「クリニックの事業承継はどのように進めるべき?」
「引き継ぎの際によくあるトラブルとは?」
近年、医療業界では院長の高齢化が進む一方で、親族内に適任者がいないなどの理由から、第三者への譲渡(M&A)を検討するケースが増加しています。
しかし、クリニックの承継は一般的な企業と異なり、医療法などの厳しい法規制や、条件のミスマッチから失敗に終わるリスクも少なくありません。
さらに、個人開設か医療法人かによって、必要な公的手続きや税金面での扱いが大きく異なる点に注意が必要です。
今回は、「クリニックが事業承継で失敗しやすい理由」や「開設形態による手続きの違い」、「起こりがちなトラブルと対策」について詳しく解説していきます。
大切な患者さんやスタッフを守り、円滑に医院を引き継ぎたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
監修者

日本プロ経営者協会 会長
小野 俊法
経歴
慶應義塾大学 経済学部 卒業
一兆円以上を運用する不動産ファンド運用会社にて1人で約400億円程度の運用を担い独立、海外にてファンドマネジメント・セキュリティプリンティング会社を設立(後に2社売却)。
その後M&Aアドバイザリー業務経験を経てバイアウトファンドであるACAに入社。
その後スピンアウトした会社含めファンドでの中小企業投資及び個人の中小企業投資延べ16年程度を経てマラトンキャピタルパートナーズ㈱を設立、中小企業の事業承継に係る投資を行っている。
投資の現場経験やM&Aアドバイザー経営者との関わりの中で、プロ経営者を輩出する仕組みの必要性を感じ、当協会設立に至る。
クリニック・医院における事業承継の現状
クリニックや医院の事業承継について、不安を感じている方が増えています。
院長の高齢化に対し、後を継ぐ人が見つからない状況が多くなっているためです。
親族へ引き継ぐ方法が以前は一般的でしたが、最近は親族が承継を望まなかったり、適任者がいなかったりすることがよくあります。
第三者への譲渡(M&A)が選ばれる例も増加していますが、費用、スタッフとの調整、引き継いだ後の経営に不安を抱える声が多いです。
実際に、2024年の調査ではクリニックや医院のうち半数以上が後継者不在のまま運営されています。
そのため、まずは早めに事業承継の準備を始め、専門家に相談することが重要です。
参考:全国「後継者不在率」動向調査(2024年)|株式会社 帝国データバンク[TDB]
クリニック・医院開設者の高齢化と後継者不足

医療業界では、クリニックを経営する院長の高齢化と、引き継ぎ先が見つからない問題が深刻な状況に陥っています。
その背景には、医師である子どもが家業を継がないケースや、そもそも子どもがいないケースが増加している事情があります。
実際に、厚生労働省の統計(e-Stat)を見ても、開設者である医師の平均年齢は年々上昇し続けています。
2000年時点では「62歳」だった医師の平均年齢が、2022年には「64.9歳」にまで達していることがグラフからも分かります。
同様に、歯科医師や薬剤師の世界でも経営トップの高齢化傾向は顕著に表れています。
現場の課題として、以下のような点が挙げられます。
- 経営者の多くが引退を考える60代後半に達している
- 勤務医としての安定したキャリアを望む若手医師が増加している
- 経営者と子どもの専門診療科目が異なるため、親子間での引き継ぎが難しい
このように、身内に後継者を求める昔ながらの手法だけでは、クリニックを存続させることが困難になっているといえます。
コロナ禍による経営悪化が医院承継を停滞させた
新型コロナウイルスの感染拡大は、多くのクリニックの経営に深刻な打撃を与え、承継の動きを鈍化させました。
感染リスクを恐れた患者の受診控えが発生し、収益が大幅に減少した施設が続出したからです。
実際に、以下のような経営上の困難が生じました。
- 感染対策のための想定外の設備投資が必要になった
- スタッフの確保や人件費の負担が増加した
- 収益悪化により、買い手企業が買収に慎重になった
結果として、経営を立て直すことが優先され、事業承継の計画を先送りせざるを得ない医療機関が増加したと考えられます。
参考:2025年度 病院経営定期調査概要版ー結果報告(集計結果)|一般社団法人日本病院会
クリニック・医院の事業承継が失敗しやすい理由

クリニックの事業承継は、一般的な企業と比べて失敗に終わるリスクが高い傾向にあります。
医療業界特有の専門性や、法的な制約が複雑に絡み合っているためです。
ここからは、引き継ぎがうまくいかない原因について詳しく解説していきます。
