「事業承継における銀行の役割は?」
「事業承継を銀行に相談するメリットは?」
銀行は事業承継において重要な相談窓口となり、財務状況の把握、自社株評価、資金支援、専門家の紹介、承継先のマッチングなど多角的なサポートを提供します。
役割 | 内容 |
---|---|
財務状況の把握 | 日頃の取引から企業の財務や経営状況を理解している |
経営・株式評価相談 | 自社株や資産の評価、資金計画のアドバイス |
専門家紹介 | 弁護士・税理士・M&A仲介会社などとの橋渡し |
資金支援 | 承継資金の融資や資金繰りへの支援 |
承継候補の紹介 | 銀行ネットワークを活用した第三者承継のマッチング |
日頃の取引を通じて企業の経営状況を理解しているため、現実的で具体的なアドバイスが期待できるのが特徴です。
- 財務状況を把握しているため適切なアドバイスがもらえる
- 自社株や資産評価の相談ができる
- 承継先・買い手候補を紹介してもらえる
- 金融支援を受けやすい
- 相談料がかからないことが多い
今回は、「事業承継における銀行の役割」や「銀行に相談する5つのメリット」などについて詳しく解説していきます。
これから事業承継を検討している経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
事業承継における銀行の役割
事業承継を考えるとき、銀行は大切な相談先の一つになります。
銀行は日頃から融資や預金取引を通じて企業の財務状況を把握しているため、経営者の現状を踏まえた具体的なアドバイスが可能です。
役割 | 内容 |
---|---|
財務状況の把握 | 日頃の取引から企業の財務や経営状況を理解している |
経営・株式評価相談 | 自社株や資産の評価、資金計画のアドバイス |
専門家紹介 | 弁護士・税理士・M&A仲介会社などとの橋渡し |
資金支援 | 承継資金の融資や資金繰りへの支援 |
承継候補の紹介 | 銀行ネットワークを活用した第三者承継のマッチング |
また、銀行によっては事業承継コンサルティングを行ったり、提携する弁護士や税理士、M&A仲介会社を紹介したりするケースがあります。
そのため「まず誰に聞けばいいのか分からない」という段階でも相談しやすいのが特徴です。
事業承継に関して銀行へ相談する内容
相談内容を整理すると、次のようになります。
相談内容 | 具体例 |
---|---|
事業承継に必要な資金相談 | 相続税や贈与税の支払い資金、後継者への資金援助 |
自社株評価の算定 | 株価の見積もり、後継者への承継方法 |
M&Aや第三者承継に関する相談 | 買い手候補の紹介、条件交渉の進め方 |
後継者育成や承継計画づくり | 承継スケジュールの立案、経営課題の整理 |
専門家紹介 | 税理士、弁護士、M&A仲介会社との連携 |
例えば、自社株の評価や後継者への資金負担をどうするかといった問題は専門的で悩みやすい部分です。
銀行なら資金繰りの見通しや必要な融資の可能性、さらに信頼できる税理士やM&A仲介会社の紹介までサポートしてもらえる場合があります。
また、地方銀行は相談料が無料であることも多く、気軽に利用できる点も安心材料になります。
このように、銀行は「事業承継の入口」として有効です。
最初の段階で銀行に相談することで、自社に合った承継手段を見つけやすくなり、将来の不安を減らすことができます。
事業承継を銀行に相談するメリット

事業承継を銀行に相談するメリットは、以下の通りです。
- 財務状況を把握しているため適切なアドバイスがもらえる
- 自社株や資産評価の相談ができる
- 承継先・買い手候補を紹介してもらえる
- 金融支援を受けやすい
- 相談料がかからないことが多い
銀行は日頃の融資取引を通じて企業の経営状態を把握しているため、承継に関わる助言や資金調達サポートを受けやすいのが大きな特徴です。
さらに、自社株評価や買い手候補の紹介、相続税対策などにも対応できるため、経営者にとって実践的かつ負担の少ない事業承継を進めやすくなります。
それでは、それぞれのメリットについて解説していきます。
財務状況を把握しているため適切なアドバイスがもらえる
銀行は、日常的な融資取引などを通じて会社の資金繰りや経営状態を把握しており、経営課題や将来的なリスクを理解しています。
決算書や事業計画などを一から説明する手間が省けるため、会社ごとの実情に即した現実的な助言が期待できます。
例えば、事業承継を考えている経営者が銀行に相談した場合、銀行は自社の財務諸表や過去の取引履歴に基づいて、承継スケジュールの立て方や資金調達のアドバイス、後継者が円滑に経営を引き継ぐための改善点などを具体的に提案します。
