「人手不足倒産とは?」
「自社が人手不足倒産しないために、今からできる対策は?」
帝国データバンクの最新調査によると、2025年度の人手不足倒産は441件と過去最多を更新し、3年連続で記録を塗り替える深刻な状況となっています。
特に建設業や物流業、介護業などの労働集約型産業を中心に、黒字経営の企業ですら必要な人材を確保できずに事業継続を断念するケースが急増しています。
今回は、「人手不足倒産が起こる原因」「倒産が多い業種」「対策」「前兆サイン」について詳しく解説していきます。
自社の人材確保や経営の安定化を目指している方は、ぜひ参考にしてください。
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| 経済産業省 | ミラサポplus |
|---|---|
| 中小企業庁 | 事業承継 |
| 帝国データバンク | 倒産レポート |
| 日本政策金融公庫 | 事業承継マッチング支援 |
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人手不足倒産とは「必要な従業員を確保できず倒産すること」
人手不足倒産とは、事業運営に必要な従業員を確保できず、売上や仕事があっても事業継続が困難となり、倒産に至ることです。
背景には、少子高齢化による労働人口の減少や、採用競争の激化、従業員の高齢化などがあります。
特に人手への依存度が高い業種では、人材不足がそのまま売上減少や事業縮小につながりやすくなります。
例えば、以下のようなケースが人手不足倒産に該当します。
- 建設業で職人を確保できず、受注はあるのに工事を請けられない
- 物流業でドライバー不足により配送量を減らさざるを得ない
- 介護業でスタッフが集まらず、利用者の受け入れを制限する
- 飲食業で人員不足が続き、営業時間の短縮や店舗閉鎖に追い込まれる
- 後継者や管理職候補が見つからず、経営継続を断念する
上記の例のように、人手不足倒産は単なる採用難ではなく、企業の売上・利益・サービス提供体制に直接影響する深刻な経営課題です。
早い段階で採用体制の見直しや業務効率化、待遇改善などに取り組むことが重要です。
人手不足倒産の件数推移【2026年最新】

帝国データバンクの最新調査によれば、2025年度の人手不足倒産は441件と過去最多を更新し、3年連続で記録を塗り替える深刻な状況となっています。
その理由は、建設業や運輸業といった労働集約型産業で人材確保が一段と困難になり、賃上げ競争に追随できない中小企業が淘汰されているためです。
直近の件数推移は以下の通りで、2025年度には年度ベースで初めて400件の大台を突破しました。
| 年度 | 件数 |
|---|---|
| 2023年度 | 約260件前後 |
| 2024年度 | 350件 |
| 2025年度 | 441件(前年度比約1.3倍) |
業種別では建設業が112件で全体の25.4%を占め、道路貨物運送業(55件)、老人福祉事業(22件)、飲食店(21件)、労働者派遣業(12件)など労働集約型産業がそれぞれ業種別で過去最多を更新しました。
特に注目すべきは、従業員や経営幹部の退職を原因とする「従業員退職型」が118件と年度ベースで初めて100件を超え、4年連続で増加している点です。
帝国データバンクは「求めるスキルを持つ人材の応募が少なく、応募があっても自社より賃金水準の高い他企業へ流出してしまう」という企業の声を紹介しており、賃上げが困難な中小・小規模事業者を中心に倒産がさらに増加する可能性を指摘しています。
参考:人手不足倒産の動向調査(2025年度)|株式会社 帝国データバンク[TDB]
人手不足倒産の事例
実際の事例を知ることで、人手不足倒産が決して他人事ではないことがわかります。
代表的な事例として、三重県桑名市に本社を置くハウスメーカー「株式会社やまぜんホームズ」が2025年8月に破産申請したケースが挙げられます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社やまぜんホームズ |
| 所在地 | 三重県桑名市多度町 |
| 設立 | 2003年6月(創業は1978年) |
| 事業内容 | 戸建住宅の建築販売、飲食事業 |
| 上場 | 2017年「TOKYO PRO Market」上場 |