後継者候補が見つけにくい
承継先となる医師を見つけることは、想像以上に困難な作業となります。
買い手となる医師にも、自身の専門分野や希望する働き方といった明確な条件があるからです。
たとえば、後継者探しにおいて以下のようなミスマッチが頻発します。
- 売り手のクリニックと買い手候補の専門科目が一致しない
- 地方や郊外の物件に対して、都市部での開業を望む医師が多い
- 求められる地域医療の役割と、若い医師の目指す医療方針が異なる
こうした条件の不一致が重なることで、長期間にわたって引き継ぎ先が見つからず、最終的に廃業を選んでしまうケースが後を絶ちません。
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承継方法が限られるため
医療機関の引き継ぎは、一般的な株式会社のM&Aのように単純には進みません。
医療法などの厳しい法規制が存在し、利用できる譲渡のスキームが限定されているからです。
医療機関はその形態が特殊であり、法律の枠組みの中で許された一部の手順しか選ぶことができません。
| 経営の形態 | 主な承継手法の制限 | 買い手側のハードル |
| 個人のクリニック | 既存の院長が一度廃業し、新しい院長が新規開業する形をとる | 原則として個人の医師資格が必要となり、法人は買い手になれない |
|---|---|---|
| 医療法人 | 前理事長が退任し、新理事長が就任して出資持分を買い取る | 株式会社への売却ができず、医療法人同士や医師個人などに限定される |
このように、独自のルールや制限が多数存在するため、専門知識がないまま進めると手続きが頓挫してしまう恐れがあります。
設備の老朽化・追加投資負担が大きい
建物や医療機器の老朽化は、承継交渉において大きな障壁となります。
買い手側にとって、引き継いだ直後に高額な修繕費や機器の買い替え費用が発生することは、経営上の大きなリスクとなるためです。
具体的な問題点として、次のような事態が想定されます。
- カルテが電子化されておらず、システム導入に数百万円のコストがかかる
- 建物が古く、バリアフリー化や耐震補強の工事が必要になる
- 既存の医療機器が旧型で、最新の診療ニーズに対応できない
初期投資の負担が重すぎると判断された場合、どれほど立地が良くても買い手から敬遠されてしまう傾向にあります。
クリニック・医院の開設形態によって異なる事項

クリニックを引き継ぐ際の手続きや税金は、開設している形態によって大きく変化します。
個人が経営しているのか、それとも医療法人が経営しているのかで、適用される法律やルールが全く異なるからです。
それぞれの形態における違いを、項目ごとに解説していきます。
個人開設と医療法人開設で譲渡スキームが異なる
個人クリニックと医療法人では、そもそも事業を譲渡する枠組みが根本的に違います。
個人は事業そのものを売買するのに対し、法人は経営権(出資持分や役員の地位)を移行させる形をとるためです。
両者の譲渡スキームの特徴は以下のようになっています。
- 個人開設:土地、建物、医療機器などの資産を個別に売買・賃貸する「事業譲渡」方式をとる
- 医療法人開設:旧理事長の退社と新理事長の入社を行い、出資持分を買い取る方式が一般的である
それぞれの枠組みを正しく理解していないと、後々のトラブルや予期せぬ税金の発生につながるため注意が必要です。
承継時に行う公的手続き
事業を引き継ぐ際に保健所や厚生局へ提出する書類も、開設形態によって大きな差があります。
個人クリニックの場合は「新規開業」と同じ扱いになるのに対し、医療法人は「役員変更」などの手続きで済む場合が多いからです。
必要な公的手続きの例を以下にまとめます。
- 個人開設の場合:前院長が「廃止届」を出し、新院長が新たに「開設届」を提出し直す必要がある
- 医療法人開設の場合:定款変更の認可申請や、理事長変更の登記手続きなどが中心となる
特に個人の場合は、一度クリニックを法的に閉める形になるため、行政手続きのスケジュール管理が極めて重要といえます。
個人開設の医院の場合「保険医療機関コード変更」が必要
個人のクリニックを引き継ぐ際、保険診療を行うための「保険医療機関コード」は原則として新しく取得し直すことになります。
個人開設における承継は、法的には前院長の廃業と新院長の新規開業とみなされるためです。
コードが変わることで、次のような影響が発生します。
- 各種公費負担医療の指定医療機関の申請をやり直す手間がかかる
- 施設基準の届け出を再度行わないと、特定の診療報酬が算定できなくなる