また、相続や自社株の評価方法についても相談でき、必要に応じてM&Aや買い手の紹介も可能です。
自社株や資産評価の相談ができる
事業承継に関して銀行へ相談することで、自社株や資産の適正な評価をスムーズに受けられるという大きなメリットがあります。
例えば、地方銀行では経営者の自社株式評価や資産全体の把握を基に、承継や相続の負担を下げるための方法(役員退職金の活用や分割対策)を具体的に提案しています。
また、他にも銀行が税理士などの専門家と連携し、経営者個人の相続税対策やスムーズな自社株譲渡の支援を実施しています。
事業承継で自社株や資産評価の相談を銀行にすることで、企業側の実情に合った、現実的かつ負担の少ない事業承継が可能になります。
承継先・買い手候補を紹介してもらえる
事業承継を銀行に相談するメリットは、買い手候補や承継先の紹介を受けやすいことです。
銀行は融資を通じて多くの企業との接点を持っており、自社の顧客企業とのコネクションを活かして迅速に買い手候補を見つけることが可能です。
特に地方銀行や信用金庫は地域に根差した独自の情報を持っているため、M&A仲介会社とは異なる候補先を紹介できます。
また、実際の買い手候補を探す段階では、銀行が提携するM&A仲介会社や事業承継ネットワーク(バンクM&A、事業承継・引継ぎ支援センター等)を紹介するケースもあります。
金融支援を受けやすい
銀行に事業承継を相談すれば、金融支援を受けやすくなります。
具体的には、事業承継で後継者が設備投資や自社株買い、相続税対策のためにまとまった資金を必要とする場面でも、既存取引があれば審査が通りやすく、早期に融資を受ける事例が多いです。
また、事業継続に必要な経営改善支援も受けることができるため、結果として事業の安定化が図れます。
このように、銀行に事業承継を相談することで、金融支援を受けやすくなるのが大きなメリットです。
相談料がかからないことが多い
事業承継の相談を銀行にする場合、相談料がかからないケースが多いことは大きなメリットです。
多くの地方銀行では、地域企業との信頼関係づくりを目的に、初期の事業承継相談に対しては相談料や着手金を徴収しない体制を整えています。
銀行が専門家やM&A仲介会社と連携している場合、手数料は銀行ではなく紹介先から発生するため、依頼者に負担がかからない仕組みになっています。
実際に手数料が必要となるのは、専門家とのアドバイザリー契約やM&A手続きが進んだ段階です。
事業承継について銀行に相談する流れ
事業承継を銀行に相談する流れは「準備の認識→現状把握→改善→計画策定→実行」という5つのステップを押さえることが重要です。
まずは「いつまでにバトンタッチするか」を考えます。
事業承継は少なくとも5〜10年前からの準備が推奨されます。
銀行との面談で、財務状況や課題を共有します。
改善点が明確になることで後継者に安心して引き継げる環境が整います。
承継前に利益体質の強化や内部統制の見直しを進めます。
銀行は資金調達や経営改善のアドバイスを行い、後継者から見ても魅力ある企業に整える支援をします。
親族内承継・従業員承継・第三者M&Aのどれを選ぶか整理し、スケジュールを立てます。計画は従業員や取引先とも共有しておくとスムーズに進みます。
実際の承継段階では、銀行がM&A仲介会社や税理士などを紹介し、契約や税務手続きをサポートします。
事業承継について銀行に相談する流れは、準備の認識から実行まで5つのステップで構成されています。
融資元である銀行は企業の内情を把握しているため、最初の相談窓口として最適です。
事業を譲り渡す5~10年前から準備を開始し、段階的に進めることで成功確率が高まります。
銀行以外に事業承継を相談できる相手
事業承継は、銀行以外にも様々な専門家や公的機関へ相談できます。
銀行は融資の観点から事業承継をサポートしますが、実際の事業承継は税務・法務・経営など多方面の専門知識が必要となります。
また、M&Aによる第三者承継も増加しており、より専門性の高いサポートが求められています。
事業承継は複雑な手続きを伴うため、まず無料相談できる公的機関を活用し、必要に応じて専門家と連携することが重要です。
銀行以外の選択肢を検討することで、より適切な事業承継が実現できます。
事業承継を銀行に相談する際によくある質問
最後に、銀行へ事業承継の相談を検討している方向けに、銀行相談時によくある質問とその回答をまとめました。
- 銀行へ事業承継の相談を行う際の注意点は?
