破産申請とは、借金や債務の返済が困難になった個人や法人が、裁判所に破産手続きの開始を申し立てることです。
裁判所によって破産手続きが開始されると、原則として保有する財産を換価・処分し、債権者への配当に充てる手続きが進められます。
個人の場合は、破産手続きとあわせて免責が認められることで、一定の債務について支払い義務が免除される可能性があります。
また、申立てには裁判所へ納める費用や弁護士費用などが必要です。
本記事では、破産申請とはどのような手続きなのかをはじめ、申請から手続き終了までの流れ、必要な費用、メリット・デメリットについてわかりやすく解説します。
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破産申請とは?
破産申請は、返済が難しくなった会社や個人が、法律に基づいて借金や債務を整理し、再スタートを図るための手続きです。
返済のあてがなくなった状態を放置しても状況は悪化するため、あらためて生活や経営を立て直す道が法律で用意されています。
申立ては、債務者自身が行う「自己破産」のほか、返済を受けられない債権者の側から行われるケースもあるのです。
手続きが始まると、裁判所や破産管財人が関与し、財産を公平に清算しながら進めていきます。
ここからは、その定義と判定基準、法人・個人での違いを順に押さえていきます。
破産申請の定義と支払不能・債務超過の判定基準
破産申請とは、借金の返済ができなくなった債務者が、裁判所に対して破産手続の開始を求めて申し立てることを指します。
申立てが認められるには、「支払不能」または「債務超過」という開始原因が必要になります。
支払不能とは、支払能力を欠くために、弁済期にある債務を一般的・継続的に返済できない状態を言います(破産法2条11項)。
債務超過とは、負債の総額が資産の総額を上回っている状態で、法人のみに認められる開始原因です(破産法16条1項)。
| 開始原因 | 内容 | 対象 |
|---|---|---|
| 支払不能 | 弁済期の債務を継続的に払えない状態 | 個人・法人 |
| 債務超過 | 負債が資産を上回る状態 | 法人のみ |
つまり、返済の見込みが客観的に立たなくなった時点が、破産申請を検討する一つの目安になります。
法人破産と個人の自己破産の違い
法人破産と個人の自己破産は、どちらも借金がなくなる点では同じですが、「免責の有無」に大きな違いがあります。
法人は破産すると法人格そのものが消滅し、債務が帰属する主体がなくなるため、免責という手続きを経るまでもなく債務が消滅するからです。
一方で個人の自己破産では、裁判所の免責許可決定を受けて初めて借金の返済義務が免除されます。
たとえば会社が破産すると、税金を含めた負債はすべて消滅しますが、個人の場合は税金など一部の債務が免責の対象から外れて残ります。
| 項目 | 法人破産 | 個人の自己破産 |
|---|---|---|
| 免責手続き | 不要(法人格消滅で債務消滅) | 必要(免責許可決定が必要) |
| 手続きの種類 | ほぼ管財事件 | 同時廃止または管財事件 |
| 破産後 | 会社は消滅 | 生活を継続 |
なお、代表者が会社の連帯保証人になっている場合、法人破産と同時に代表者個人の自己破産が必要になるケースが多い点も理解しておきましょう。

破産申請の流れと手続き

破産申請は、弁護士への相談から始まり、裁判所への申立て、破産管財人による換価・配当を経て終結します。
ここでは、必要書類の準備から手続き完了までの流れを、順を追って解説します。
破産申請の必要書類と事前に整理すべき情報
破産申請を進めるには、会社の財産状況や負債を裏付ける書類の準備が不可欠です。
書類が不十分だと申立てが受理されなかったり、手続きが遅れたりする可能性があるためです。
まずは過去数年分の決算書や法人税の申告書、債権者一覧表など、基本的な資料から確認していきましょう。
- 破産手続開始申立書、取締役会議事録または同意書
- 債権者一覧表、労働債権者一覧表、財産目録
- 法人登記の全部事項証明書(1か月以内のもの)
- 決算書(貸借対照表・損益計算書、直近2期分)
- 預貯金通帳のコピー、賃貸借契約書のコピー
これらの資料をもとに弁護士が申立書を作成するため、紛失した書類は法務局や取引先へ問い合わせて早めに再取得することが大切です。
1.弁護士へ相談し、破産申請の方針を決める
破産申請の第一歩は、破産に詳しい弁護士へ相談することです。
弁護士は財務状況や事業内容を確認したうえで、再建が可能か、それとも清算すべきかを判断してくれます。
- 破産か再建かを含め、最適な方針を専門家と決める
- 正式に委任契約を結び、弁護士が各債権者へ受任通知を送付する
- 通知が届いた時点で、金融機関などからの督促や取り立てがいったん止まる
初回相談を無料としている法律事務所も多いため、まずは予約をとって話を聞いてもらうとよいでしょう。