- 処方箋を受け取る近隣の調剤薬局にも、コード変更の周知が必要になる
ただし、親子間の引き継ぎなど一定の条件を満たせば、例外的に古いコードを引き継げる特例措置が認められるケースもあります。
診療報酬請求の取り扱い
承継を行った月の診療報酬(レセプト)の請求事務は、非常に煩雑になりやすいポイントです。
引き継ぎのタイミング前後で、請求の主体が旧院長から新院長へと切り替わるためです。
実務上では、以下のような対応が求められます。
- 月の途中で承継した場合、その月のレセプトは旧院長と新院長で期間を分けて別々に請求する
- 診療報酬が振り込まれる銀行口座の変更手続きを漏れなく行う
- レセプトコンピューターの設定を新しい医療機関コードや新院長名に変更する
この切り替え作業にミスがあると、数ヶ月にわたって保険診療収入が入金されず、深刻な資金繰りの悪化を招く危険性があります。
資金の調達方法が異なる
クリニックを買い取るための資金調達ルートも、個人と法人で違いが生じます。
個人間の売買と、法人組織を活用した資金移動とでは、金融機関の融資審査の対象が変わるからです。
それぞれの資金調達の傾向は以下の通りです。
- 個人開設の場合:買い手である後継者個人が、金融機関から多額の開業資金の融資を受ける形になる
- 医療法人開設の場合:法人の信用力を背景に法人が借り入れるか、出資持分を買い取るために個人で融資を受ける
個人の場合は後継者自身の信用情報や担保評価が厳しく問われるため、事前の綿密な事業計画書の作成が欠かせません。
承継時の税務上の取り扱いが異なる
引き継ぎに伴って発生する税金の種類や計算方法も、開設形態によって全く異なります。
譲渡の対象が「個別の資産」なのか「法人の出資持分」なのかによって、適用される税法が分かれるためです。
主な税金の違いは以下です。
| 項目 | 個人開設の場合 | 医療法人開設の場合 |
| 資産の売却益に対する税金 | 所得税(譲渡所得・事業所得など) | 法人税(法人が資産を売却した場合) |
|---|---|---|
| のれん(営業権)の扱い | 売却益に対して所得税が課され、消費税の対象にもなる | 出資持分の譲渡益に対して所得税(申告分離課税)が課される |
特に個人の場合、営業権に対する消費税が高額になるケースが多いため、税理士を交えた事前のシミュレーションが不可欠といえます。
クリニック・医院における事業承継の流れと手続き
クリニック・医院の事業承継には、親族内承継と第三者承継(M&A)の2つの方法があります。
いずれを選ぶ場合でも、税務・法務・行政手続きなど多岐にわたる準備が必要であり、早期から計画的に進めることが欠かせません。
大切な患者さんやスタッフを守りながら円滑に引き継ぐためにも、具体的な流れと手続きを正しく理解しておくことが重要です。
親族内承継
親族へのクリニック承継を成功させるためには、早期の意思確認と長期的な計画立案が何よりも重要です。
身内という安心感から「いつでも話し合える」と油断してしまい、税金対策や法的な準備が間に合わなくなるリスクが高いためです。
親子間であっても、経営方針や将来の展望については早い段階で言葉にして共有しておく必要があります。
親族内承継の手順
| 準備の段階 | 取り組むべき主な内容 | 手続きのポイント |
| 承継の3〜5年前 | 後継者の意思確認と現状把握 | クリニックの財務状況を包み隠さず共有します |
|---|---|---|
| 承継の1〜3年前 | 副院長就任と資産移転の開始 | 贈与税を抑えるための長期的な対策を練ります |
| 承継の半年前 | 行政への事前相談と届け出準備 | 保健所や厚生局への提出書類を早めに整理します |
たとえば、数年前から後継者を副院長として迎え入れることで、現場のスタッフや患者さんとの信頼関係を徐々に構築できます。
これにより、実際の代替わりが発生した際の急激な変化による混乱を最小限に抑えることが可能になります。
第三者承継(M&A)
親族に後継者がいない場合でも、第三者への譲渡(M&A)を選択することで、大切なクリニックを次世代へ引き継ぐことが可能です。
仲介会社を介することで、自身の希望に沿った医師や法人を広く募集し、最適なマッチングを実現できるからです。
第三者承継を選択すれば、廃業という選択を避けることができ、長年通ってくれた患者さんや共に歩んだスタッフの雇用を守ることにつながります。
第三者承継(M&A)の手順
| ステップ | 内容 | ポイント |
| 1. 準備・選定 | 仲介会社への相談と募集開始 | 譲渡額や時期などの希望条件を整理します。 |
|---|---|---|
