不動産をせめて担保外してもらうと言うことで、メインバンクさんには少なくとも商品本部は外していただけました。渋い感じではありましたが、他の銀行さんから、なんとダイアナさんだったらもう担保はいらないと、必要なだけ融資するというお話をいただいて。断腸の思いでした。メインバンクさんに支えてもらったところに対してですね、片方外してくれるってところまで譲っていただいたのに他行さんに切り替えるというのは、メインバンクの審査はもちろん、両方とも取ってるのに何で返すんだって話じゃないですか。わざわざリスクが増えるだけだから。他のところは元々取ってないから、新しい新規取引とかだったらこの会社だったらこれぐらい出し込んで全然大丈夫と思うと担保とらないでいけるんですけれども、これがいろいろあって、じゃ悪いけど部長、僕の立場になってみてくれと、会社が危ない時に僕は守ろうと思うとこれしかないんだと、この財産しかないんだと、この最大の財産である本社ビルを担保外してくれと言ってるんだと。そうなったら、そっちを選ばざるを得ないんですという話で一旦メインバンクさんにお断りをしました。ところが日をあけずにメインバンクさんが来て、全て解除していただけるとのすごい譲歩をしてくれたんです。今この3月から14年のMBOから8年ですね。8年で全株式と全不動産は無担保、全部返ってきました。

マルチメガフランチャイザーへ

先に申し上げた30 億の赤字会社の経験をしたことや、MBAを取っておいて良かったなと思いましたけどね。ファンドさんの元でプロ経営者として生きるには、大学は国立か有名な早稲田慶応さんとかそんなのしか大学だと思われないって感じだし、会社は一部上場しか認めていないというような感じの世界です。僕は三流大学だし、しかもプライベートカンパニー、2社目はなんとか新興市場ですが上場企業の経験をしました。その、なんとか上場企業の再生経験と、MBAを持ってたということで、なんとかプロ経営者としてファンドさんが送り込む経営者にひっかかったということなので、それは間違いないなというふうに思います。で他にも色々書いてあります。バイアウトファンドの投資実績ということで、プロ経営者として認められたんだなということを思うのはこんな本に載りましたと。あとはずっとやってきたことをずーっと書いてあるような状況です。会社は赤字じゃないんですけど、やっぱり収益率を上げていくっていうことがすごく大切なので、いろいろ構造改革をやっています。人事制度を変えたり、各物件を全部引っ越してみたりとか。2014年以降はやっぱり新規事業。一本足打法のプロポーションづくりのダイアナだけじゃなくて、他のこともやっていこうということで今やっています。

現在は「プロポーションづくりのダイアナ」っていう創業の本業だけじゃなくて全部で4つのフランチャイズ事業を展開していこうとしています。マルチフランチャイザー、メガフランチャイザーになろうと思ってます。「プロポーションづくりのダイアナ」というのとですね、「フットキュアのリゼラアンドコー」、足のメンテナンスですね。これも医療と連携します。足の専門医がいらっしゃる順天堂大学さんとか下北沢病院さんと連携します。あとは食ですね。「マルチコンテンツダイナーのシャイニーアウル」、これも美と健康ということで。人気なんですけど、健康にいい食事というのを提供させていただいたり、あとは美容室に託児所をつけていまして、働く人が豊かになる文化、文明というのをつくっていこうということですから、女性スタイリストって子供を産むと、なかなか職場に戻ってこれないんですけど、お客さまの子供を預かるだけじゃなくて、スタイリストの子供も預かるというのを特徴にしています。日本全国にこの4つのフランチャイズパッケージで展開していこうかと思っています。そして、これがプロポーションづくりのダイアナなんですけど、年齢1歳刻み、身長1センチ刻みに女性の理想値を持っていまして、補整下着ですとか、栄養補助食品ですとか、化粧品ですとか、いろいろなものを使って、その理想の体型に導いていくというプロポーションづくりのコンサルティング事業です。商品のことを私たちは「お道具」と呼ぶんですけど、そういう事業をやっています。ただ、プロポーションづくりを科学するってことで美容業界なんですけど、なんとなくキレイではなく、エビデンスとかデータにすごくこだわっています。体型データももうもう圧倒的に世界ナンバーワンだと思うんですけど、膨大なデータを持ってて、それをベースにして経営を進めていくっていうことをやっていますし、あとフットキュアの方もそうですね。その先ほど申し上げた病院との連携というのを強化していって、差別化の切り口、差別化の幅だけが利益なので、差別化ということに対して徹底的にこだわろうと説明しきれる事業をしようということで、いろいろな形でやらせていただいてます。フットキュア研究所というのも作っています。あとはカフェダイニング事業ということで、これも普通の飲食ってレッドオーシャンなんで差別化。これはゴーストレストランをいっぱいやってるんです。実は富ヶ谷の店ってゴーストレストランだらけなんですけど。あと表参道は繁盛店として高収益を維持していて、ブランディングも担っています。色々な切り口で差別化していき、マルチフランチャイザー、目がフランチャイザーとして事業全体を差別化をしていこうということです。