| ピーク売上 | 約67億7,200万円(2019年7月期) |
| 破産申請 | 2025年8月6日(名古屋地裁) |
| 負債総額 | 約18〜21億円 |
倒産に至った主な要因は、以下の通りです。
- ウッドショックによる住宅部材の価格高騰で、得意としていたローコスト住宅の受注が低迷
- 人員減少による営業力の低下と競合激化により売上高が約20億8,900万円まで激減
- 2024年7月期に約3億9,200万円の赤字を計上し、債務超過に転落
この事例から見えてくるのは、建設業界が直面する以下の「三重苦」が、地域有数の上場企業すら追い込んでいる現実です。
- 資材価格の高騰
- 人件費の上昇
- 慢性的な人手不足
このように、人手不足倒産は規模や知名度に関係なくあらゆる中小企業に迫るリスクであり、決して他人事ではない問題といえます。
人手不足倒産が「嘘だ」と言われる理由
人手不足倒産は「嘘ではないか」「実態は別にある」と批判されることがありますが、こうした指摘にも一定の根拠があるためです。
具体的には、非正規雇用の余剰人材は存在しており、賃金や労働条件を上げれば応募が集まる業界も多いと指摘されています。
- 安価な労働力を求め続ける企業姿勢が問題であり、本質は低賃金労働力不足ではないかという批判
- 給料を上げれば人は集まるはずで、人件費をケチっている企業の言い訳に過ぎないという意見
- 氷河期世代を軽視した採用方針や、即戦力ばかりを求める姿勢が招いた結果という見方
ただし、少子高齢化による絶対的な労働人口の減少は事実であり、いくら賃上げをしても採用が困難な業種も実在します。
つまり「嘘だ」と一括りにはできず、企業側の対応不足と構造的な人口問題の両面から冷静に捉えることが重要です。
人手不足倒産のパターン4つ

人手不足倒産には大きく4つのパターンがあります。
| パターン | 原因 |
|---|---|
| 後継者難型 | 経営者・幹部の高齢化や急病 |
| 求人難型 | 募集をかけても応募が集まらない |
| 従業員退職型 | 中核人材や若手の連鎖退職 |
| 人件費高騰型 | 賃上げ競争に追随できない |
それぞれのパターンを詳しく見ていきましょう。
「後継者難型」事業を引き継ぐ次世代リーダーがいない
後継者難型は、経営者や幹部の引退・急病・逝去により事業を引き継ぐ人材がおらず、廃業や倒産に至るケースです。
その理由は、中小企業の経営者が高齢化しているにもかかわらず、後継者育成や事業承継の準備が後回しになっているためです。
- 社長が突然入院し、経営判断ができる幹部が社内にいない
- 親族内に承継希望者がおらず、外部承継の準備も進んでいない
- 中心的な技術者が引退し、ノウハウ継承ができないまま事業停止
つまり、平時から計画的な後継者育成と事業承継の準備を進めることが、後継者難型倒産を防ぐ唯一の方法です。
「求人難型」募集をかけても求める人材が集まらない
求人難型は、求人を出しても応募が集まらず、必要な人材を確保できないことで事業継続が困難になるパターンです。
労働市場全体で、求人数が求職者数を上回る「売り手市場」が続いており、不人気業種や中小企業ほど応募者を集めにくいからです。
- 求人広告を出しても応募がゼロ、または極端に少ない状態が続いている
- 内定を出してもすぐに辞退され、入社まで至らないケースが増加
- 求めるスキルを持つ人材が他企業の高い賃金水準に流出してしまう
求人難型は人手不足倒産のなかでも特に多く、業界全体のイメージや待遇水準も応募減少の背景にあります。
そのため、求人難型を防ぐには、賃金だけでなく労働環境や採用ブランディングが必要です。
「従業員退職型」中核人材や若手の連鎖退職が止まらない
従業員退職型は、中核となる従業員や若手の連鎖退職が引き金となり、事業継続が困難になるパターンです。
特定の人材に業務が集中する「属人化」が強い企業ほど、一人の退職が全体の業務停止に直結するためです。
帝国データバンクの調査では、2025年の「従業員退職型」倒産は118件と前年から約4割増加し、初めて100件を突破しました。
- 営業のエース社員の退職で売上の柱が失われる
- 若手従業員が立て続けに退職し、現場の運営が回らなくなる
- 業績悪化による給与引き下げで、優秀人材の流出が加速する