- 事業承継アドバイザー資格を持つ銀行員に相談するメリットは?
- 業績が悪い場合でも銀行に事業承継の相談は可能でしょうか?
- 銀行へ事業承継の相談を行う際の注意点は?
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銀行へ事業承継の相談を行う際の注意点は、以下です。
注意点 内容 対策 数字の明確化 財務データや経営計画を具体的に準備する 決算書、財務諸表、株式構成を事前に用意 売り手側の不利 銀行に有利な事業承継になる可能性 複数の専門家に相談し比較検討 相談時期の見極め 事業承継の準備は5~10年前から必要 早期の相談開始と計画的な準備 業績による制限 業績悪化時は積極支援を受けにくい 経営改善を先行して実施 例えば、売上や利益、負債、資産などの具体的な数字を準備せずに漠然とした不安を相談しても、的確なアドバイスを得られません。
また、銀行子会社の証券会社やM&A仲介会社を紹介され、高額な報酬を要求される可能性もあります。
業績が悪化している企業は、積極的な支援を受けられない場合もあります。
- 事業承継アドバイザー資格を持つ銀行員に相談するメリットは?
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事業承継アドバイザー資格を持つ銀行員に相談すると、会社の実情を踏まえた資金・税務・後継者選定まで一気通貫で支援を受けられるため、初動から実行までムダなく進めやすいです。
事業承継アドバイザー資格を持つ銀行員に相談するメリット
項目 メリット 企業理解 取引実績に基づく経営・財務把握があり説明の手間を省ける 資金支援 承継資金・設備資金など融資提案につなげやすい 株価評価 非上場の自社株評価や納税資金の相談が可能 相続・税務 相続・贈与・節税の専門家連携で横断支援が受けられる M&A連携 取引先ネットワークから譲受候補紹介や仲介部門連携が可能 相談コスト 初期の相談料・着手金が不要なケースが多い 事業承継アドバイザーの資格がある場合は、金融面だけでなく、税務や法務など多角的な視点からサポートが受けられます。
必要があれば、税理士や弁護士など外部の専門家も紹介してもらえるため、安心して事業承継を進められます。
- 業績が悪い場合でも銀行に事業承継の相談は可能でしょうか?
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業績が悪い場合でも銀行に事業承継の相談は可能です。
銀行は企業の経営状況だけで判断するのではなく、事業の将来性や承継後の改善計画、人材やノウハウの継続性なども重視するからです。
実際、業績が芳しくない企業ほど早めの相談が重要とされており、事前に経営改善計画や承継後の体制を整えることで、金融機関のサポートを受けやすくなります。
まとめ
事業承継において銀行は「最初の相談窓口」として非常に重要な役割を果たします。
銀行は日頃から企業の財務状況を把握しているため、資金面だけでなく株式評価やM&A先の紹介、税務・法務の専門家との橋渡しまで幅広くサポートが可能です。
さらに、相談料がかからないケースが多く、経営者にとって負担を抑えながら現実的な承継計画を進められるのも大きなメリットです。
後継者問題・事業承継は日本プロ経営者協会にご相談ください
銀行は事業承継の入口として心強い存在ですが、実際の承継では財務だけでなく法務・税務・人材面など多方面の課題が伴います。
日本プロ経営者協会は国内最大級のプロ経営者ネットワークを活用し、後継者不足や第三者承継(M&A)を含む幅広いソリューションを提供しています。
銀行や各専門家との連携を図りつつ、承継計画の策定から実行・承継後の経営体制づくりまで一貫してサポート可能です。
事業承継に不安をお持ちの経営者様は、ぜひ早めに日本プロ経営者協会へご相談ください。