4000店舗を目指して

それと、今から挑戦しているこの秋ローンチするシステムがあるんですけれども、莫大なデータを持っているので、これをAIに使おうと。美容業界でAIを使ってカウンセリングしているところがあまりないと思うんです。さらに、うちはフランチャイズの本部ですから、AIを使ってフランチャイジーの経営指導をしていこうとしています。これもあまりないと思うので、そこに挑戦していこうと。ダイアナとかリゼラとかいろいろ合わせて日本全国津々浦々ダイアナファミリーでお客様のQOLの向上をサポートすることを目指していきたいなという大きな夢を持っています。

実は4000店舗いけるあてって具体的にはまだ何もないです。何もないんですけれども、言ってみないと始まらないよねということで恥ずかしいけど言ってみています。不可能はないんじゃないかなと思っているんです。1サラリーマン社長がこの会社の100%オーナーになれた。これの方が奇跡なので今約730ある店を4000店舗にする方が全然楽じゃないかなという風に思っています。それでフランチャイジーを大募集している。今、100年ビジョンを描いて、それに従ってこういう事業をさせていただいています。ダイアナドリームビジョン2030ということで、2030年までに本当に事業を連携して強くしていきたい、ダイアナファミリーの事業を美と健康の産業の中心に持っていきたいなという風に思っています。

トライ&エラーを繰り返しながら、限られた人財で頑張ってます。今までの話で当社を面白いんじゃないかなと感じた方、挑戦してみたいと思う方を常に募集していますので、皆様方の中でも新たなビジネスに挑戦したい、誰かジョインしてもいいなと思われる方がいらっしゃれば、ぜひお声を上げていただいたりすると嬉しいなと、やっぱり働く人が豊かになるということを作り上げていきたいと思いますので、どうか皆様方のアイデア、お力なんかもいただけたら嬉しいなという風に思います。

以上が私からのお話です。ありがとうございました。

Q&A

Q.社員の時の経験でプロ経営者になったときに一番役に立ったことは何ですか?

堀江

めちゃくちゃ面白かったです。
個人的な感想を言いながらも、ちょっとお話をしたいんですけども、すごい量の質問が来てますんで、質問の方に行きたいと思います。
 
では、事前にいただいている質問を先に答えながら、今いただいている質問、その後回答していきたいと思います。
「社員の時の経験でプロ経営者になったときに一番役に立ったことは何ですか?」ということなんですけどいかがでしょうか。

徳田氏:一番最初の会社で実はアルバイトもしてたんですよね。アルバイトもしてたから、もうパートさんなんかも知ってて、本当の現場を知っているというか。一緒に汗を流してたということが良かったかなと思いますし、上場企業ではプロ経営者として本当に初めて呼ばれたわけですけど、別の資本から。