2.必要書類を準備し、裁判所へ破産を申し立てる
弁護士と方針を決定した後は、必要書類をそろえて管轄の裁判所へ破産の申立てを行います。
例を挙げると、事前に作成した債権者一覧表や財産目録とともに、破産に至った事由を記載した書面を裁判所に提出します。
資料の準備には数週間を要することもあるため、経営者と弁護士が役割を分担しながら進めていきます。
- 資産隠しと誤解される行為はしない
- 特定の債権者だけへの返済(偏頗弁済)を避ける
- 従業員の解雇や事務所の明渡しのタイミングを調整する
この手続きを完了させることで、ようやく法的な介入が始まることになります。
3.破産手続開始決定・破産管財人が選任される
裁判所が申立て内容を審査し、要件を満たしていると判断すると、破産手続開始決定が下されます。
破産管財人には、その地域の裁判所に登録された弁護士が選ばれるのが一般的です。
- 会社の財産の管理・処分の権限が破産管財人へ移る
- 代表者は財産を勝手に処分できなくなる
- 開始決定が官報に公告される
決定の前後には代表者と破産管財人との面談も行われます。
なお、申立てから開始決定までは、通常2週間〜1か月程度が目安です。
4.財産の換価・債権者への配当を行う
破産管財人は、会社の財産を調査して現金化し、債権者へ公平に配当します。
換価によって得たお金を、法律で定められた優先順位に従って分配するのが管財業務の中心だからです。
- 不動産・自動車・商品などを売却し、売掛金を回収する
- 集めた資金を配当の原資(破産財団)とする
- 債権者集会で進捗を報告する(開始決定から2〜3か月後に第1回)
配当に回せる財産がある場合は配当が実施されますが、財産が不足していれば配当は行われません。
代表者にも集会への出席が求められる場面があるため、破産管財人との連絡は密にとっておきましょう。
5.破産手続が終結し、法人は消滅する
配当や調査が完了すると破産手続が終わり、法人格が消滅します。
終わり方には、財産の有無に応じて次の2種類があります。
| 終了の形 | 内容 |
|---|---|
| 破産手続終結決定 | 配当を実施して終わる場合 |
| 破産手続廃止決定 | 配当できる財産が不足して終わる場合 |
財産がほとんどない会社でも、管財人の調査を経たうえで配当なしに終わる異時廃止という形で決着するのが一般的です。
終結または廃止の決定をもって、会社と債務のすべてが消滅します。
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破産申請にかかる費用
破産申請には、弁護士費用と裁判所に納める費用の2種類がかかります。
費用の目安と、支払えない場合の対処法をあわせて確認しておきましょう。
弁護士費用
破産申請の弁護士費用は、相談料・着手金・報酬金などを合わせて、50〜300万円程度が相場です。
金額に幅があるのは、会社の規模や負債総額、債権者の数、財産の複雑さによって業務量が大きく変わるためです。
たとえば、小規模で財産の現金化が容易な会社であれば比較的安く収まりますが、資産や取引関係が多いほど費用は上がります。
複数の事務所から見積もりをとり、トータルでいくらかかるのかを確認することが大切です。
弁護士に依頼すると、手続きが簡易な「少額管財」を適用でき、結果的に予納金を抑えられる可能性もあります。
裁判所へ納める予納金・実費
裁判所へ納める費用には、予納金・官報公告費・収入印紙代・郵便切手代などがあります。
金額は、少額管財事件か通常管財事件かによって大きく異なります。
| 費用項目 | 少額管財の目安 | 通常管財の目安 |
|---|---|---|
| 引継予納金 | 20万円程度〜 | 70万円程度〜(負債額で変動) |
| 申立手数料(収入印紙) | 1,000円 | 1,000円 |
| 官報公告費 | 約1万5,000円 | 約1万5,000円 |
| 郵便切手代 | 数千円程度 | 数千円程度 |
予納金は原則として申立て時に一括で納める必要があるため、事前の準備が欠かせません。
費用が支払えない場合の対処法
破産費用がすぐに用意できない場合でも、あきらめる必要はありません。
弁護士は、資金繰りに苦しむ経営者の状況を十分理解しており、柔軟な対応を提案してくれます。
たとえば、会社に残った売掛金や在庫、不要な資産を換価して費用に充てる方法があります。
- 弁護士に分割払いや後払いができないか相談する
- 会社に残る資産(在庫・車両・売掛金など)を換価して充てる
- 少額管財の適用を目指し、予納金を抑える
「費用がないから相談できない」と思い込まず、まずは無料相談で率直に事情を伝えることが解決への近道になります。
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破産申請で税金・社会保険料・借金はどうなる?