| 2. マッチング | 候補者との面談と条件交渉 | 診療方針が自分と合う相手かを見極めることが重要です。 |
| 3. 契約・承継 | 最終契約の締結と引き継ぎ | 各種行政への届け出を行い、無事に完了となります。 |
たとえば、急な体調不良などで経営が困難になった際、あらかじめ候補者との交渉が進んでいれば、地域医療に穴を空けることなくスムーズにバトンタッチができます。
また、譲渡によって得られた資金を自身の引退後の生活費に充てることができる点も、経営者にとって大きな安心材料となります。
クリニック・医院の事業承継で起こりがちなトラブル

入念な準備をしていても、いざ引き継ぎが完了した後に思わぬトラブルに直面することがあります。
医療という人と人との信頼関係で成り立つ事業の性質上、些細な変化が経営に大きな影響を及ぼすためです。
あらかじめ起こりやすいトラブルを把握し、対策を講じておくことが重要になります。
引き継ぎ後に患者数が減少する
院長が交代した直後、長年通っていた患者が突然来院しなくなってしまうケースは少なくありません。
地域医療においては、「クリニックの看板」以上に「前の先生の人柄」を信頼して通院していた患者が多いからです。
患者離れを防ぐためには、以下のような対策が効果的です。
- 承継の数ヶ月前から新旧の院長が一緒に診療を行い、患者に直接紹介する期間を設ける
- 挨拶状や院内掲示を工夫し、これまでの診療方針が引き継がれることを丁寧に説明する
- 新院長が積極的に患者とのコミュニケーションを取り、不安を払拭するよう努める
いきなり何もかも変えてしまうのではなく、時間をかけて少しずつ丁寧に引き継ぎを進めることが、患者さんの不安を和らげ、安心感を与えることにつながります。
親子での承継で経営方針が対立する
身内での引き継ぎにおいて最も多い悩みが、前院長と後継者との間での意見の対立です。
長年の経験を重んじる親世代と、最新の医療知識や効率化を導入したい子世代とでは、理想とするクリニック像が大きく異なるためです。
具体的には、次のような場面で衝突が起こりがちです。
- 電子カルテや新しい医療機器を導入するための費用対効果に対する見解の違い
- スタッフの評価制度や、休日・労働時間の見直しに関する方針のズレ
- 前院長が引退後も口を出し続け、新院長に実質的な権限が移行しない状態
こうした対立を避けるには、あらかじめ明確な引退時期を取り決め、権限の委譲を段階的かつ計画的に進めるルール作りが欠かせません。
スタッフが退職し診療体制が不安定になる
院長の交代を機に、長年勤めていた看護師や受付スタッフが一斉に辞めてしまうというトラブルも後を絶ちません。
経営者が変わることへの漠然とした不安や、新しい院長との相性の悪さ、労働条件の変更に対する不満が表面化しやすいためです。
スタッフの離職を防ぐためには、以下のポイントに配慮する必要があります。
- 引き継ぎが決定した段階で、なるべく早くスタッフに真摯な説明を行う
- 給与や待遇、有給休暇の取得ルールなどを一方的に不利益に変更しない
- 新院長がスタッフ一人ひとりとの個人面談を実施し、これまでの功労に敬意を払う
医療機関において優秀なスタッフは貴重な財産であるため、その雇用を維持することが承継後の安定経営の要となります。
クリニックの承継はコンサルタントに依頼するのが無難
クリニックの引き継ぎは専門のコンサルタントに依頼するのがおすすめです。
その理由は、医療法に基づく細かいルールや行政への届け出など、素人には対応が難しい専門的な壁が多数存在するからです。
日々の診療を続けながら、自分だけで希望に合う相手を探し、直接交渉まで行うのは大きな負担となります。
コンサルタントへ依頼するメリットは以下の通りとなります。
- 全国のネットワークを活用し、希望条件に合致した後継者を提案してくれる
- 適正な譲渡価格の算定や、直接は言いにくい条件交渉を第三者の目線で行うことが可能
- 現在のスタッフの雇用維持や、患者さんの引き継ぎに関する計画のサポートをしてもらえる
- 保健所などへの専門的な書類作成や手続きの漏れを防ぐことにつながる
このように、専門家の力を借りることで、当事者同士のトラブルを未然に防ぐことができます。
クリニックの事業承継に関するよくある質問
最後に、クリニックの事業承継に関する疑問、よくある質問に回答します。
- クリニックの承継開業とは何ですか?
- クリニック・医院承継の案件はどこで探せますか?
- クリニックを承継物件で開業するメリットは?
- 医院承継の相場は?
- 管理医師になるための要件はありますか?
クリニックの承継開業とは何ですか?