その時もやっているのは、やっぱり自分たちも社員だった時にもっとこの会社こうなったらいいのにと思ってたわけで、一番最初から申し上げても1350億から489億円に落ちてる会社なので、何でこうしないんだろうと思うことはいっぱいあった。でも、その幹部の方は聞かないわけですね。じゃ答えは全部現場にもあるって本当に思ってるんです。だからその最初の会社の資本の中で、6つや8つぐらいの会社を建て直した時もキーマンというか全員にヒアリングをしています、でどういう風にしたらいいんだろうかとか、どんなことがあったらいいかっていうことを幾つも聞くんですね。幾つも聞いて集約して3つぐらいに集約して、その3つぐらいをなるべく早くやってあげる。そうすると社員さんが前向きになり、味方になってくれる。だって自分の言いたことをやってくれる経営者っていいじゃないですか。

皆さんもまだ社員さんで働いている方もいらっしゃるでしょうから、上司に言っても役員に言っても「それ素晴らしいなあ」って言ってあげない方がいっぱいいるわけですよね。業績が悪い会社って大体そうなっているので、僕もそう思われたくないなと。だから幾つか聞いてまずやってあげると、それで信頼関係を作る。じゃ徳田さんに言ったらやってくれるかも分からない。だから、こういう風になった方がいいんじゃないか、ああいう風にした方がいいんじゃないかってことを言ってもらえるようになるから、じゃあそれを順番にこなしていくってことができるので、一番社員としてのスタッフとしての経験がそこの部分で活きたかなというふうに思います。

Q.ファンド投資先の経営者としては、どれくらい期間と目標数値が与えられましたか?

堀江

「ファンド投資先の経営者としてやられた時に、どんな目標数値が与えられたか、その期間はいかがですか?」
ということについてはどうでしょうか。

徳田氏:大体、年率25%ぐらいはリターンを出したいというような計算の中で、時価、売却額があるんですよね。契約が幾らで売れたら幾らボーナスもらえる。いつまでにとかっていうのはある程度具体的に決まっています。

幾らならば幾らと金額はもう決まってるんですね。経営者としての、例えば株式会社ダイアナと代表取締役としてのこのいわゆる役員契約だけではなくて、ファンドさんと僕との中にも契約が存在しまして、そういうふうな形で決まってますね。どれぐらいの期間でどの程度達成されましたかというのは、いや達成はできなかったですね。達成というか求めるところは高いので。でもすぐにクビにはしない。ある程度の結果を出すことが必須ですが、信頼関係をしっかり築いて説明責任を果たすことが出来ていると、素晴らしい経営サポートをしてくれます。ファンドさんの代表なんかも、徳田さんが言ってるならしかたないかっていうか、まあいいじゃないかという。

例えば予算とかもせめぎ合いがあるんですよ。簡単に言うと。もう今の実力で幾ら描いても115しか描かれないんじゃないかっていっても125以上絶対的にいかなきゃいけないとか、いかない数字を書いてもしょうがないっていうようなことで、もめごとがあったりするんですけど。でもあの信頼関係ができれば、そこでいいじゃないのっていうことになったりして、それを達成したりしなかったりはありますけどね。

堀江

ありがとうございます。プロ経営者として社員や従業員、従業員や取引先との人間関係の問題について、どんな問題があってどう解決したとか、そういう質問だと思うんですが。

徳田氏:取引先さんを大切にしようというのは、過去からずっとしてまして、我が社に来た時もメーカー会を作ってメーカーの皆様方に入っていただいて、業績のレビューと方針発表というのをやる。要はこの会社元気じゃないの、この経営者俺たちのこともちゃんと見てるじゃないのってなると、やっぱりサポートしてくれますよね。それは大切にしています。

また、従業員は正しく評価をして差し上げるというようなことと、例えば働きやすい環境というのは徹底的に作っています。うちのリリースとかホームページとかをご覧いただいたらわかると思うんですが、驚くほどホワイト企業認定を受けまくってます。

で、あとは1on1で年に一度全社員と面談したりとか、あとはイベントをやってたり、実はご興味のある方はぜひ来ていただいてもいいかと思うんですけど、弊社の7階って去年全面改装をしまして、コミュニケーションスペースになってます。バーカウンターがあったりとか、18時までが就業なんですけど18時以降は1杯200円で生ビールとかハイボールとかチューハイとか飲んだりできたりとか。あと本当に遊び部っていう部を作ってたりとか、何かそんな風にしてせっかく社員の皆さんも働いている時間が一番長い会社と付き合ってる時間が一番長いので、楽しかった方がいいなって、僕もそう思ってたんで、そういう風にしてます。

Q.なぜ売却先として徳田様を選ばれたのでしょうか?