破産申請をすると、税金や借入金、従業員への未払い分がどうなるのか気になる方は多いはずです。
ここでは、それぞれの取り扱いを整理して解説します。
税金や社会保険料は免除されるのか
法人が破産した場合、滞納していた税金や社会保険料も、法人格の消滅とともに原則として消滅します。
債務者である会社そのものがなくなり、債権が帰属する主体が存在しなくなるためです。
そのため、会社が破産した場合、代表者が滞納していた法人の税金を肩代わりして払う必要は原則ありません。
一方で、個人の破産では税金や社会保険料は免責の対象外とされ、免責を受けても支払義務が残る点が大きな違いです。
ただし源泉徴収分や第二次納税義務など、例外的に代表者個人の責任が問われるケースもあります。
金融機関からの借入金の扱い
金融機関からの借入金は、法人破産によって会社の消滅とともに返済義務がなくなります。
これも、法人格が消滅することで債務そのものが帰属先を失うからです。
たとえば銀行からの融資や買掛金、リース料などの負債は、破産手続の完了とともに消滅します。
ただし注意したいのは、代表者や家族が連帯保証人になっている借入金です。
この場合、会社の債務が消えても連帯保証人の返済義務は残るため、代表者個人が自己破産を検討せざるを得ないケースもあります。
未払い給与・退職金の取り扱い
従業員への未払い給与や退職金は、破産法上、他の債権より優先的に扱われます。
給与などの労働債権は、従業員やその家族の生活を支える重要なお金だからです。
それ以前の未払い分や退職金の一部は「優先的破産債権」として、一般債権より先に配当されます。
会社に資金が残っていない場合でも、独立行政法人労働者健康安全機構による「未払賃金立替払制度」を利用できます。
この制度では、未払い給料や退職金の最大80%が立替払いされますが、破産申立日の6か月前以降に退職したことなどの条件があるため、早めの申立てが重要になります。
税務申告や法人の清算手続き
法人破産では、破産手続と並行して税務申告や解散・清算の登記手続きが必要になります。
破産は会社を清算して法人格を消滅させる手続きであり、法的な整理を正しく完了させる必要があるためです。
実務では、破産手続開始決定によって解散したとみなされ、破産手続の終結・廃止の登記を経て会社が登記上も消滅します。
税務面では、事業年度の区切りに応じた申告が求められる場合があり、税理士との連携が欠かせません。
決算書や申告書は申立書の裏付け資料にもなるため、過去の資料は保全しておきましょう。
破産申請を検討すべきタイミング

破産申請は、判断が遅れるほど選択肢が狭まり、費用の確保や資料収集も難しくなります。
どのような状況になったら検討すべきか、3つのタイミングから見ていきましょう。
資金繰りが悪化し支払いの継続が困難になったとき
手元の資金が底を突き、日常的な経費の支払いが難しくなったときは、破産を検討すべきタイミングです。
なぜなら、この状態を放置すると、遅延損害金が膨らみ事態がさらに悪化してしまうからです。
従業員の給与が遅れがちになったり、オフィスの家賃や光熱費を滞納したりする状況が挙げられます。
手元に最低限の破産費用すら残らなくなる前に、早めの決断をすることが経営における重要な判断となります。
金融機関や取引先への返済・支払いを続けられなくなったとき
買掛金や借入金の返済期日を守れなくなった場合も、倒産手続きを視野に入れるべきです。
支払いの遅延が続くと、取引先からの信用を完全に失い、事業の継続自体が不可能になるからです。
たとえば、銀行へのリスケジュール(返済猶予)を頼んでも断られたり、仕入れ先から現金での前払いを要求されたりするケースが該当します。
このような状況では、もはや通常の営業活動を続けることは非常に困難といえます。
事業の再建が難しく債務超過から抜け出せないと判断したとき
いくら経営努力を続けても赤字から抜け出せず、債務超過が解消できないと判断したときは破産のタイミングです。
その理由は、利益を生み出せない事業構造のままでは、借金が雪だるま式に増えていくだけだからです。
役員報酬を削ったり経費を極限まで削減したりしても、毎月の営業赤字が補填できないような状況が当てはまります。
これ以上負債を拡大させないためにも、法的な整理を選択することが最善の策となります。

破産申請のメリット

破産申請は会社を終える手続きですが、債務を整理して再出発するための前向きな選択肢でもあります。
ここでは、代表的な3つのメリットを解説します。