承継開業とは、すでに営業している既存のクリニックを前院長から譲り受け、そのままの場所と設備で新たに開業する手法のことです。
- 既存の医療機器や内装をそのまま活用できる
- 前院長が診ていた患者を引き継ぐことができるため、開業初日から一定の収入が見込める
- 働いているスタッフの雇用を継続できるケースが多い
初期費用を抑えて独立できるため、近年若手医師から非常に高い人気を集めている開業スタイルとなっています。
クリニック・医院承継の案件はどこで探せますか?
引き継ぎ先を探すための情報は、複数のルートから収集することが可能です。
- 医療分野に特化したM&A仲介会社やコンサルティング会社
- 各都道府県の医師会が運営している「医業承継バンク」などの支援窓口
- 取引のある地方銀行などの金融機関や、医薬品の卸売業者
特にM&A仲介会社は非公開の優良案件を多数保有しているため、本気で承継を検討する場合は早い段階で登録しておくことを推奨します。
クリニックを承継物件で開業するメリットは?
承継物件での開業は、新規開業に伴う数多くのリスクを劇的に引き下げられるというメリットがあります。
| 比較項目 | 新規開業 | 承継開業 |
| 初期投資額 | 数千万円〜1億円以上かかる | 設備の引き継ぎにより大幅に抑えられる |
|---|---|---|
| 患者の獲得 | ゼロからの認知活動が必要 | 既存のカルテと患者を引き継げる |
| 収益化のスピード | 黒字化までに時間がかかる | 開業当初から安定した収益が期待できる |
このように、経営をいち早く軌道に乗せやすいという点が、買い手側にとって最大の魅力であるといえます。
医院承継の相場は?
クリニックの譲渡価格は、決まった定価が存在せず、施設の状況によって数千万円から数億円まで大きく変動します。
一般的に用いられる価格決定の目安は以下のようになっています。
- 譲渡価格 = 実質的な営業利益の2〜3年分(のれん代) + 医療機器や内装などの時価評価額
- 最新の高額医療機器がある場合や、都心の好立地にある場合は価格が跳ね上がる
- 逆に、設備が古く赤字が続いている場合は、無償譲渡に近い形になることもある
適正な価格を見極めるためには、専門家による厳密な財務デューデリジェンス(資産査定)を受けることが必要不可欠です。
管理医師になるための要件はありますか?
クリニックを承継して院長(管理者)となるためには、医療法で定められた一定の要件を満たす必要があります。
- 日本の医師免許(または歯科医師免許)を保有していること
- 臨床研修修了登録証の交付を受けていること(平成16年以降に免許を取得した場合)
- 過去に医療法違反などで不適切な処分を受けていないこと
上記を満たしていない場合、いかに資金を用意できても保健所の開設許可が下りないため、事前の資格確認は絶対に行わなければなりません。
後継者問題・事業承継は日本プロ経営者協会にご相談ください
クリニック・医院の事業承継でお悩みの医師の皆様、後継者不足による将来の不安を感じておられませんか?
日本プロ経営者協会は、国内最大級のプロ経営者ネットワークを活用して、中小企業の事業承継課題解決に豊富な実績を持つ組織です。
医療業界の特殊性を深く理解した経験豊富なプロ経営者が、クリニック・医院の事業承継から経営統合まで、幅広いソリューションを提供いたします。
親族内承継から第三者承継(M&A)まで、あらゆる承継パターンに対応し、医療法に基づく複雑な手続きや行政対応、承継後の経営方針策定まで一貫してサポートいたします。
事業承継や後継者問題でお悩みの方は、ぜひ一度日本プロ経営者協会までご相談ください。

| 日本プロ経営者協会の概要 | |
|---|---|
| 名称 | 一般社団法人日本プロ経営者協会 |
| 設立日 | 2019年7月 |
| 活動内容 | プロ経営者によるセミナーの開催 企業への経営者の紹介 経営者に関する調査・研究 書籍の出版 |
| 代表理事 | 堀江 大介 |
| 所在地 | 東京都千代田区丸の内1-6-2 新丸の内センタービルディング21階 |
| URL | https://www.proceo.jp/ |
まとめ
クリニックや医院の事業承継を成功させるためには、個人開設と医療法人による制度の違いを正しく理解し、医療業界特有の複雑な手続きや起こりがちなトラブルを事前に把握しておくことが大切です。
今回解説した承継の流れや注意点を参考にしながら、早い段階で後継者探しや税務・法務の準備を進め、必要に応じて専門のコンサルタントへ相談して円滑な引き継ぎを目指しましょう。