堀江

ありがとうございます。
「なぜ売却先として徳田様を選ばれたのでしょうか?」
ということですが、これについてはどうでしょう。

徳田氏:なぜってことはないと思うんですけど、買い手がいろいろおったんですけど、結局キーマンクローズ、僕がボールを持っているってことに気づいたってことですね。

堀江

なるほど。徳田さんしか無理だってみんな知ってるから。

徳田氏:全員がそう言ってるんで無理じゃないですか。そこの中で買う金額もいろいろ調整しましたよ。うんって言える金額を探って探って探って探って。ああ、これならばうんと言える金額かな、というのを。金額の交渉は直接は僕では利益相反なのでできないんで財務の担当に値段を指すのにこの金額でちゃんと言ってくれというような話をちゃんと計算式を立てて。

堀江

ありがとうございました。

徳田氏:でも、結局はですね。私どもを持っておられたファンドさんって本当に素晴らしいファンドさんで、私たちの会社のことも愛してくれてる担当の方もたくさんいらっしゃいました。だからやっぱり結局そのようにして、今信頼関係もあったので、徳田さんに売るのが一番よかったよねというようなことは言っていらっしゃいましたけどね。

Q.地方の事業承継のアドバイスがあればお願いします。

堀江

ありがとうございます。
次はちょっと今回の話とずれるかもしれませんが、
「地方の後継者不在企業の事業承継で事業を引き継ぐことを目標にしています。地方の事業承継のアドバイスがあればお願いします。」

徳田氏:これはファンドが入っていらっしゃるのであればいいかと思いますけど、後継者がいないからというオーナー経営の会社行くと地獄ですよ。よほど気に入られない限りは他人なので。

堀江

はい。

徳田氏:わかるかもしれないんですが、だからこそファンドさんが入ったりすると、ちゃんと仕事で評価してもらえるので。恐ろしいことですね。オーナーの下につくっていうのは。

堀江

だから、ちゃんと話ができる株主かどうかという判断が必要ですね。

徳田氏:そうですね。だから、ファンドさんってすごく意味があるんだと思うんですよね。

Q.ベンチャーに行ってもリスクが和らぐ方法をお聞きしたいです。

堀江

給料下がってでも、リスクを取ってでもベンチャーに行けば成長するなどとキャリアパス議論の中では言われがちです。リスクが和らぐ方法をお聞きしたいです。

徳田氏:比較的お若い方ですかね。給料が下がってもリスクを取ってベンチャーに行けば成長する、でも確かにそういうことはあるんでしょうけど、やりたいことをやった方がいいですよね。

堀江

徳田さんもお話してましたけど、お金稼ぎだけじゃなくて事業をやりたいとか、今回の今やれてる事業がお好きだったとかね、そうなんですよね。

徳田氏:でも大体成功されてる経営者に聞くとそうですよね。僕は成功しているわけじゃないですけども。

堀江

そうですね。
プロ経営者になるために何をすればプロ経営者に近づけるか。人材会社の視点だと、やっぱり何かしらの形でこう事業、何らかの事業、ちっちゃい事業でもいいけれど、事業のマネジメント経験があるからっていうのが最低限ファンド、ファンドの投資先の社長なら必要かなというふうに思っています。

営業部長とかマーケ部長とかいうよりは、一つでもちっちゃくてもいいので事業とか、子会社の社長とか何らかの事業マネジメントが必須ですね。

徳田氏:さっきも申し上げましたけれども、僕は本当に週末MBAみたいなものですけど、MBAの学位をとっておいて良かったなと思いますね。

Q.事業承継とファンド投資先の個人保証の認識について

堀江

ありがとうございます。

追加でいただいてるものがいくつかありますので、見ていきたいと思います。

「事業承継だと資金調達の際、個人保証が借入の前提になりそうな気がして、大きなリスクを取る必要があるという印象を持ってます。一方、ファンド投資先だと資本注入するので、個人保証までは求められない印象があります。この認識で正しいでしょうか?」