退職型は属人化が強い建設業や情報サービス業、医療機械製造などで多く発生する傾向があります。
対策としては、業務の標準化と複数人での業務共有体制の構築、そして従業員の定着率向上への投資が必要です。
参考:人手不足倒産の動向調査(2025年度)|株式会社 帝国データバンク[TDB]
「人件費高騰型」賃上げ競争についていけず経営圧迫
人件費高騰型は、最低賃金引き上げや賃上げ競争に追随できず、収益が圧迫されて倒産に至るパターンです。
これは、大企業による5%超の賃上げが2年連続で続くなか、中小企業も「防衛的賃上げ」を迫られ、利益を確保できない状況に陥っているからです。
- 最低賃金の引き上げで人件費が継続的に上昇する
- 価格転嫁が十分に進まず、売上に対して人件費比率が悪化する
- 人材確保のための賃上げに耐えきれず、資金繰りが行き詰まる
東京商工リサーチの集計によると、2025年の人件費高騰型(賃上げ難型)倒産は152件で前年比43.3%増という急増ぶりです。
つまり、人件費高騰型を防ぐには、生産性向上による一人当たり収益の引き上げと、価格転嫁の交渉力強化が欠かせません。
参考:「賃上げ疲れ」が顕在化、「従業員退職」が1.5倍増 | TSRデータインサイト | 東京商工リサーチ
人手不足倒産が急増している原因

人手不足倒産が急増している背景には、日本社会の構造的な変化と労働市場の変質が複雑に絡み合っています。
それぞれの原因を詳しく解説します。
少子高齢化で人口そのものが減っている
最大の原因は、少子高齢化により働ける人口そのものが減少していることです。
日本の生産年齢人口(15〜64歳)が長期的に減り続けており、企業が求人を出しても応募する母集団そのものが縮小しています。
- 団塊世代の大量退職に対し、若手の入職者が追いつかない
- 建設業では就業者の23.9%が60歳以上で、世代交代の準備期間が短い
- 地方では特に若年人口の都市部流出が加速し、地方企業の採用が困難化
つまり、少子高齢化は個別企業の努力だけでは解決できない構造的な要因であり、これが人手不足倒産の根本にある問題です。
労働市場の変化に対応できていない
労働市場の急速な変化に企業側の対応が追いついていないことも、人手不足倒産を急増させる大きな要因です。
背景には、転職が一般化し、働き方の多様化が進むなかで、従来型の終身雇用や年功序列の人事制度では人材を惹きつけられなくなっているからです。
- リモートワークやフレックスタイムなど柔軟な働き方を求める求職者が増加
- 副業・兼業の解禁により、優秀人材ほど複数のキャリア選択肢を持つ
- 福利厚生や心理的安全性など、賃金以外の要素を重視する傾向の強まり
上記の変化に対応せず、旧来の労働条件のままでいる企業からは、特に若手・中堅層の離職が止まらなくなります。
労働市場の変化を読み取り、自社の制度や環境を継続的に見直すことが、人材定着のための必須条件といえます。
不人気求人への応募が減少
労働環境が厳しいと見なされる業種では、求職者からの応募そのものが減少しています。
求職者がインターネットや口コミで企業情報を簡単に比較できる時代となり、不人気業種への応募が避けられる傾向が強まっているからです。
- 長時間労働や休日が少ない労働条件
- 賃金水準が業界平均や地域平均を下回る
- 重労働や危険を伴う作業が含まれる業務内容
特に外食産業、建設業、運輸業などの労働集約型産業では、この傾向が顕著に表れています。
応募が集まらない場合は採用条件や求人票そのものを見直し、自社の魅力を求職者にしっかり伝える工夫が必要です。
人手不足倒産が多い業種

人手不足倒産は、すべての業種に均等に発生するわけではなく、特定の業種に集中する傾向があります。
帝国データバンクの2025年度調査によると、業種別の人手不足倒産件数は以下の通りです。
| 業種 | 2025年度の件数 |
|---|---|
| 建設業 | 112件(全体の25.4%) |
| 道路貨物運送業(物流) | 55件 |
| 老人福祉事業(介護) | 22件 |
| 飲食店 | 21件 |
| 労働者派遣業 | 12件 |
特に多い4業種について、詳しく見ていきましょう。
参考:人手不足倒産の動向調査(2025年度)|株式会社 帝国データバンク[TDB]
外食産業
外食産業は、人手不足倒産が多発している代表的な業種の一つです。