借金や債務問題を整理できる
最大のメリットは、会社が抱えているすべての負債を法的にゼロにできることです。
破産手続きによって法人が消滅し、借金を返済する義務そのものがなくなるからです。
たとえば、数千万円にのぼる借入金や、取引先への未払い金があったとしても、手続き完了後は一切支払う必要がありません。
これにより、経営を圧迫していた負担が大きく軽減されます。
債権者からの督促・取り立てが止まる
弁護士に依頼して破産手続きを開始すると、債権者からの直接の督促や取り立てが停止します。
弁護士が送付する「受任通知」を受け取った債権者は、法律によって直接の取り立てが禁止されるからです。
督促の電話が止み、経営者の精神的な負担が大幅に軽減されます。
平穏な日常生活を取り戻せることは、破産申請における大きなメリットといえます。
参考:破産法|第百条
再スタートに向けた環境を整えられる
破産申請は、再スタートに向けた環境を整える手続きでもあります。
手続きが始まると、財産の管理・処分や債権者対応といった複雑な業務は破産管財人が引き継ぎます。
そのため経営者は、手続きが終わるまでの時間を将来設計の準備期間として活用できます。
法人破産をしても、その後の起業や就職が一律に制限されるわけではありません。
信用や資金調達の課題は残るものの、これまでの経験を活かして再挑戦することは十分に可能です。
破産申請のデメリット

メリットがある一方で、破産申請には財産の処分や信用への影響といったデメリットも伴います。
事前に理解しておくべき4つのデメリットを紹介します。
財産が処分される可能性がある
破産申請をすると、会社名義の財産は処分される可能性があります。
たとえば、事業用の不動産や自動車、設備、在庫といった資産は破産管財人が売却して現金に換えます。
これまで築き上げてきた事業資産を手放すことになるため、心理的な負担は小さくありません。
代表者個人も破産する場合は、一定の範囲を超える個人財産が処分の対象になることがあります。
信用や取引先への影響が生じる
破産をした事実は、取引先や金融機関に知られ、社会的信用の低下につながります。
支払いの遅延や倒産の情報は、リスク回避の観点から関係者に把握されやすいためです。
たとえば、代表者が破産後に新たな事業を始める場合でも、融資を受けにくくなったり、取引条件が厳しくなったりすることがあります。
また、こうした情報は噂として広まりやすい面もあります。
とはいえ、放置して問題を長引かせるほうが、かえって信用への打撃は大きくなりがちです。
一部の資格・職業に制限がかかる場合がある
個人の自己破産をする場合、手続き中は一部の資格や職業に制限がかかることがあります。
他人の財産を扱う職業などでは、破産が欠格事由として定められているためです。
- 弁護士、司法書士、税理士、行政書士などの士業
- 宅地建物取引士、生命保険募集人、警備員
- 貸金業登録者、質屋、旅行業務取扱管理者 など
ただし、この制限は破産手続開始から免責許可決定(復権)までの一時的なもので、期間は4〜6か月程度が目安です。
医師や看護師、公務員などは制限を受けず、家族の資格や就職にも影響はありません。
手続きに時間と費用がかかる
破産申請には、一定の時間と費用がかかる点もデメリットの一つです。
法人破産は原則として管財事件となり、財産の調査や換価、配当に時間を要するためです。
一般的に、申立てから手続きの終了までには半年から1年程度かかることが多いとされています。
また、弁護士費用や予納金として、まとまった資金を事前に準備する必要もあります。
判断が遅れて資金が枯渇すると、費用を用意できずに手続き自体が難しくなるおそれもあります。

破産申請を行う際の会社・経営者・従業員への影響
破産申請は、会社そのものだけでなく、経営者個人や従業員、取引先にも影響を及ぼします。
それぞれの立場での影響を整理して見ていきましょう。
会社の資産・事業・法人格はどうなるのか
破産申請を行うと、会社の資産は換価・処分され、事業は継続できなくなり、最終的に法人格が消滅します。
破産は会社を清算する「清算型」の手続きであり、同じ法人格で事業を続けることは認められていないためです。
- 開始決定により、財産の管理処分権が破産管財人へ移る
- 換価可能な資産は売却され、配当の原資になる
- 手続きの終結または廃止により、登記上も会社が消滅する
事業を続けたまま債務を整理する民事再生とは異なり、破産では会社が最終的になくなります。
経営者の個人保証や財産への影響