これはそうですよね。

徳田氏:うんそうですね。

堀江

はい、ありがとうございます。

徳田氏:ファンド傘下で経営者として送り込まれる時も当然株は買うんですよ。大体みんな自分も出資しますよ。いくらかはね。株を買います。

堀江

株を買ったり最近だとストックオプションだけもらうために。

徳田氏:つけてくれる人もいるけど。

Q.プロ経営者はローンなどの信用力が落ちますか?

堀江

次はですね、
「サラリーマンの方が住宅ローンとか借り入れする時は借りやすいと思うんですけども、プロ経営者だとそういった面で信用力が落ちるというようなことはあったり、何か生活で不自由が発生しますでしょうか?」

徳田氏:どうですかね。特に僕は元々サラリーマン経営者で、プロ経営者っていっても例えば赤字だけど、上場企業の経営者になってたりとかファンド傘下ですけどそこそこの会社の規模なのであんまり関係ないんじゃないかなというような。

Q.なぜキーマンクローズが付いたのでしょうか?

堀江

ありがとうございます。
次これ皆さん気になるんですと思うんですけど、
「キーマンクローズっていうのが結構重要なワードかなと思うんですけど、なぜキーマンクローズが付いたでしょうか?徳田様でなかった理由というのは、どういうところなんでしょうか?」

徳田氏:こいつじゃないと経営できないと思ったんでしょうね。うちがフランチャイズであるということも一つの理由につながったかもしれません。

フランチャイズビジネスって例えばあるコンビニさん、今はだいぶ立て直しましたけど、例えば創業者が退任した瞬間に色々もめ事が起こったでしょ。訴訟が起こったりとか。神がいなくなったんですよ。簡単に言うと。フランチャイズって僕たちフランチャイズ協会にいて例えばコンビニさんがもめ事を起こしているから、協会に公取とかが来て色々意見を言ったりする、求められたりすることがあったんですけれども、皆さんが知っているような有名なフランチャイズの経営者たちは、いやそれはないんだと。

例えば今は似たような立地の似たような店舗の損益を見せろと言うんですよ。加盟店開拓する時に。いやいやでもそれって個人事業だし、私たちは監査というのをさせていただくことはあっても、それを開示することを条件にしてませんということだし、フランチャイズで個人事業でやっていたら要は子供の塾代以外、食費から彼女の車から何から入っているかはわからないと。そんなの出してもしょうがないよって。中には赤字だけどやってる人もいると、それはこの例えばうちだったらダイアナ、例えばどこどこへ行ったらどこどこというブランドが大好き。だから、それをその商売をしているということが誇りなんだという方もいらっしゃるんですよ。それでその経営者の思想が大好きだと。実際にそうなんですよね。だからその繋がりが必要なんで、それをコントロールというか。700も店があるし、700人の経営者がいるので、それをつなげようと思ったらもう一段のリスクがいるから、結局今コントロールできているこの人をキーマンクローズにしないとちょっと料理しにくいなと思ったんじゃないですかね。

堀江

ありがとうございます。フランチャイズで特有な点もあったんですかね。

徳田氏:そうですね。一般企業でもそうでしょうけどね。

Q.借入金の返済率は?

堀江

ありがとうございます。これちょっと回答できるかわからないんですが、「株式取得時の借入金の返済率は現時点でどの程度でしょうか?」
という質問が来ています。

徳田氏:相当お返ししてますけどね。相当返してますっていうぐらいでいいですかね。

堀江

もちろんです。ありがとうございます。


Q.どうしても引き継ぎで欲しいのが売り手の場合はありますか?