賃金水準が他業種に比べて低く、長時間労働や深夜営業など労働環境が厳しいため、人材の定着が極めて困難だからです。
- アルバイト・パート依存の人員構成で、欠勤一つで店舗運営に影響
- 朝早くから夜遅くまでのシフトで、若手の早期離職が常態化
- コロナ禍を経て一度離れた人材が他業種に流出し戻ってこない
2025年度には飲食店の人手不足倒産が21件発生し、過去最多を更新しています。
外食産業では、メニューの絞り込みや無人決済システムの導入など、少人数で運営できる店舗モデルへの転換が急務といえます。
介護事業
深刻な人手不足倒産が急増している業種として介護事業も注目されています。
高齢化で需要は拡大する一方、介護報酬の制約により賃上げ原資が確保しにくく、職員の確保が極めて困難になっているからです。
- 身体的・精神的負担が大きく、若手職員の離職率が高い
- 賃金水準が全産業平均より低く、他業界へ人材が流出
- 24時間体制の施設では、夜勤対応者の確保が特に困難
利用者の人数に対する職員配置基準があるため、配置基準を下回ると事業継続そのものができなくなる点が深刻です。
介護事業では、ICTやセンサー類による業務効率化と、外国人介護人材の積極活用が解決策として注目されています。
物流業界
物流業界、特に道路貨物運送業は、人手不足倒産が急増している業種です。
その背景には、2024年4月から適用された時間外労働の上限規制、いわゆる「物流2024年問題」があります。
物流2024年問題とは、2024年4月からトラックドライバーに「時間外労働の年間960時間上限」が適用されたことで生じる、物流業界の構造的な問題のことです。
2025年度の道路貨物運送業の人手不足倒産は55件で全体の12.5%を占め、業種別で建設業に次ぐ多さです。
- ドライバーの高齢化が進み、平均年齢が他業種より高い
- EC需要の拡大で配送量は増加しているのに、運べる時間が短縮された
- 燃料価格の高騰で経営余力が削られ、賃上げ原資の確保が困難
- 若年層のトラックドライバー志望者が長年にわたり減少傾向にある
物流業界では、共同配送や運賃の適正化、自動運転技術の導入など、業界全体での取り組みが不可欠となっています。
参考:人手不足倒産の動向調査(2025年度)|株式会社 帝国データバンク[TDB]
建設業
建設業は、人手不足倒産が業種別でもっとも多い業種であり、2025年に初めて100件の大台を超えました。
現場作業員の高齢化、若年入職者の減少、2024年問題による労働時間規制が同時進行しているためです。
帝国データバンクの調査では、建設業は全業種のなかで人手不足を感じている企業の割合がもっとも高い業種です。
- 60歳以上の就業者が23.9%を占め、技能継承が間に合わない
- 重労働で屋外作業のため、若手の確保が極めて困難
- 資格を要する技能者の退職が、受注継続を不可能にする
- 資材高騰と人件費上昇のダブルパンチで収益が圧迫される
建設業では、ICT施工や省人化機械の導入、社会保険完備など待遇改善の同時推進が、生き残りの条件といえます。
人手不足倒産を防ぐ5つの対策

人手不足倒産は適切な対策を講じることで防ぐことが可能です。
ここからは、自社で今すぐ取り組める5つの具体的な対策方法を解説します。
従業員が働きやすい環境を構築する
最優先で取り組むべき対策は、現在働いている従業員が定着しやすい環境を整備することです。
新たに採用するコストよりも、既存社員の離職を防ぐコストの方がはるかに低く、効果も即効性があるからです。
- 残業時間の上限設定とノー残業デーの導入
- 有給休暇の取得促進と取得率の見える化
- 評価制度の透明化と公正な賃金体系の構築
- 福利厚生の充実
- 上司との定期面談やメンター制度の導入
これらにより従業員のエンゲージメントが向上し、離職率の低下と採用ブランド向上の両面で効果が期待できます。
アウトソーシングを活用する
社内ですべての業務を抱え込まず、アウトソーシング(業務委託)を活用することも有効な対策です。
なぜなら、ノンコア業務を外部に委託することで、社内人材を本来注力すべきコア業務に集中させられるためです。
中小企業庁の調査でも、人材不足だが増益の企業ほどアウトソーシングを活用している割合が高いことが示されています。
- 経理・給与計算・労務管理などのバックオフィス業務