経営者への影響は、会社の借入金を個人保証しているかどうかで大きく変わります。
中小企業では代表者が連帯保証人になっているケースが多く、会社が破産しても保証債務は残るためです。
| 保証の状況 | 経営者への影響 |
|---|---|
| 個人保証あり | 保証債務が残り、自己破産の検討が必要になることも |
| 個人保証なし・個人債務も少ない | 自己破産が不要なケースもある |
ただし、経営者保証ガイドラインを利用すれば、破産を回避しつつ保証債務を整理できる場合があります。
早期に事業の整理を決断し、金融機関にとっても経済的合理性があるなど一定の条件を満たせば、自宅などの財産を一部手元に残せる可能性もあるのです。
自身の財産を守るためにも、保証の有無を早めに確認し、弁護士に相談しましょう。
従業員の雇用・給与・退職金の取り扱い
会社が破産すると、従業員は解雇され、雇用契約は終了します。
事業を停止して会社を清算する以上、雇用を継続することができないためです。
そのため、破産申立ての前に従業員へ事情を説明し、解雇の手続きを進めるのが一般的です。
- 未払い給与や退職金は、他の債権より優先的に扱われる
- 会社に資産が残っていれば、破産手続のなかで支払いを受けられる
- 資産が不足していても、未払賃金立替払制度で未払い分の最大80%の立替払いを受けられる
なお、立替払制度には退職の時期などの条件があるため、早めの申立てが従業員保護につながります。
取引先・金融機関・債権者への影響
破産申請は、取引先や金融機関などの債権者にも影響を及ぼします。
これらの相手は破産手続のなかで債権者となり、配当という形でしか債権を回収できなくなるためです。
- 買掛金や貸付金は破産財団から公平に配当されるが、全額回収は難しい
- 弁護士が受任通知や破産手続の通知を送付し、個別の取り立てはできなくなる
- 破産管財人が公平に進めるため、特定の債権者だけが得をする不公平は防げる
債権者にとっては不利益な面もありますが、手続きの公平性は法律で担保されています。
破産申請以外に検討できる方法

倒産手続には、会社を消滅させる「清算型」だけでなく、事業を残す「再建型」もあります。
破産以外に検討できる4つの方法を紹介します。
民事再生
民事再生は、会社を存続させながら債務を減額し、経営の再建を目指す再建型の手続きです。
破産と違い、法人格を残したまま事業を継続できる点が特徴です。
具体的には、裁判所の関与のもとで再生計画を作成し、認可を受けたうえで減額後の債務を返済していきます。
経営陣が引き続き会社を運営できるため、主に中小企業が利用することが多い手続きです。
申立ては、破産原因が発生する前でも、再建が手遅れになる前に行うことができます。
会社更生
会社更生は、民事再生と同じく会社の再建を目指す再建型の手続きで、より大がかりな仕組みです。
大企業の再建を想定した手続きであり、担保権者も手続きに取り込める点が特徴です。
そのため、重要な資産を守りながら大規模な再建を図れる一方で、経営者の交代が必要になります。
効力や関係者への影響が大きいため、中小企業が再建を目指す場合には民事再生が選ばれるのが一般的です。
会社の規模や状況に応じて、どちらが適しているかを見極めることが大切です。
特別清算
特別清算は、破産と同じく会社を消滅させる清算型の手続きですが、より柔軟に進められる方法です。
会社の事情をよく知る清算人が手続きを主導し、債権者との協定や和解を重視して進めるためです。
破産が裁判所主導の厳格な手続きであるのに対し、特別清算は会社主導の比較的穏便な手続きだと言えます。
ただし、協定の可決には債権額の一定割合以上の債権者の同意が必要で、この同意を得ることが大きな壁になります。
親会社が子会社を整理する場面などで活用されることが多い手続きです。
私的整理(事業再生・事業再編)
私的整理は、裁判所を通さず、債権者との直接交渉によって債務を整理する方法です。
法的整理より簡易・迅速で、柔軟な解決を図りやすいのが特徴です。
たとえば、取引先には従来どおり支払いを続けながら、メインバンクなどの金融機関が中心となって債権放棄などを協議し、会社の再生を目指します。
裁判所が関与しないため手続きが早く、事業価値の毀損を抑えられるメリットがあります。
一方で、原則として対象となる全債権者の同意が必要で、手続きの透明性が課題とされることもあります。
破産申請に関するよくある質問
最後に、破産申請についてよく寄せられる疑問にお答えします。
破産申請すると家族に影響がある?