堀江

「どうしても引き継ぎで欲しいのが売り手の場合はありますか?」
どういう意味でしょうね。

徳田氏:売り手からお金をもらって引き継ぎたいのですかね?この方はプロ経営者として欲しいということを言われてるっていうことなんですかね。

堀江

どうしても引き継ぎ手が欲しいのが、売り上げの場合は。

小野

想像するに、例えばすごい会社さんがうちの会社をやってくれるなら、もう会社にちょっとお金あるから引き継いでくれるなら、この多分借り入れ0で5000 万ぐらいキャッシュがあって、キャッシュごと全部あるからお前引き継いでくれないかみたいなことを想定してるのかなと。どうしても引き継いで欲しくて社員が例えば15人いるというので、こいつらを何とか面倒を見て欲しいみたいなことはあったりするんですね。

実際に。中でも自分の会社にナンバーツーがいて、こいつちょっと金はないけどこいつに継いで欲しいと。ちょっとお前、ちょっと責任あって借金とかって嫌だろうから。お前にこの5000万円あげるからお前がこの会社の5000 万もお前含めてお前が預かってくれと。俺は金をもうそれなりに役員報酬で蓄財3億あるからお前に5000 万あげるから来年からやってくれみたいなのが、たまにありますけどね。

堀江

そういうことありますかってことならば、そういうこともある。
珍しいことですけど。

小野

はいそうですね。

Q.早くプロ経営者になるためのアドバイスをお願いします。

堀江

メガバンクで本店営業部の次長までやられた形で将来経営者になりたくて、先月からベンチャーに転職されて本部長候補で入ったという方で今年49歳ということです。
「将来はプロ経営者になりたいので、ちょっと少し遅いかもしれませんが、早くプロ経営者になるためのアドバイスをお願いします。」

徳田氏:もうこのベンチャーでいち早く成果を出すしかないですよね。もう成果を求められている年齢ですもんね。

堀江

ええ。もう本部長ということで、成果を出すしかないですよね。

徳田氏:成果を出すしかないですね。僕が成果を出せているかどうかは別として、僕は現場の声を一生懸命拾った。ヒアリング、もう出ることがなくなるまで、課長以上は全員面談してましたからね。最初。

堀江

ありがとうございます。
徳田社長自身の事業承継はどんな風にお考えですか。

徳田氏:これが大変なんです。金もないのに相続税がかなり発生するでしょうから、いろいろ対策を考えています。やっぱりチーム組んでやってもらわないといけないので、相続対策ということとIPOというのも一つあるのかな。でも、それに耐え得る会社かなということも含めて考えていかなきゃなっていうのが一番の課題ですか。会社の業績も課題といえば課題なんですけど。

堀江

まだ徳田さんもお若いですから10年、10年20年くらいすればね。

徳田氏:まだまだ考える時間はある。

まとめ

堀江

はい、ありがとうございます。これで大体ご質問の回答できたと思いますんで、皆さんこれで大丈夫そうですかね。

徳田様、本当にどうもありがとうございました。

徳田氏:ありがとうございました。

堀江

はい。聞いている方にとって、本当に参考になる情報が多かったのではでないでしょうか。

弊社ですけどもすぐ社長という方じゃない場合に、プロ経営者になるためのキャリアを作りたい、その一歩目に何かご相談がある方はこちらに気軽に相談してください。

徳田さん、最後に何か皆さんにお伝えしたいこととかPRとかメッセージとかありますか?

徳田氏:このこうやって話を聞いてみようって前向きに挑戦してみようという方々が、これだけたくさんいらっしゃるというのは嬉しいことだなと思いますし、僕はご縁があって、中央大学とか明治大学とかでも講演をさせていただくことがあるんですが、先週も中央大学のゼミで講演させていただきました。

大学生も起業意欲が強かったり、質問をいっぱいいただいたりとかで今日もある方と喋っていたら、日本は全然あかんねと。ある国の前大使とゴルフをしたんですけど。だから日本を憂うようなことの方が多かったんですが、いや民間での学生さんもそうですし、皆さんの思いのある経営者ってまだたくさんいるので、私たちが一生懸命頑張るしかこの国良くなることはないんだろうなという風に思いますので。挑戦はどんどんされたらどうかなという風に思います。

ありがとうございます。

堀江

徳田さん今日は本当にどうもありがとうございました。

徳田氏:ありがとうございました。

目次