- カスタマーサポートやコールセンター業務
- 採用代行(RPO)や求人票作成などの人事関連業務
- ITシステムの運用保守やWebサイト管理
- マーケティングや広報業務の一部
アウトソーシングは、必要なときだけ費用が発生する形にできるので、コスト管理がしやすくなる利点もあり、繁忙期だけ依頼するなど柔軟な活用が可能です。
採用活動の質を高めてミスマッチを減らす
採用活動の質を高め、入社後のミスマッチを減らすことも重要な対策です。
せっかく採用した人材が早期離職してしまうと、採用コストが無駄になるだけでなく、現場の負担増加と既存社員のモチベーション低下を招くからです。
- 求人票に仕事内容・給与・労働時間・休日を正直かつ詳細に記載する
- 面接で自社の課題や弱点も率直に伝え、入社後のギャップを防ぐ
- 求職者のスキルだけでなく、企業文化との適合性も評価する
- 内定後のフォロー(懇親会や事前研修)で内定辞退を防ぐ
- SNSや採用ホームページで職場の雰囲気を可視化する
採用チャネルもハローワークや求人サイトだけでなく、リファラル採用やSNS採用など多角的に展開することが効果的です。
採用の量より質を重視する姿勢が、結果的に定着率と生産性の向上につながります。
外国人労働者を活用する
国内だけでは人材確保が難しい場合、外国人労働者の活用は有効な選択肢です。
日本の少子高齢化が進むなか、政府も特定技能制度を拡充し、外国人材の受け入れ枠を継続的に広げているためです。
特定技能制度では以下の16分野で外国人労働者を受け入れることが可能です。
- 介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業
- 自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業
- 飲食料品製造業、外食業、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業
2027年からは技能実習に代わり「育成就労」制度が創設される予定で、外国人材の活躍の場はさらに広がる見通しです。
ただし、受け入れには労務管理体制の整備、生活支援、日本語教育の支援が必要となるため、登録支援機関との連携も検討しましょう。
参考:外国人雇用対策 Employment Policy for Foreign Workers |厚生労働省
業務のIT化・DX化で省人化を進める
IT化・DX化による省人化は、根本的な人手不足解消につながる施策の一つです。
人材を増やすことが困難な時代において、一人当たりの生産性を高めることが企業存続の必須条件だからです。
- 経理・給与・勤怠管理のクラウドツール(マネーフォワード、freeeなど)
- AIチャットボットによる問い合わせ対応の自動化
- RPAによる定型的な事務作業の自動化
- ビジネスチャットツールによる社内コミュニケーション効率化
- 無人決済システムやセルフレジによる店舗運営の省人化
経済産業省や中小企業庁も、IT導入補助金や業務改善助成金などDX推進を支援する制度を充実させています。
人手不足倒産の前兆サイン
人手不足倒産は突然発生するわけではなく、必ず事前にいくつかの兆候が現れます。
これらのサインを早期に察知し対応することで、倒産リスクを大幅に下げることが可能です。
- 離職率が前年比で大幅に上昇し、特に若手・中堅の退職が連続している
- 求人広告を出しても応募がほとんどなく、内定辞退も増えている
- 既存社員の残業時間が継続的に増加し、疲弊感が漂っている
- 納期遅延や品質不良によるクレームが目立って増えている
- 受注はあるのに、人手不足で断らざるを得ないケースが増加している
- 給与の遅配や賞与の減額・カットが発生している
- 特定の「キーマン」に業務が極端に集中している
- 経営者が後継者育成や事業承継の話題を避け続けている
上記のサインが2つ以上同時に出ている場合は、人手不足倒産のリスクが現実化しつつある可能性が高い状況です。
サインに気づいたら先延ばしせず、本記事で紹介した対策を講じることが、自社と従業員を守る唯一の方法といえます。
人手不足倒産に関するよくある質問
以下では、人手不足倒産について多く寄せられる疑問にお答えしていきます。
人手不足は誰の責任ですか?