破産申請をしても、原則として家族に直接の影響はありません。
破産は申立てをした本人(会社または個人)の問題であり、家族の資産や資格が制限されるわけではないためです。
たとえば、家族が自己破産の対象になったり、家族の就職や資格に影響が及んだりすることはありません。
ただし、家族が会社の借入れの連帯保証人になっている場合は、その返済義務が残る点に注意が必要です。
破産申請にはどれくらいの期間がかかる?
破産申請にかかる期間は、手続きの種類によって異なります。
法人破産の場合、申立てから終結までにおおむね半年〜1年程度が目安となります。
個人の自己破産で財産がほとんどない同時廃止であれば、免責決定まで3〜4か月程度で終わることもあります。
ただし、申立ての準備として書類の収集や費用の用意にも時間がかかるため、依頼から解決まで1年以上を要するケースもあります。
破産後に会社を再設立できる?
法人破産をした後でも、経営者が新たに会社を設立することは可能です。
破産をしたからといって、起業や事業の開始そのものが法律で一律に禁止されるわけではないためです。
たとえば、法人破産をした経営者が再び会社を立ち上げたり、新しい事業を始めたりすること自体は制限されません。
ただし、破産の事実が知られると融資を受けにくくなるなど、資金調達の面では現実的な課題が残ります。
破産手続廃止とは?
破産手続廃止とは、配当できる財産が不足している場合に、配当を行わずに破産手続を終了させることです。
すべての債務者に十分な財産があるとは限らず、費用をまかなえない場合に手続きを終える仕組みが必要だからです。
財産がない個人の場合、開始決定と同時に手続きを終える「同時廃止」となることがあります。
法人の場合は、破産管財人の調査を経たうえで配当なしに終わる「異時廃止」を目指すのが一般的です。
代表者も必ず自己破産する必要がある?
代表者が必ず自己破産しなければならないわけではありません。
法人と代表者は別人格であり、会社の破産が自動的に代表者個人の破産を意味するわけではないためです。
一方で、連帯保証をしていて保証債務を返済できない場合は、代表者も破産を検討することになります。
その場合でも、経営者保証ガイドラインを利用すれば、自己破産を回避して保証債務を整理できる可能性があります。
破産申請するか判断に迷ったら「日本プロ経営者協会」にご相談ください
資金繰りの悪化や後継者不在により、破産以外の選択肢を模索している経営者の方もいるでしょう。
日本プロ経営者協会は、国内最大級のプロ経営者ネットワークを活用し、中小企業の事業承継課題解決に豊富な実績を持つ組織です。
経験豊富なプロ経営者が、後継者不在による廃業リスクを回避するための事業承継から、M&Aによる第三者承継まで、幅広いソリューションを提供いたします。
債務整理を検討する前に、事業を存続させる選択肢があるかもしれません。
破産を選ぶ前に一度、後継者問題や事業承継について日本プロ経営者協会までご相談ください。

| 日本プロ経営者協会の概要 | |
|---|---|
| 名称 | 一般社団法人日本プロ経営者協会 |
| 設立日 | 2019年7月 |
| 活動内容 | プロ経営者によるセミナーの開催 企業への経営者の紹介 経営者に関する調査・研究 書籍の出版 |
| 代表理事 | 堀江 大介 |
| 所在地 | 東京都千代田区丸の内1-6-2 新丸の内センタービルディング21階 |
| URL | https://www.proceo.jp/ |
まとめ
破産申請は、返済が困難になった会社や個人が借金や債務を法的に整理し、再スタートを図るための重要な手続きです。
手続きの流れや費用、メリット・デメリットを正しく理解し、民事再生や私的整理など他の選択肢とも比較しながら、自社の状況に合った方法を見極めることが大切です。
今回紹介したポイントを押さえ、資金繰りの悪化や返済の見込みが立たなくなった兆候を見逃さず、早めに専門家へ相談する行動につなげましょう。