人手不足の責任は、経営者・社会構造・労働市場の三者にまたがる複合的な問題です。
- 経営者側:労働環境改善や賃上げ、人材育成への投資不足
- 社会側:少子高齢化による絶対的な労働人口の減少
- 政策側:氷河期世代支援の遅れ、賃金引上げ策の不足
つまり「誰か一人のせい」とは言い切れないため、各企業は自社で改善できる部分から取り組むことが重要です。
人手不足による倒産は今後どうなりますか?
人手不足倒産は今後も高水準で推移する可能性が高いと予測されています。
なぜなら、少子高齢化による労働人口の減少は止められず、大企業による賃上げペースに中小企業が追随することは構造的に困難だからです。
帝国データバンクは「賃上げ難型」の人手不足倒産が今後さらに増加する可能性を指摘しています。
参考:
人手不足倒産が特に多い業界はどこですか?
人手不足倒産が特に多い業界は、建設業、運輸業(物流)、サービス業(介護・飲食)です。
- 1位:建設業(112件、全体の25.4%)
- 2位:道路貨物運送業(55件)
- 3位:老人福祉事業(22件)
- 4位:飲食店(21件)
- 5位:労働者派遣業(12件)
上記の業種では、ICT活用や外国人材活用、業務効率化を組み合わせた対策が急務となっています。
人手不足倒産が「自業自得」「ざまあみろ」と批判される理由は?
人手不足倒産に「自業自得」「ざまあみろ」という批判が向けられるのは、労働者を軽視してきた企業姿勢への社会的な反発が背景にあります。
長時間労働や低賃金、ハラスメントを放置してきた企業が倒産することに対し、「労働者を大切にしなかった当然の報い」と感じる人々が一定数いるためです。
ただし、すべての倒産企業が悪質だったわけではなく、構造的な要因で苦しんだ事業者も多く存在します。
後継者問題・事業承継は日本プロ経営者協会にご相談ください
人手不足倒産の急増が続くなか、後継者不在や経営幹部の退職による事業承継の課題に頭を悩ませている経営者の方は多いのではないでしょうか。
日本プロ経営者協会は、国内最大級のプロ経営者ネットワークを活用して、中小企業の事業承継課題解決に豊富な実績を持つ組織です。
人手不足倒産の主要因である「後継者難型」や「従業員退職型」に直面する企業に対し、経験豊富なプロ経営者が経営の立て直しから事業承継まで、幅広いソリューションを提供いたします。
人手不足や後継者問題、事業承継でお悩みの方は、ぜひ一度日本プロ経営者協会までご相談ください。

| 日本プロ経営者協会の概要 | |
|---|---|
| 名称 | 一般社団法人日本プロ経営者協会 |
| 設立日 | 2019年7月 |
| 活動内容 | プロ経営者によるセミナーの開催 企業への経営者の紹介 経営者に関する調査・研究 書籍の出版 |
| 代表理事 | 堀江 大介 |
| 所在地 | 東京都千代田区丸の内1-6-2 新丸の内センタービルディング21階 |
| URL | https://www.proceo.jp/ |
まとめ
人手不足倒産は、必要な従業員を確保できないことで事業継続が困難になる経営リスクであり、業績の良し悪しに関わらずあらゆる企業に発生する可能性があります。
帝国データバンクの調査では2025年度に441件と3年連続で過去最多を更新しており、特に建設業や物流業、介護業などの労働集約型産業で深刻化が進んでいる状況です。
今回紹介した「4つのパターン」「急増の原因」「業種別の傾向」「5つの対策」「前兆サイン」を押さえ、自社の状況を見つめ直すことで、人手不足倒産の対策につなげましょう。
働きやすい環境づくり、アウトソーシングの活用、IT化・DX化による省人化など、できることから一つずつ着実に取り組むことが大切です。
